人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2020-6-11 14:20

写真=太陽の南中を観察する天文台研究者や宇宙遊学館のスタッフら

 「時の記念日」の10日、奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)のスタッフらは、同館がある国立天文台水沢キャンパス敷地内の北緯39度8分線上で、太陽が真南に位置する「南中」を観察した。
 飛鳥時代、天智天皇が水時計によって初めて時刻を知らせたという日本書紀の記録を基に、1920(大正9)年に制定。100周年を迎えた今年、日本標準時子午線(東経135度)上にある、兵庫県の明石市立天文科学館が、全国各地で太陽の南中をリレーするイベントを企画した。
 ネット動画サイトを使って、全国8カ所の天文施設を生中継。経度によって太陽の南中時刻が異なり、明石市より東の地域は正午よりも前、西の地域は正午の後に南中を迎える様子を伝えた。
 生中継地点に入らなかった同館だが、イベントに賛同する形で南中を観察した。緯度観測を行っていた名残を今に伝える北緯39度8分を示すライン上に、同館スタッフ手作りの観測器を設置。同天文台水沢VLBI観測所の研究員や同館スタッフらが、午前11時34分に南中を迎えた様子を確認した。
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tanko 2020-6-3 15:30
 新型コロナウイルス感染症の影響で中断していた「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ(ロードマップ2020)」の策定作業について、文部科学省は今月下旬から書面審査を再開する。新たなスケジュールによると、策定・公表時期は9月以降になる見通し。ロードマップに掲載する計画の審査には、北上山地が有力候補地となっている「国際リニアコライダー(ILC)」も応募している。(児玉直人)

 ロードマップは、幅広い研究分野の意向を踏まえながら、大型プロジェクトの優先度を明らかにするもの。3年ごとに策定する。
 掲載計画を選定する審査に応募できるのは、日本学術会議(山極寿一会長)が策定した「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」で、重点計画に選ばれた31件と、重点計画選定時のヒアリング審査を受けたが選外になった28件。書面審査により、ヒアリング審査対象を30件まで絞り込む。
 当初は4月下旬にはヒアリング審査を終え、5月以降に素案の取りまとめ、意見募集(パブリックコメント)、策定・公表となる流れだった。しかし、新型コロナの影響で、3月に取り組み始めていた書面審査の途中で作業がストップしていた。
 文科省研究振興局学術機関課はこのほど、新たなスケジュールを設定。今月下旬から中断していた書面審査を再開させ、7月中旬ごろまでにヒアリング審査対象計画を決定する。ヒアリング審査は8月11〜13日に行い、素案の取りまとめ、パブリックコメント、策定・公表は9月以降とした。同課は「新型コロナの感染状況によっては、再び日程が動く可能性もある」としている。
 ILCは、学術会議マスタープランで重点計画からは漏れたが、ヒアリング審査対象となったためロードマップ審査を受けられる対象だ。
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tanko 2020-5-23 10:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致推進派は、施設受け入れ対応を具現化する新組織の設立を目指している。東北ILC推進協議会(共同代表=大野英男・東北大学総長、高橋宏明・東北経済連合会名誉会長)の内部組織、東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)を発展的に解消。県や奥州、一関両市など、候補地近傍の自治体、関係機関などがメンバーとなり、インフラ整備など具体的な受け入れ対策について協議する見通しだ。今夏をめどに発足を見込むが、国内外の研究者の動きや新型コロナウイルス感染症を巡る情勢などを見定めながらの対応になりそうだ。
(児玉直人)

 新組織設立は、国内外の素粒子物理学者らが「国際推進チーム」の立ち上げ準備を進めている動きを踏まえたもの。同チームは、ILC計画を「建設準備段階」へ移行させる役割を担い、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK、山内正則機構長)が主導的な役割を果たしている。
 東北推進協はこれまで、研究者側の動きに合わせながら、受け入れ協議を進めてきた。作業の核となっていた同準備室は、昨年3月「東北におけるILC準備状況」を取りまとめ、国会のILC超党派議連(河村建夫会長)に手渡した。日本学術会議に設置されていた「ILC見直し計画案に関する検討委員会」でも、内容が説明された。
 東北推進協は、準備検討に関わる所期の目標を達成したとして、本年度総会に同準備室廃止議案を提出。書面議決で了承された。
 同準備室がまとめた報告書は、東北全体のビジョンが描かれる。後継となる新組織では、候補地周辺の受け入れ態勢に対する具体的な中身が協議される見込みだ。
 県ILC推進局の高橋毅副局長は「道路などインフラはどうなっているか、どうすべきかなど、周辺地域が関係する話になると思われる」と説明する。
 現在、組織体制や協議事項などの取りまとめが行われている。今後、奥州市など関係市町村に対し、組織設立の説明に入るとみられる。


事業計画を書面議決、感染状況見定め実施(東北推進協)
 東北ILC推進協議会は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、本年度総会を書面で開催。22日までに本年度事業計画や東北ILC準備室廃止など5議案が原案通り承認された。
 事業計画には、ILCに関連した国際会議に出席しての意見交換、子どもたちを対象にした講演会、全国向け広報活動などが盛り込まれた。
 しかし、新型コロナによる各種会合の自粛や海外への渡航が制限されている実情を踏まえ、東北推進協は「どのタイミングで実施できるか、状況を見ながら考えたい」としている。
 東北推進協事務局は、4月20日に会員230団体を対象に書面開催する旨を周知。今月8日に議案書を提出した。19日までに賛否や意見などを求めたところ、208団体から回答があり、すべて原案通り承認するとの回答を得た。
 ただ、議案は3月に作られたもので、新型コロナを巡る状況が反映されていなかった。今後予定している要望や啓発普及などの活動はもとより、今回の総会自体も通常開催できなかった。同事務局は「(感染が拡大している)今の現状には合致しない内容もあるが、基本的な活動の柱は変わりない。状況を見ながら、実施の時期とタイミングを見定めたい」と話している。
 同推進協共同代表の大野英男・東北大学総長と高橋宏明・東北経済連合会名誉会長は、書面のあいさつで「ILC計画は実現に向けて、国内外で一歩一歩、前に進んでいると思われる。本協議会は、ILC受け入れ具現化のための新組織と連携しつつ、東北へのILC誘致活動を一層強化していく」とコメントしている。
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tanko 2020-5-11 11:20
 文部科学省が策定する「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想(ロードマップ2020)」は、新型コロナウイルス感染症の影響で、公表時期が見通せない状況にある。書面審査の段階で作業が中断。ヒアリング審査対象の決定から先に進んでいない。ロードマップ掲載計画の選定審査には、北上山地が有力候補地となっている「国際リニアコライダー(ILC)」も応募している。同省研究振興局学術機関課は、全体スケジュールを設定し直している。(児玉直人)

 ロードマップは、幅広い研究分野の意向を踏まえながら、大型プロジェクトの優先度を明らかにするもの。日本学術会議(山極寿一会長)が策定する「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」と関連性があり、どちらも3年ごとに策定している。
 「ロードマップ2020」掲載計画の審査を受けられるのは、学術会議が今年1月に策定した「マスタープラン2020」で、重点計画に選ばれた31件と、重点計画選定時のヒアリング審査を受けたが選外になった28件。ILCは28件のうちの一つだ。
 ロードマップの審査は、書面とヒアリングの2段階。書面審査により、ヒアリング審査対象を30件まで絞り込む。マスタープラン2020の重点計画31件に比べ、選外の28件に対する審査要件のハードルは高く設定されている。
 文科省は2月末まで書類提出を受け付けていた。3月に入り、約3週間の期間を設け、大学教授ら専門家による書面審査を開始していた。
 しかし、時期を同じくして新型コロナが感染拡大。ヒアリング審査の対象を決める合議審議が開催できず、4月24日から26日に予定していたヒアリング審査は延期に。5月以降としていたロードマップ案の取りまとめ、意見募集(パブリックコメント)、策定・公表なども先送りとなった。
 同課は全体スケジュールを再設定中。担当者は「6日までだった緊急事態宣言が31日まで延長されたこともあり、現段階では見通しが立たない」としながら、新型コロナ感染防止を意識したヒアリングの方法も含め、検討を進めているという。
 ロードマップとともに策定動向が注目されている欧州素粒子物理学戦略(European Strategy for Particle Physics)次期計画についても、新型コロナの影響で策定・公表が延期された。当初は、5月25日にブダペストで開催される欧州合同原子核研究所(CERN)理事会の臨時会議で最終承認される予定だった。
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tanko 2020-4-18 10:00
投稿者:菅原東吾(77)=一関市山目=

 素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の誘致問題に関する本紙の記事を読んだ。昨年11月に金沢工業大学で開かれた科学技術社会論学会。水沢高校出身で、東京大学大学院の菅原風我さんの発表を取り上げていた。
 「熱狂(hype)の形成―ILC誘致の事例から」と題する研究成果だった。「期待と熱狂は地続きだ。期待通りにならなければ、誘致活動に携わっていた人たちの信頼関係を落とす。宣伝費は住民の負担……」
 よくぞ、熱狂状況に焦点を当て論じてくれたと拍手したい。本紙の解説記事にも「メディアも議会も冷静に検討すべきだ」との趣旨でまとめられていた。
 菅原さんの指導教員に対するインタビューも掲載されており、「予算が桁違いに大きいことで実現は難しい。数十年も運営する財力は日本にはない」とする発言は、極めて重要だ。
 わたしは、ILC建設に反対で、理由は主に四つである。)名綮鈎呂聾従のまま後世に引き継ぐべき大型予算投入の優先課題は、防災や減災を含む自然災害抑止にある0汰汗が不十分な地下巨大放射能生成実験装置であるぜ存浬了後の計画が不明──。
 「地下は国家の所有」というが、住民の合意がないのならば、誘致を推進すべきでないと思うのだが、どうだろう。将来、科学者になる人には、ILCを超越する安全な実験装置を発明するような研究成果を期待している。
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tanko 2020-4-14 17:50

写真=酒井栄さんが撮影した水星探査機「ベピコロンボ」の軌跡(矢印部分、10日午後8時7分ごろ)

 NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(67)=水沢東大通り=はこのほど、日本とヨーロッパの水星探査機「ベピコロンボ」の撮影に挑み成功した。
 「ベピコロンボ」は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)による大規模国際協力ミッション。JAXAが開発した磁気圏探査機「みお」と、ESAが開発した表面探査機「MPO」の2機を水星周回軌道に送り込む。
 2018(平成30)年10月、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げ。2機の探査機は、イオンエンジンを搭載した「航行用モジュール」に合体した状態で水星を目指している。
 探査機は燃料節約のため、地球や金星、水星の重力を利用して航行する「スイングバイ」を9回繰り返す。日本時間の今月10日、1回目のスイングバイが行われた。酒井さんは、JAXAなどが呼び掛けた観測キャンペーンに参加し、見事水星を目指す「ベピコロンボ」の撮影に成功した。
 JAXAによると、探査機が水星の周回軌道に投入されるのは2025年12月の予定という。
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tanko 2020-4-10 11:40

写真=植栽から8年。ようやく開花した「宇宙桜」

 水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパス敷地に8年前に植樹した「宇宙桜」が9日、開花した。同天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が運用する天文広域精測望遠鏡(VERA)の4観測局に植えられているうちの一つだったが、唯一花が咲いていなかった。
 宇宙桜は、高知県仁淀川町にある樹齢約500年の「ひょうたん桜(ウバヒガンザクラ)」の種から育てたもの。採取した種は2008年11月、スペースシャトル・エンデバー号で打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)内で保管。地球を4100周し、2009年7月に帰還した。同町は戻ってきた種を発芽させ、接ぎ木などで50本に増やした。
 その後、同町出身で沖縄県にあるVERAの「石垣局」を担当していた宮地竹史・石垣天文台副所長(当時)が仲介役となり、4局(水沢、石垣、小笠原、入来)に宇宙桜の苗木をプレゼント。水沢では2012年3月、第二東水沢保育園の年長児たちが、水沢キャンパス内の木村栄記念館前に植樹した。
 ところが水沢以外の3局は数年前から開花しているのに、つぼみすら付かない状態が続いていた。同記念館向かいにある奥州宇宙遊学館の中東重雄館長らが、地中の岩石を除去し肥料を与えたところつぼみが付き始め、8年目にして待望の開花。4局連携で運用しているVERAプロジェクト同様、観測点が桜のラインでつながった。
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tanko 2020-4-9 17:50

写真=酒井栄さんが撮影したスーパームーン

 7日夜から8日明け方までの間、満月が今年一番の大きさで見える「スーパームーン」が各地で確認された。NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(67)=水沢東大通り=は、撮影したスーパームーンの写真を本紙に提供した。
 地球の周りを公転している月だが、その軌道はわずかに楕円形を描いているため、互いの距離は約40万kmから36万kmの間で変化している。スーパームーンの定義はさまざまで、名称についても国立天文台は「年間最大の満月」と呼んでいる。
 おりしもスーパームーンが見られた夜、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言が発令された。閉塞感漂う日はしばらく続きそうだが、許される範囲で夜空を見上げてみるのも、ちょっとした気分転換になるのでは。変わらぬ輝きを放つ星々に早期終息の「願い」が届いてほしい。
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tanko 2020-4-9 11:40

写真=EHTによる観測で高解像度の画像が得られた「3C279」の超高速ジェットの姿(写真右側)。左上と左下の画像は、同時期に異なる波長で別の観測網で撮影したもの(C)J.Y. Kim (MPIfR), Boston University Blazar Program (VLBA and GMVA), and the Event Horizon Telescope Collaboration


 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)所属の研究者らが参加している天文学の国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」は日本時間の8日、地球から50億光年離れたブラックホールから噴出する「超高速ジェット」の高解像度撮影に成功したと発表した。研究チームの一員で、同観測所の秦和弘助教は「(8台の電波望遠鏡を連動させる)EHTによる観測が、ブラックホール撮影のみならず、ジェットの解明にも極めて有効であることを示した」と成果を強調する。
 観測は2017(平成29)年4月、国立天文台がチリに設置している「アルマ望遠鏡」など、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、南極の6カ所8台の電波望遠鏡を連動させ実施。一つの天体を観測する「VLBI(超長基線電波干渉法)」と呼ばれる手法を用いた。
 観測対象は、おとめ座の方向にある銀河「3C279」で、中心部に太陽の約10億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールが存在する。大量のガスが吸い込まれることで、巨大なエネルギーが超高速ジェットとして放出。極めて強い光も放っている。
 しかし、地球から50億光年も離れているため、地上からの観測ではほとんど「点」にしか見えず、ジェットの構造やどのように生成されているのかなど詳細は不明だった。
 今回の観測では、ジェットの根元部分が詳しく見ることができ、▽通常は真っすぐ伸びているジェットが少しねじれた形状をしている▽ジェットに垂直な構造が見える――ことなどが判明した。
 研究チームの一員で、超高速ジェットを研究し続けている秦助教は「地球からはるか遠くに位置するので、ジェットの根元の構造を詳しく撮影するには、これまで以上に高い視力が必要だった」と説明。今回の解像度は、月面に置かれたミカンを地球上から認識できるほどの視力に相当するという。
 EHTは今春、構成する電波望遠鏡を6カ所8台から9カ所11台に増やし、観測に入る予定だったが、新型コロナウイルスの影響で今年の作業は中止に。本間所長は「当面は、既に観測している『いて座Aスター』に潜むブラックホールの解析作業を進める」と話している。
(児玉直人)
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tanko 2020-4-3 10:10
 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)のメイン事業VERA(天文広域精測望遠鏡)プロジェクトが、当初より2年早い今年6月で終了する見通しにあることについて、同天文台の渡部潤一副台長は2日、胆江日日新聞社の電話取材に応じ、台長裁量経費による補正措置で、6月終了から本年度いっぱいの運用に延ばす方向で模索していると述べた。同観測所の閉鎖を懸念する市民の声があることについては、「プロジェクトが変わっていくことがあっても、水沢のキャンパスを無くすというのは、話に出たことはない。水沢は非常に大事な場所だ」と強調した。
(児玉直人)

 同観測所が運用しているVERAは「銀河系の地図づくり」を進めている。銀河系の真の姿を明らかにするとともに、謎の物質「ダークマター(暗黒物質)」の解明などにも寄与する。水沢、入来(鹿児島県薩摩川内市)、小笠原(東京都小笠原村父島)、石垣(沖縄県石垣市)の4カ所に同一仕様の電波望遠鏡を設置しており、連動させることで実際に製造不可能な直径2300kmの電波望遠鏡で観測したのと同じ性能を発揮する。
 本間所長によると、プロジェクト終了と観測所予算の前年度比半減の措置が昨年12月、台長らをメンバーとする執行部から突如示され、3月26日付で正式な通知を受けた。本紙などによる一報を受け、市民からは水沢の施設閉鎖につながると心配する声があり、インターネット上では、プロジェクト終了に対して執行部の方針や、国の科学行政の在り方を批判する投稿などが相次いだ。
 渡部副台長は本紙の取材に「天文台予算は非常に逼迫しており、当初配分する予算がどうしても少なく、台長判断でこのような措置となったが、このままでは良くないと思っており、台長裁量経費で対応する考えだ。ただ、前年度決算などがまだまとまっていないため、どの程度補正できるか明確に示せていない」と述べた。
 当初配分の予算額では、6月に水沢を除く3局の運用が困難になるが、補正によって「何とか本年度いっぱいは続けられるようにしたい」と渡部副台長。しかし、当初の運用計画は2022(令和4)年度までとなっており、観測用の電波望遠鏡の耐用年数は10年以上残っている。来年度以降の方針が明確になっておらず、不安定な運営では人材の確保・育成の面にも支障がある。本間所長は「根本的な部分の解決にはなっておらず、この先も同じような問題で現場は混乱する」と危惧する。
 市民から、同観測所の閉鎖につながるのではとの懸念が出ていることについて、渡部副台長は「Z項発見の歴史があり、地域と観測所の協力関係は先進的なものがある。時代とともに、どうしてもプロジェクトの変化はあるが、そのことで水沢から研究者がいなくなり、キャンパスも無くなるということではない。執行部でも水沢を閉鎖しようという話をしたことがない」と理解を求めた。
 近く、同天文台の常田佐久台長が水沢観測所の研究者らに直接説明する予定。地元自治体などに対する説明について渡部副台長は「補正措置が決まってから、あらためてお話できれば」としている。

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