人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2021-7-25 11:50

写真=模型を使った実験も繰り広げた天文教室

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)と市が連携する出前授業「キラリ☆奥州市天文教室」は本年度、市内8小中学校で計画。研究者による授業を通し、市内の児童生徒に科学や宇宙、天文学に興味を持ってもらい、将来の進路選択の一助とする。
 本年度の同教室はこのほど、水沢の市立黒石小学校(小澤則幸校長、児童35人)を皮切りにスタート。同小では5、6年生15人がブラックホールについて学び、宇宙の不思議に心を引き付けられた。
 同小には同観測所の秦和弘助教が出向き、「ブラックホールって何だろう?」と題して授業。何でも吸い込むブラックホールについて模型を活用した実験を行ったほか、秦助教が加わった国際研究プロジェクトによる史上初のブラックホール撮影成功を紹介した。
 世界各地の電波望遠鏡を連動させ、製造不可能な地球規模の電波望遠鏡で観測したのと同等の能力を実現。「視力300万」の精度を生み出し、2019年4月に撮影成功を発表した。
 ブラックホールの姿から明らかになったことを画像を交えて紹介し、「全てが分かったわけではなく、まだまだ謎がいっぱい。天文学者も『宿題』を頑張っている」と秦助教。「宇宙の研究も皆さんの勉強も同じ。わくわくする気持ち、何でだろう?と思う気持ちが大切」などと語り掛けた。
 6年の佐藤慶治朗君(12)は「質問したら、ブラックホールは壊せないことなども知ることができた。宇宙への興味が湧いてわくわくした」と天文教室を楽しんだ。
投稿者 : 
tanko 2021-7-25 10:00

写真1=「はやぶさ2」の模型がお目見えしている宇宙パネル展

 江刺岩谷堂字小名丸の歴史公園えさし藤原の郷は、夏休みの自由研究応援企画として、宇宙パネル展「おかえり!小惑星探査機はやぶさ2――地球帰還までの軌跡――」と、奥州藤原氏の黄金文化を支えた「砂金採り体験」を開催している。夏休みに突入した児童や家族連れらが足を運び、体験を通じて夏の思い出を心に刻んでいる。砂金採り体験は8月15日まで、宇宙パネル展は同22日まで。
 宇宙パネル展は、ブラックホールの撮影成功などで宇宙への興味関心が高まる中、児童らに宇宙を知るきっかけにしてもらおうと企画した。昨年10月24日から今年2月1日まで岐阜県の岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で繰り広げられた企画展示を、同館のパネル貸し出しサービスを活用し開催。本県では初めて。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)から借りた「はやぶさ2」の8分の1スケールの模型をメインに、地球近傍小惑星「リュウグウ」での探査成果やサンプルリターンなどのパネルも展示。県南広域振興局などの協力を得て、国際リニアコライダー(ILC)のパネルもお目見えしている。
 企画業務部主任の千葉純さん(45)は「奥州市は国立天文台水沢キャンパスがある宇宙のまち。展示を契機に、地元の子どもたちに宇宙に興味を持ってもらえたら」と願う。


写真2=砂金採りに挑戦する子どもたち

 奥州藤原氏の黄金文化を顕彰しようと開催する砂金採り体験は、毎年恒例の企画。中に刻みが入った皿を水の中に浸し、左右に振りながら砂金を刻みの部分に集める体験企画で、家族連れらに人気だ。仙台市から訪れた高橋世頼君(11)は「難しかったけれど砂金を一つ見つけることができてラッキー」と笑顔だった。
 体験は1人1回10分で、料金は500円。採取した砂金はカードにして持ち帰ることができる。制限時間内に10個以上採取した人には豪華景品がプレゼントされ、24日現在の最高記録は13個。時間は、平日が午前11時から午後3時、土日祝日と8月13日が午前10時から午後3時まで。
 8月6日から同12日まで、東北デスティネーションキャンペーン特別企画として、真夏のライトアップを実施。夜間特別入場料金として中学生以上400円、小学生200円、未就学児無料。時間は午後6〜9時まで。
投稿者 : 
tanko 2021-7-18 9:40

写真=来場者の好奇心を刺激した本間希樹所長によるトークイベント

 金ケ崎町立図書館で17日、国立天文台水沢VLBI研究所の本間希樹所長によるトークイベント「宇宙の歩き方」が開催された。来場した約30人を前に、本間所長が分かりやすくかみ砕いた表現で宇宙に関する講話を展開。天文学の知識を深めるとともに、好奇心や創造性を育む機会とした。
 県南広域振興局と同天文台が取り組む「宇宙×ILC」事業の一環。ブラックホールなど、独創的かつ世界的な研究に取り組んでいる本間所長の講話を通して利用者の好奇心を刺激し、科学への興味関心を喚起することを目的とした。
 本間所長はまず、自身が所長を務める研究所を紹介。VLBIという言葉を解説する際には視力検査を例に用いた。「VLBIとは離れたところに設置した電波望遠鏡を複数使い、望遠鏡の視力を大きく上げようという仕組み。日本にある4カ所の望遠鏡を用いるとその視力は約10万という数値になる。視力1の人が見える視力検査の記号を、10万分の1に縮めても見えるということ」と分かりやすく解説した。
 その後「宇宙の歩き方」という題に合わせて、家の中にいても楽しめる宇宙旅行を紹介した。国立天文台ホームページから無料でダウンロードできる「MITAKA」というソフトを活用。プラネタリウムと同じように星空を見ることができるほか、宇宙旅行の名の通り地球を飛び出してさまざまな視点から天体を観測できる。
 ブラックホールの研究や今後の課題についても解説した。ブラックホールの写真を見せたあとで奥州市内で作られているお菓子の画像を映し「ブラックホールはドーナツに例えられることが多いが、自分はイチゴ大福の方がふさわしいと思う」などユーモアあるトークを展開して来場者を楽しませた。

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動