人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-2-26 5:00
 素粒子物理学研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致を目指す本県の誘致団体の関係者らがこのほど、もう一つの国内候補地である北九州の脊振山地などを視察。参加した奥州商工会議所の菅原新治専務理事は誘致実現に強い自信をにじませ、外国人と地元住民のコミュニケーション力などソフト面充実が課題になると指摘した。

 視察したのは、岩手県国際リニアコライダー推進協議会(会長・元持勝利県商工会議所連合会長)に加盟する同連合会や奥州、一関、北上の各商議所と自治体の関係者ら16人。胆江地区からは奥州商議所の鎌田卓也副会頭と菅原専務、奥州市政策企画課の及川健課長補佐が参加した。
 脊振山地では、ILCの中心部と想定されるエリアを見学。急峻な山間部の渓谷にあり「北上山地よりも起伏に富んだ険しい場所にあるような印象を受けた」と菅原専務。ILCに最適な花こう岩地盤は最長で40kmほど確保でき、全長のうち8割は佐賀県、2割は福岡県に位置している。
 その後、沖縄科学技術大学院大学(OIST)を訪問。OISTは、生命科学や環境科学の将来を担う若者たちを育成する学術研究機関で、5年一貫教育の博士課程。学生は世界各国から年間20人限定で募集している。指導する教授陣は、各国から招いた有能な科学者たちで構成されており、学内での公用語は英語だ。
 教育システムだけでなく、施設建設や運営面にも特徴的な面がある。OISTがある沖縄県恩納村は、いわゆる都市部ではなく、インフラ整備が行き届いていたわけではない。周辺の自然環境保護や住民の理解を特に大切にしながら、学生や教授陣が不自由なく生活できるようキャンパスを整備していったという。
 現在も地元住民や子どもたちをキャンパスに招き入れてのイベントを積極的に開催。地元住民も、外国人を含めた大学関係者に明るく接しているという。
 「OISTは都市ではない場所に設置された。同じような話は、ILCを誘致しようとする北上山地にも当てはまる。OISTでの実践例を参考にすれば、北上山地にILCを呼び込むことはハード的には可能。強い自信を持つことができた」と菅原専務。
 一方で「外国人研究者らとのコミュニケーションといったソフト面が、われわれの地域で十分かというと、そうではない。ILC誘致が決まり、完成するまでの間は住民の意識を高めるなどソフト面の充実に力を注ぐ必要があるのではないか」と話している。

写真=北九州の脊振山地を視察する岩手県ILC推進協の一行(奥州商議所・菅原新治専務撮影)
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tanko 2013-2-23 13:40
 国際リニアコライダー(ILC)などを推進する、新たな研究組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」のディレクター(最高責任者)に就任したリン・エバンス氏=ロンドン・インペリアルカレッジ教授=は、ILC実現に向けた日本の取り組みを高く評価し「間もなく、ヒッグス粒子を大量に生成する加速器のためのトンネルを日本で掘り始めることができるのではないかと期待している」との公式見解を示した。ILC候補地は国内外に数カ所あるが、重要ポストに就任したエバンス氏が具体的に国名を挙げ期待感を示したことで、ILCを日本に誘致しようとする流れが一層鮮明になった。

 エバンス氏がディレクターを務めるLCCは、本県の北上山地などが有力候補地となっているILCと、欧州合同原子核研究機関(CERN)が中心となり進めている「コンパクト・リニアコライダー」(CLIC)を推進する研究組織。ILCとCLICは、ともに宇宙誕生や物質生成の謎を解く基礎科学研究を行う施設として計画されている。
 LCCは、カナダのバンクーバーで21日(日本時間22日朝)に開かれた会合で、LCCを監督するリニアコライダー国際推進委員会(LCB)と同時に発足。LCBの委員長には東京大学の駒宮幸男教授が就任した。今後の国際的な素粒子研究事業は、この2組織が中心となり進めていく。
 LCC発足にあたりエバンス氏は、物質に質量を与える「ヒッグス粒子」とみられる素粒子が昨年、CERNの実験施設で発見されたことに触れながら、「日本ではILCに対する強力なサポートがある。間もなくヒッグス粒子を大量に生成する加速器のためのトンネルを、日本で掘り始めることができるのではないかと期待している」との公式見解を示した。
 ILCの建設候補地には北上山地と北九州・脊振山地のほか、欧米など数カ所が挙げられている。だが、ILCの技術設計報告書(TDR)の完成発表会を昨年末に東京で開催したり、LCB委員長に日本人の駒宮氏が起用されたりと、日本を意識した対応が随所にみられた。
 今回、ILC実現に向け重要な役割を果たすエバンス氏が、日本への強い期待感を明確に示したことで、国内誘致実現の機運はさらに高まりそう。今夏中に日本国内の候補地が1カ所に絞り込まれる予定だが、事実上の「建設地の決定」にも位置付けられるような判断となりそうだ。
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tanko 2013-2-23 13:30
 小沢昌記市長は22日招集の市議会3月定例会で、現任期では最後の新年度施政方針演説に臨んだ。任期満了まで残り約1年を見据え「初心に立ち返り、公約の実現と積み残した課題解決に全身全霊を傾注する」と述べた上で、「行政内部の掌握とトップダウンによる強力な指導」で行政運営する意向を示した。

 小沢市長は、合併特例期限の終了に伴い3年後から主要財源の地方交付税が減額されていくことや、実質公債費比率が高止まり傾向にあることに触れ、市財政は「容易ならざる状況にある」と説明。「市民の財政負担を増やすことなくサービス水準を維持し、さらに新しいまちづくりに夢と希望を抱いて進むためには、聖域なき行財政改革しか道はない」と主張した。
 具体策には市営の温泉施設、スキー場、保育園・幼稚園を取り上げ、行政が直接運営に関与しない、もしくは減らす方向を目指すと言及。補助金は「既得権感覚で恒久化されているものが数多い」と問題視し、関係者の理解を得ながら削減に切り込む。
 「成長を前提とする計画行政は根本から見直しを迫られている。前例を踏襲する経験主義では、もはや行政運営そのものが立ち行かなくなっている」とも述べ、行革を進める上で職員の意識改革が急務とした。
 最重要施策には行革を含む財政再建のほか、協働のまちづくりの定着、国際リニアコライダー(ILC)誘致、地域医療の充実の3点を提示。
 市立医療機関の在り方や経営健全化、他医療機関との連携強化を目指し「(仮称)奥州市立病院・診療所改革プラン」を策定する方針を明らかにした。協働のまちづくりの担い手を育成するため、新年度は講座を開設する。
 農業振興策の一環で、農業者団体や農業者を対象に「6次産業化に挑戦する取り組みを支援する、新たな制度を創設する」と述べた。庁内に地域ビジネス推進室を設置し、地域企業の振興を図る。
 仮称奥州市マートインターチェンジは「長年の悲願」とし、「設置について、事業実施の段階へとステップアップしていく」と述べた。

写真=施政方針演説で財政再建に向けた施策に決意を示す小沢市長
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tanko 2013-2-22 19:00
 北上山地に素粒子物理学研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致を目指す、産学官連携組織「東北ILC推進協議会」は、誘致の機運を盛り上げるDVD「めざせ! 東北ビッグバン」を作製。本県の学校などに配布する。
 ILCは、宇宙誕生初期の超高温・超高密度状態「ビッグバン」の超小規模版を再現し、物質の成り立ちや宇宙誕生の謎に迫る。同協議会は科学的な意義にとどまらず、ILC誘致による経済波及効果で震災復興や地域振興に寄与できるとして、誘致活動に力を入れている。
 ILCの意義やどのような波及効果があるかなど、20分にまとめた。同協議会事務局の東北経済連合会(仙台市)は「次世代を担う子どもたちも夢を持ってもらえるような内容にした」という。
 作製枚数は400枚。一般への小分けはできないが、岩手や宮城の学校のほか、同協議会に加盟する企業や東北6県と新潟県などにも配布し、ILCへの理解を深めるセミナー等で活用してもらう。
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tanko 2013-2-19 5:00
 国際リニアコライダー(ILC)の実現を目指し各国の素粒子物理学研究者らは21日、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)とリニアコライダー・コラボレーション(LCC)の2組織を立ち上げる。新体制の下、政府間協議実施への働き掛けなどILC計画実現を後押しする。LCBの委員長には、東京大学素粒子物理国際研究センター長の駒宮幸男教授が就任する予定だ。

 ILC計画の作成は、各国の素粒子物理学界を中心に進められていた。昨年12月、ILC建設や使用装置の詳細をまとめた「技術設計報告書」が完成。担当した国際共同設計チーム(GDE)と実験管理組織(RD)が、上部監督機関であるILC運営委員会(ILCSC)に提出した。
 今回発足するLCBは、ILCSCの後継組織。メンバーは米欧アジアの3極から5人ずつと、委員長となる駒宮教授を合わせた計16人。日本からは駒宮教授と高エネルギー加速器研究機構(KEK)の鈴木厚人機構長の2人が委員に名を連ねる。
 LCBと同時発足するLCCは、LCBの監督下で活動。実験内容や装置など、より具体的な分野の開発を手掛ける。LCCはILCだけでなく、スイスにある欧州合同原子核研究機関(CERN=セルン=)が中心となり進めている「コンパクト・リニアコライダー」(CLIC=クリック=)の研究開発も管轄する。LCCの幹部にも日本人研究者がおり、奥州市内での講演経験もある東北大学大学院理学研究科の山本均教授が「物理/測定器担当ディレクター」を務める。
 KEKが1月に発行した「ILC通信67号」の中で駒宮教授は、ILCの早期実現が研究者間で「切望されている」と指摘。「政治、産業界、官界との連携が重要。日本はこの動きが相当進んでいるが、これを国際的に進める必要があり、(リニアコライダーを)国際プロジェクトとして各国の議論の俎上に載せることがLCBの使命だ」と強調している。
 課題をめぐり各国の意見の違いが出ることも当然あり得るとした上で、「実験グループではこれまでも国際協力で大きな成果を挙げた経験を数多く持っている。リニアコライダーの実現は可能だと信じている」と述べている。
 LCBとLCCの両組織は、カナダのバンクーバーで21日に開かれる会合で正式発足。会議後に開かれる記者会見(現地時間21日午後4時、日本時間22日午前9時)の模様は、インターネット中継される。視聴方法はKEKのホームページで紹介する。
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tanko 2013-2-18 12:30
 奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)は17日、「奥州市多言語ウェブサイト」を開設した。外国人市民向けに、生活する上で欠かせない情報(ライフライン、交通、医療、犯罪・事故・災害など)を多言語で提供。21カ国約500人の外国人市民が暮らす市にとって、多文化共生の地域づくりの弾みになりそうだ。
 言語は日本語のほか、英語や中国語、韓国語、間もなくタガログ語のページも開設し5言語になる。東日本大震災を機に、財団法人自治総合センターの地域国際化推進助成事業の補助を受け、市と共同でサイト開設の準備を進めた。
 サイトの内容は、例えば「ライフライン」では、電気や水道、ガスの使用開始の方法、支払い方法などを紹介。「交通」のページには、日本の運転免許への切り替え、自動車保険などを説明している。今後も、要望などを基に「外国人市民の目線で」必要な情報を整える。携帯電話、スマートフォンでも閲覧できるよう準備を進めるという。
 国際リニアコライダー(ILC)が誘致された場合、外国の研究者や家族らが数千人規模で市内外に移住するとみられ、候補地である北上山地誘致の後押しになることも期待される。
 サイトは、水沢区横町のメイプル1階で開かれたトークショーでお披露目。地震や災害時のための防災DVDも披露された。「とっても知りたい!外国人のホンネ」と銘打ったトークショーでは、多文化共生センター大阪代表理事の田村太郎氏をコーディネーターに、胆江地区在住の外国人市民4人が会話を弾ませた。市民ら約80人が訪れた。
 好きな日本語を問われ、及川マリさん(フィリピン)は「ありがとう」、ビル・ルイスさん(アメリカ)は「メリハリ」、パク・ソンヒさん(韓国)は「思いやり」、ウ・ショウさん(中国)は「感謝」とそれぞれの体験などを交え紹介した。
 ウ・ショウさんは「最初は田舎が嫌だと思っていたが、今はここに来て良かったと思っている。皆あったかくて、親切、感謝している」と市への思いを披露した。
 田村氏は、自身の友人である外国人がへきえきしているのは「いつ国に帰るのか?」との質問だと紹介。疎外感を感じさせる質問とみられ、同じ土地に暮らす「仲間としてみてもらえるといい」と多文化共生の在り方を強調した。
 多言語ウェブサイトのアドレスは、http://www.oshu-ira.com/

写真=外国人市民のトークショー
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tanko 2013-2-16 19:20
 水沢の伝統行事「インディアン旗野球大会」などを手掛ける水沢青年会議所(JC)の第51代理事長として、会員47人を束ねる重責を担う。「仲間と共にこれまでの50年に感謝しながら、新たな歴史の礎を築きたい」と意欲を燃やす。
 昨年7月に公益社団法人に移行した水沢JC。税制上の優遇が受けられる一方、厳しい審査があり制約も多い中、今年も地域社会に根差した各種事業を展開していく。「公益性を意識するあまり、事業が硬直化したり萎縮したりしては本末転倒。地域にどう貢献できるのかを真剣に考え、議論していきたい」。会員個々のスキルアップや意識改革を促す。
 インディアン旗野球大会は、今秋で56回目の開催を迎える。2009(平成21)年の52回大会以降は出場資格を水沢区内から市内全域に広げ、青少年の健全育成を図るとともに、市の一体感も深めている。小・中学生混合による行政区対抗戦は全国的にも珍しいという。「親が見守る中、上級生が下級生を指導する。地域コミュニティーの醸成に役立つはず」とアピールする。
 陸前高田JCなどと協力しながら、東日本大震災に伴う被災地支援も継続する。「復興の歩みは遅々として進まないが、被災地のニーズは日々変わってきており、ミスマッチも起きている。効果的な支援の在り方を模索したい」。思い描くのは、被災者全員が幸せを取り戻す「復幸(ふっこう)」だ。
 広報誌「築く」の発刊ほか、より広い国際的視野に立ち、国際リニアコライダー(ILC)の誘致にも積極的に取り組んでいく。
 かつて優に100人を超えた水沢JCの会員数も、現在はピーク時の半数以下。事業を行う際に人手が足りない状況という。会員資格は20〜40歳であることのみ。「夢のある地域づくりを同年代と一緒に楽しんでもらえたら」と、気軽な入会を呼び掛ける。
 理事長の任期は今年末まで。「一言之信(いちげんのしん)」をスローガンに掲げ、言行一致を固く誓う。
 「5年後、10年後の未来に感動を与えられるような、地道な下地づくりにも励みたい。言葉にしたことは必ず行動に移す一年に」――。JCの三つの信条「修練」「奉仕」「友情」のもと、身を粉にする覚悟だ。
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水沢区出身。中学時代は野球部に所属し、キャッチャーで4番。岩手高を経て、現在は家業に入り、伊藤住建の専務取締役。2004年水沢JC入会、2011年に副理事長。趣味は野球以外に旅行。同区佐倉河。

(文化部・高橋悠)
 
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tanko 2013-2-15 19:10
 奥州市は14日、2013(平成25)年度一般会計当初予算案を発表した。総額は554億1380万円で、前年度当初と比較し餾億6290万円、13.2%の大幅減となった。前年度は土地開発公社債務(三セク債)解消関係費饌億円が含まれていたためで、同関係費を除いた額で比較すると7億3710万円、1.3%増。社会保障関係費の伸びなどにより義務的経費負担が増している。同予算案は、22日招集予定の市議会3月定例会に提出される。

 歳入は、市税が同比1億693万4000円(0.9%)増の122億3456万円。復興需要を背景に一部業種で回復が見られることから、市民税は増収を見込んだ。
 地方交付税は199億3869万円と同比2億8608万円(1.4%)減。国の予算編成方針で示された地方財政対策の状況を勘案し、普通交付税を推計した。
 一般財源が減少する中、行財政改革で収入に見合う歳出規模に抑制し、財政調整基金は取り崩さずに予算を編成した。
 歳出は、人件費が給与費の独自削減などにより同比1億3914万円(1.6%)減の83億8923万円。社会保障関係費の自然増などで扶助費は同比2億9365万円(3.5%)増加し、義務的経費(人件費、扶助費、公債費の計)全体では同比2億6663万円、1.1%の増となった。
 投資的経費(普通建設事業費、災害復旧事業費の合計)は、総合計画や新市建設計画に重点的に配分し、同比3億5323万円(5.0%)減の66億8999万円とした。
 当初予算案編成に当たり市は、「協働のまちづくり」と「組織・事業・財政の適正化」に努めることを基本に据えた。集中と選択により、▽協働のまちづくりの推進▽国際リニアコライダー(ILC)誘致▽子育て支援・教育環境整備▽地域産業の振興▽放射線対策・防災対策▽都市環境・生活空間の整備――に重点配分した。
 具体事業として、地区センター改修事業(江刺・稲瀬地区、衣川・衣里地区)に2億6492万円、ILC誘致の取り組み強化費390万円、市立水沢南中校舎大規模改造事業に2億7400万円などを計上。教育施設の長寿命化に向け、改修促進費(特別枠)として2000万円も盛り込んだ。
 地域要望に配慮した生活道路の補修事業経費(特別枠)4000万円を設けた。

小沢昌記市長の話 本年度当初予算から第三セクター等改革推進債92億円を除いた新年度当初予算案が1.3%増加したことは、予算総額や公債費の削減を(主要施策に)掲げている関係から、強い危機感を持っている。ただし放射能対策や、予測を上回る扶助費の増加という部分があった。
 一方で、新年度予算の一般財源(市税や地方交付税など)ベースでみると、本年度当初に比べて0.2%下回り、わずかだが切り込んでいる。財政規律は守られたと考えている。
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tanko 2013-2-13 12:24
 県は12日、2013(平成25)年度当初予算案を公表した。震災対応に要する経費を最大限に措置し、一般会計の規模は過去最大だった前年度当初を3.0%上回る約1兆1517億円となった。「いわて復興加速予算」と位置づけ、総額のうち約5161億円の震災対応分予算を盛り込み各種事業に取り組む。19日招集の県議会2月定例会に提案される。

 震災の復旧・復興、その先にある「希望郷いわて」実現に向け、復興計画といわて県民計画を推進。総額1兆1517億200万円を計上した。県税・地方交付税のほか、震災復興特別交付税や国庫支出金、国の交付金により造成の各種基金を活用して予算を編成した。
 震災対応分は前年度当初予算4651億7500万円を509億200万円、10.9%上回る5160億7700万円。復興計画の基盤復興期間3カ年の最終年度に当たり、復興を加速させる。
 復興関連事業は「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」「三陸創造プロジェクト」に分類し、災害廃棄物処理や防潮堤整備、復興道路など交通ネットワーク整備、災害公営住宅建設や被災者ケアなどに取り組む。北上高地が有力候補地に挙げられる国際リニアコライダー(ILC)の誘致を三陸創造プロジェクトに位置付け、研究調査事業費に3400万円を盛り込んだ。
 震災対応分を除く通常分の予算額は6356億2600万円で、前年度当初予算比175億2900万円、2.7%減。公債費などの義務的経費が増となる一方、政策的な事業経費を確保した。
 歳入をみると、自主財源は諸収入の減少が見込まれるが、県税の増収や基金からの繰入金増などで、前年度当初予算と比べ��億6200万円、1.2%増の見込み。依存財源は、県債発行額や地方公務員給与の削減を前提とした地方交付税の減少などから204億9000万円、5.0%減の見込みだ。自主財源割合は38.9%で前年度当初予算比1.5ポイント上昇し、依存財源の割合は61.1%と1.5ポイント低下した。
 いわて県民計画の推進では「産業・雇用」「医療・子育て・福祉」など7政策。新規事業として自動車関連産業集積促進強化などを掲げる。
 県南広域振興局関連の事業は▽県南広域圏ものづくり力強化対策事業費(600万円)▽未知の奥・平泉観光振興事業費(1400万円)▽県南広域圏観光産業振興事業費(900万円)▽県南広域圏「食」の戦略的産業育成事業費(600万円)▽新規学卒者ミスマッチ解消モデル事業費(900万円)を盛り込んだ。
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tanko 2013-2-11 12:20
 江刺区の中心市街地活性化策を盛り込んだ「新江刺まちづくり計画書」がまとまった。江刺ならではの特徴や資源を活用し、歴史・伝統の継承、郷土愛醸成、観光施設えさし藤原の郷との連携といった観点から全29目の具体事業を掲げた。同計画を基に、在住者も観光客も楽しめるまちづくり事業を広く展開する。

 2008(平成20)年度に旧江刺商工会議所が策定した「江刺まちづくり革新計画書」の次期計画。中心市街地活性化に向けた取り組みを継続するため、奥州商工会議所江刺支所の自立的まちづくりモデル創出支援事業委員会(委員長・海鋒守奥州商議所副会頭)が革新計画書を継承する形で策定した。事業期間は2013〜2017年度の5カ年。
 基本コンセプトは「江刺の魅力をさらに磨き上げる〜江刺のまちづくりの力を継続させよう〜」。▽歴史・伝統・文化を尊重し継承する▽江刺を知り郷土を愛する▽高齢者と若者が集い楽しいまちをつくる▽えさし藤原の郷との連携を図る▽災害に強いまちを目指す▽国際化を目指したまちをつくる――の六つの基本方針を定めた。
 具体的には、江刺のまちづくりを考える実践的組織として「江刺まちづくり市民会議」を新たに発足させる。「ラブえさし」運動と銘打ち、郷土愛を高めるためロゴやステッカーの作製などに着手。関係団体や市民と連携し運動を展開していく。
 岩谷堂城跡を検証し保存へ向け標柱を設置するほか、江刺のB級グルメを発掘し、B-1グランプリの開催を模索。高齢者や若者が集う場として、軽トラックを活用した「軽トラマーケット」、区内の飲食店を回りながらの集団お見合いイベント「蔵まち婚」なども計画する。
 国際リニアコライダー(ILC)建設誘致と連動させ、ILC関連のフォーラム開催や国際的に活動する企業の誘致など、国際化への環境整備も進める。
 今後は行政や関係機関・団体に同計画書を提出。事業推進に向け協力と理解を求め、江刺の中心市街地活性化につなげていく。

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