人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-3-28 13:20
 県首席ILC推進監の大平尚氏は27日、水沢区内で講演。これまで消極的と思われた国の姿勢に期待を感じさせる動きがあるとし「大きな成果を感じる」と述べた。また候補地選定については「科学や経済など客観的評価が最優先されなければいけない」と訴えた。
 大平氏は、民間のILC誘致団体「いわてILC加速器科学推進会議」(亀卦川富夫代表幹事)の総会後に開かれた記念講演会で講師を務め、ILCを取り巻く現状を紹介した。
 ILCをめぐる政府や関係省庁の動向について大平氏は「これまでは『できない理由』を考え示してたような感じだったが、今は『どうすれば実現するのか』という雰囲気に変わってきている。各党代表者質問でILCが取り上げられ、安倍首相が答弁すること自体、大きな成果だ」と述べた。
 国内候補地が夏ごろに一本化されるのを控え、誘致を巡る活動が活発化。実現を見据えた取り組みの一つとして、市国際交流協会(佐藤剛会長)は医療通訳ボランティアの研修を実施した。大平氏は「とても素晴らしい取り組み。外国人対応について当然求められてくるが、『これからやります』と『もうやっています』では印象が全然違う」と、同協会の姿勢を高く評価した。
 候補地選定については、政治的駆け引きや地域都合のごり押しではなく、科学的側面や経済面など客観的な視点で評価しなければならないという。大平氏は「国内候補地が一本化されようとする現段階において『ILCを誘致するのは震災復興のため』という表現は、前面に出すべきではない。裏を返せば『(科学的、経済的に落ち度があっても)震災復興のためならば、とにかく北上山地に作れ』ということになってしまう。何よりも客観的な評価が優先されるべきで、周囲もその流れを共有し冷静に対応しなければいけない。震災復興に寄与するというのはプラスアルファの要素だ」と指摘した。

写真=ILC誘致をめぐる最近の動向について語る大平尚氏
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tanko 2013-3-28 13:10
 胆江、一関地区の青年会議所(JC)など青年団体は、国際リニアコライダー(ILC)の誘致と実現後のまちづくりを検討する目的で、4月11日から2日間、茨城県つくば市の「筑波研究学園都市」を視察。次代を担う年齢層からもILC誘致の熱意を発信していきたい考えで、科学的な意義だけでなく、生活や産業に密着するまちづくりの在り方についても学ぶ。

 視察を主催するのは江刺、水沢、一関の3JC。奥州商議所やJA江刺の青年部、胆江青年懇話会などが共催し、JC以外の青年団体に所属するメンバーなども加わり、約50人でつくば市を訪れる。
 初日は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)に足を運び、素粒子研究の概要や計画実現に向けた取り組み状況などを研修。翌日は、つくば市などの協力を得て研究学園都市形成の経過や地域産業、経済の現状を学ぶ。
 今回の視察の特徴は、これまでのILC誘致活動であまり表立った動きが無かった、青年団体が取り組む事業であるのに加え、KEKなど数多くの研究施設を擁するつくば市の現状を学ぶ場面を取り入れた点だ。青年団体の会員は、若手実業家や事業所経営の後継者が中心。ILCによる科学的研究の意義はさることながら、経済や産業面の効果、まちづくりなど仕事や生活に直結する部分への関心が高い。
 主催団体の一つ、江刺青年会議所の及川啓隆理事長は「各青年団体が一緒になり、ILCとまちづくりを考える良い機会。ILCは私たちの世代だけでなく、さらに次の世代を担う子どもたちも関係する。明るい希望を引き継がせるためにも、しっかり学びそれを生かしていきたい」と話している。
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tanko 2013-3-26 5:50
 国際リニアコライダー(ILC)誘致に向け、研究者と地元自治体関係者らによる公開座談会が25日、一関市内のホテルで開かれた。研究者からは、ILC計画に地元企業が参入できるビジネスチャンスが十分にあることが示された。誘致への期待の一方、聴講者からは被災者や原発対策を優先すべきではないかという意見も出た。
 一関市は昨年8月から全6回の日程で、地元企業向けに「ILセミナー」を開催。公開座談会は同セミナーの最終回に合わせ企画され、一般市民ら約80人が参加した。
 研究者や自治体関係者ら6人が発言者となり、ILC計画の進捗状況や受け入れ対応、今後の展望などについて見解を述べた。元高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授の吉岡正和・東北大研究推進本部客員教授がコーディネーターを務めた。
 このうちKEKの早野仁司教授は、加速器本体内部を研磨する際、試作品を作る現段階では毒性が強いものを用いていることを説明。「当然、危険性がなく環境に優しい手法が求められる。その辺のアイデアを皆さんが打ち出せるかもしれない」と語り、地元企業にもビジネスチャンスが十分にあるとした。
 胆江地区から参加したNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長は、「やはり地元の皆さんの理解・周知が欠かせない。沿岸被災地の人からは『将来どうなるのか、目標も無い』と言われる。雇用や子どもたちの夢をかなえる上でも、ILCの存在は意義がある」と述べた。
 会場からは「物理学者にとっては興味深い研究だろうが、どうしても今ILCをやらないといけないのか。原発事故の収束や被災者対策が先決であり、宇宙誕生の謎が分かったところで被災者や地元の人たちは喜ぶだろうか」との意見も出た。
 発言者の一人で、気仙沼市の白幡勝美教育長は「ILCがあって夢が広がるということが今の被災地にとっては大事。ぜひこの夢が広がっていけば」と述べた。

写真=ILC誘致に伴う商機や地域づくりについて意見を述べ合う有識者ら=ホテルサンルート一関
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tanko 2013-3-25 19:40
 奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)主催の「地域医療外国人サポーター研修会」は23日、水沢区吉小路の水沢地域交流館(アスピア)で開かれた。ILC建設が実現した場合の外国人研究者居住を考慮し、初めて企画。医療通訳ボランティアなど、外国人の生活を支援する体制の構築・運営を目指す。
 県南広域振興局「地域医療応援事業」の助成を受けて開催。市内在住の外国人5人が参加した。
 ILCが実現した場合、関連施設に勤務する多くの外国人が、家族と共に周辺地域に居住すると予想されている。同ボランティアは、外国人が病気やけがをした際、速やかに適切な医療を受けられるよう、医療機関との橋渡しを務めるのが主な役割。具体的には外国人患者の症状などを聞き、医師に伝達したり、治療方法などを患者に説明したりする。
 研修会には、横浜市を中心に全国で医療通訳の養成を手掛けてきた西村明男さん(57)=多文化医療サービス研究会代表=を講師に招いた。医療通訳として活動するために必要な知識や技術、心構えについて解説。「具体的な通訳技術の前に、相手(患者)の立場や出身国の文化について一定の理解をしておくことが必要。その国の文化などによっては、ある種の治療方法が拒絶されることもある」などと指摘した。
 「外国人の患者が速やかに、最良の治療が受けられるようサポートすることが医療通訳の仕事」と西村さん。人体の各部位の名称の訳し方などを指導したほか、「日本と諸外国との医療制度の違いや、医薬品の効能の違いなども知っておくといい」とアドバイスした。 
 佐藤会長は「現在、奥州の外国人市民は500人ほどだが、ILCができれば4000人から6000人になる。外国人市民が安心・安全に暮らすためにも、彼らと日本人との橋渡しをする人材が必要になる。きょう参加した外国人市民の皆さんは日本語が堪能なので、いいサポーターになるはず」と期待していた。

写真=外国人市民を前に、医療通訳の基礎や心構えなどを説く西村明男さん(中央)
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tanko 2013-3-24 19:50
ILCの玄関口になるといふ未来に夢を馳せるわが町                       及川千代子
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tanko 2013-3-24 19:40
 素粒子物理学研究施設「国際リニアコライダー」(ILC)の北上山地誘致実現のため、北海道東北地方知事会や東北市長会などは26日、復興庁など関係省庁を訪問する。知事会や市長会など地方自治体トップの地域ブロック組織が一丸となってILCの誘致を省庁に働きかけるのは初めて。

 岩手、宮城両県は今月、県の担当者レベル連携組織「岩手・宮城ILC推進部会」を設置。さらに、佐々木博岩手県議会議長と中村功宮城県議会議長が、共同歩調で誘致を進めることを確認した。一連の動きの中では、東北全体で声を上げるべきだとの意見も出ていた。
 今回の要望には同知事会、同市長会のほか▽北海道・東北六県議会議長会▽東北市議会議長会▽北海道東北六県町村会協議会▽北海道、東北町村議会議長会▽東北ILC推進協議会――が名を連ねている。
 これまでもILC関連の省庁要望は繰り広げられているが、経済団体や各県レベルの動きにとどまっていた。今回、東北ブロックの自治体や議会関係の団体が共に行動することで、東北全体がILC誘致に向け結束している姿を示す狙いがある。誘致活動に携わる経済団体の関係者は「ILC計画は岩手や宮城、あるいは建設地周辺の自治体だけが頑張ればいいというレベルの事業ではない。建設に必要な資材供給一つをとってみても、東北やその周辺が協力しないと到底成し得ない」と、連携の重要性を強調する。
 当日は同知事会の代表として村井嘉浩宮城県知事、同市長会の代表として小沢昌記奥州市長と勝部修一関市長らが上京する。
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tanko 2013-3-23 19:40
 奥州市は22日、定期人事異動を内示した。異動規模は、機構改革に伴い大規模となった前回を下回る447人。市内で7競技が行われる2016(平成28)年岩手国体に向け国体推進室を新設。部長級ポストの室長には千葉敏明スポーツ振興課長(57)を昇格起用する。発令は4月1日付。
 国体推進室は専従職員10人(うち1人は県派遣)で、本年度の国体準備室の3人から大幅増となる。
 国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致を見据え、広域連携推進室をILC推進室に改称。室長には及川健政策企画課長補佐(53)が就く。
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tanko 2013-3-23 9:49
 奥州市が進めていた市総合計画後期計画(概要版)の電子書籍が完成し、14日から市ホームページ(HP)での公開を始めた。高エネルギー加速器研究機構(KEK)から提供を受けた、国際リニアコライダー(ILC)の動画も掲載する。
 電子書籍は文字や写真、図に加え、音声や動画なども加えることができるのが特徴。総合計画の電子書籍はパソコンやスマートフォン、タブレット型端末にそれぞれ対応した画面が表示される。
 26ページで構成。行政の専門用語をクリックすると、解説ページが見られるようになっている。ILCの動画は、県HPに掲載されている動画のリニューアル版で、映像時間は約2分間。
 市は、スマートフォンなどの端末を使う割合が比較的高い若い世代に、まちづくりに関心を寄せてもらうことも視野に入れ電子書籍化を進めた。
 小沢昌記市長は「市が進む方向が示されている総合計画を理解してもらうために非常に便利なもの。積極的にまちづくりに参加してもらう、一つのきっかけにしたい」と話す。
写真=14日から奥州市ホームページで公開されている総合計画後期計画の電子書籍
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tanko 2013-3-23 9:45
 国際リニアコライダー(ILC)国内候補地一本化に向け、誘致活動の中心を担う岩手・宮城両県の協力体制を構築する動きが活発化。14日には岩手、宮城両県の担当者レベル連携組織「岩手・宮城ILC推進部会」が初会合を開いたほか、岩手県議会ILC東北誘致議連(会長・佐々木博議長)が宮城県議会(中村功議長)などを訪れ、誘致活動に取り組むことの協力を要請した。

 東北へのILC誘致は、建設候補地の北上山地がある岩手県と、東北の経済中心地で素粒子研究拠点の一つである東北大がある宮城県の2県、さらに両県の地元自治体や経済団体などが中心となり推進してきた。
 岩手・宮城両県は2006年度に「連携調整会議」を設置した経緯がある。両県の行政施策全般にかかわる連携の在り方を協議してきたが、その部会組織として同推進部会を立ち上げた。
 宮城県庁で開かれた同推進部会の初会合には、本県から大平尚首席ILC推進監(県南広域振興局副局長)らが出席。「ILC立地評価会議」が進める候補地評価作業への対応などについて協議した。
 同評価会議は北上山地と北九州・脊振山地とでの岩盤の状況やインフラなどの評価作業を実施するグループ。活断層や研究に支障を与える地上施設の有無など、評価項目は多岐にわたり、ILC建設にふさわしい環境かどうかを科学的条件に基づいて評価するという。
 このほか初会合では、ILCを巡る直近の動向についても情報交換した。
 一方、13日に発足したばかりの岩手県議会の誘致議連も14日、仙台市内で活動への協力要請活動を展開。同議連会長の佐々木議長が、宮城県議会などを訪問した。
 同行した岩手県議会事務局の担当者によると、佐々木議長は「候補地一本化までは短期決戦となる。できれば東北ブロックの議長会クラスまで誘致活動のステージを広げ、国等への要請活動をしたい」と協力を要請。応対した宮城県議会の中村議長は「もちろん、一緒にやっていくべきだと思っている。今月末に(宮城県の)村井嘉浩知事と上京して誘致要請をするが、東北全体で声を上げていこう」と共同歩調で進める意向を示したという。
 同議連は宮城県だけでなく周辺各県にも誘致活動への協力を要請し「オール東北」の立場で、国等へ働き掛ける。
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tanko 2013-3-22 19:40
 空想科学や未来の乗り物などを数多く描いたイラストレーター小松崎茂氏(1915〜2001)。誰も見たことがない空想の世界、未来の姿を目に見える形にした。少年雑誌やプラモデルの箱絵などに使われ、高度経済成長期の子供たちをくぎ付けにさせた。
 小松崎氏のイラストと同様のわくわく感をかきたてられるのが、ILC関連のパンフレットに描かれたコンピューターグラフィックス(CG)。その画像の多くには、片隅に小さく「(C)Rey.Hori/KEK」と書かれている。
 KEKはILC計画を推進している高エネルギー加速器研究機構のことだが、Rey.Hori(レイ・ホリ)は一連のCGを手掛けた堀内営(まもる)さん(50)のビジネスネームだ。
 大阪府出身。鳥取大学工学部生産機械工学科を卒業後、富士通に入社。業務用プリンターの設計開発に従事する傍ら、プライベートでCG制作を趣味としていた。
 1997年、富士通を退社しフリーのCG作家として活動を始める中、KEKのILC担当者が堀内さんのホームページを発見。ILCの広報用パンフレットのイラスト制作を依頼した。
 「加速器という装置があるのは知っていたが、ILCとは何物なのか、まったく知らなかった」(堀内さん)
 自宅がある川崎市から茨城県つくば市のKEKに出向き、研究者から装置の概要を聞きながら作業を進める。サラリーマン時代に機械設計に携わっていたとはいえ、全長30kmという規模の装置は未経験。全体像をすぐに把握しきれなかった。
 KEKが最近作製したパンフレットの表紙には、加速器トンネル内に立ち入った時の視線を再現したCGが印刷された。片側だけで15kmもある直線状の加速器トンネル。だが、この画像で堀内さんが描いた世界は、わずか900mにすぎない。
 「これまでは外側から眺める絵だけだった。スケールを実感してもらおうと試作したものが採用された」。ILCがどれだけの規模の施設なのかひと目で実感できる。
 CG制作という仕事を通じ、ILCが目指すものの意義をかみしめる。「何度も仕事をこなしているうちに、『えらい規模の話だなあ』と感じるようになった。ILCのようにパブリックな目的で使われる装置だと余計に『もっといい絵にしたい』と感じてくる」
 残念に思うのは、ILCのような最先端の研究が一般市民に広く知られていないことだという。
 「KEKに向かう途中タクシーの運転手が『ここって何やっているの?』と尋ねてきた」。学術研究都市を掲げるつくば市で、研究機関と地元の一般住民との間に心理的な距離を感じた堀内さん。私たちの身の回りにあふれる生活必需品も、元をたどれば科学研究と技術開発の地道な努力の積み重ねの上にあるものだが「科学研究は日常生活に縁遠い存在」と思う人は少なくない。ILC誘致を推進している東北地方でも、地域間の熱意に温度差があり、人々の関心度にも開きがある。
 「こうした取り組みはもっとPRすべきだ。その手助けに、私のCGが少しでも足しになればと思う。『加速器を書かせるならRey.Horiに頼め』と世界の研究者から指名されるよう、今後も頑張っていきたい」と気合を込める。

写真=加速器トンネル内からの眺めを再現したCGを手にするRey.Horiこと、堀内営さん(東京・銀座で)

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