人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2020-4-18 10:00
投稿者:菅原東吾(77)=一関市山目=

 素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の誘致問題に関する本紙の記事を読んだ。昨年11月に金沢工業大学で開かれた科学技術社会論学会。水沢高校出身で、東京大学大学院の菅原風我さんの発表を取り上げていた。
 「熱狂(hype)の形成―ILC誘致の事例から」と題する研究成果だった。「期待と熱狂は地続きだ。期待通りにならなければ、誘致活動に携わっていた人たちの信頼関係を落とす。宣伝費は住民の負担……」
 よくぞ、熱狂状況に焦点を当て論じてくれたと拍手したい。本紙の解説記事にも「メディアも議会も冷静に検討すべきだ」との趣旨でまとめられていた。
 菅原さんの指導教員に対するインタビューも掲載されており、「予算が桁違いに大きいことで実現は難しい。数十年も運営する財力は日本にはない」とする発言は、極めて重要だ。
 わたしは、ILC建設に反対で、理由は主に四つである。)名綮鈎呂聾従のまま後世に引き継ぐべき大型予算投入の優先課題は、防災や減災を含む自然災害抑止にある0汰汗が不十分な地下巨大放射能生成実験装置であるぜ存浬了後の計画が不明──。
 「地下は国家の所有」というが、住民の合意がないのならば、誘致を推進すべきでないと思うのだが、どうだろう。将来、科学者になる人には、ILCを超越する安全な実験装置を発明するような研究成果を期待している。
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tanko 2020-4-14 17:50

写真=酒井栄さんが撮影した水星探査機「ベピコロンボ」の軌跡(矢印部分、10日午後8時7分ごろ)

 NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(67)=水沢東大通り=はこのほど、日本とヨーロッパの水星探査機「ベピコロンボ」の撮影に挑み成功した。
 「ベピコロンボ」は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)による大規模国際協力ミッション。JAXAが開発した磁気圏探査機「みお」と、ESAが開発した表面探査機「MPO」の2機を水星周回軌道に送り込む。
 2018(平成30)年10月、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げ。2機の探査機は、イオンエンジンを搭載した「航行用モジュール」に合体した状態で水星を目指している。
 探査機は燃料節約のため、地球や金星、水星の重力を利用して航行する「スイングバイ」を9回繰り返す。日本時間の今月10日、1回目のスイングバイが行われた。酒井さんは、JAXAなどが呼び掛けた観測キャンペーンに参加し、見事水星を目指す「ベピコロンボ」の撮影に成功した。
 JAXAによると、探査機が水星の周回軌道に投入されるのは2025年12月の予定という。
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tanko 2020-4-10 11:40

写真=植栽から8年。ようやく開花した「宇宙桜」

 水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパス敷地に8年前に植樹した「宇宙桜」が9日、開花した。同天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が運用する天文広域精測望遠鏡(VERA)の4観測局に植えられているうちの一つだったが、唯一花が咲いていなかった。
 宇宙桜は、高知県仁淀川町にある樹齢約500年の「ひょうたん桜(ウバヒガンザクラ)」の種から育てたもの。採取した種は2008年11月、スペースシャトル・エンデバー号で打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)内で保管。地球を4100周し、2009年7月に帰還した。同町は戻ってきた種を発芽させ、接ぎ木などで50本に増やした。
 その後、同町出身で沖縄県にあるVERAの「石垣局」を担当していた宮地竹史・石垣天文台副所長(当時)が仲介役となり、4局(水沢、石垣、小笠原、入来)に宇宙桜の苗木をプレゼント。水沢では2012年3月、第二東水沢保育園の年長児たちが、水沢キャンパス内の木村栄記念館前に植樹した。
 ところが水沢以外の3局は数年前から開花しているのに、つぼみすら付かない状態が続いていた。同記念館向かいにある奥州宇宙遊学館の中東重雄館長らが、地中の岩石を除去し肥料を与えたところつぼみが付き始め、8年目にして待望の開花。4局連携で運用しているVERAプロジェクト同様、観測点が桜のラインでつながった。
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tanko 2020-4-9 17:50

写真=酒井栄さんが撮影したスーパームーン

 7日夜から8日明け方までの間、満月が今年一番の大きさで見える「スーパームーン」が各地で確認された。NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事の酒井栄さん(67)=水沢東大通り=は、撮影したスーパームーンの写真を本紙に提供した。
 地球の周りを公転している月だが、その軌道はわずかに楕円形を描いているため、互いの距離は約40万kmから36万kmの間で変化している。スーパームーンの定義はさまざまで、名称についても国立天文台は「年間最大の満月」と呼んでいる。
 おりしもスーパームーンが見られた夜、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言が発令された。閉塞感漂う日はしばらく続きそうだが、許される範囲で夜空を見上げてみるのも、ちょっとした気分転換になるのでは。変わらぬ輝きを放つ星々に早期終息の「願い」が届いてほしい。
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tanko 2020-4-9 11:40

写真=EHTによる観測で高解像度の画像が得られた「3C279」の超高速ジェットの姿(写真右側)。左上と左下の画像は、同時期に異なる波長で別の観測網で撮影したもの(C)J.Y. Kim (MPIfR), Boston University Blazar Program (VLBA and GMVA), and the Event Horizon Telescope Collaboration


 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)所属の研究者らが参加している天文学の国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」は日本時間の8日、地球から50億光年離れたブラックホールから噴出する「超高速ジェット」の高解像度撮影に成功したと発表した。研究チームの一員で、同観測所の秦和弘助教は「(8台の電波望遠鏡を連動させる)EHTによる観測が、ブラックホール撮影のみならず、ジェットの解明にも極めて有効であることを示した」と成果を強調する。
 観測は2017(平成29)年4月、国立天文台がチリに設置している「アルマ望遠鏡」など、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、南極の6カ所8台の電波望遠鏡を連動させ実施。一つの天体を観測する「VLBI(超長基線電波干渉法)」と呼ばれる手法を用いた。
 観測対象は、おとめ座の方向にある銀河「3C279」で、中心部に太陽の約10億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールが存在する。大量のガスが吸い込まれることで、巨大なエネルギーが超高速ジェットとして放出。極めて強い光も放っている。
 しかし、地球から50億光年も離れているため、地上からの観測ではほとんど「点」にしか見えず、ジェットの構造やどのように生成されているのかなど詳細は不明だった。
 今回の観測では、ジェットの根元部分が詳しく見ることができ、▽通常は真っすぐ伸びているジェットが少しねじれた形状をしている▽ジェットに垂直な構造が見える――ことなどが判明した。
 研究チームの一員で、超高速ジェットを研究し続けている秦助教は「地球からはるか遠くに位置するので、ジェットの根元の構造を詳しく撮影するには、これまで以上に高い視力が必要だった」と説明。今回の解像度は、月面に置かれたミカンを地球上から認識できるほどの視力に相当するという。
 EHTは今春、構成する電波望遠鏡を6カ所8台から9カ所11台に増やし、観測に入る予定だったが、新型コロナウイルスの影響で今年の作業は中止に。本間所長は「当面は、既に観測している『いて座Aスター』に潜むブラックホールの解析作業を進める」と話している。
(児玉直人)
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tanko 2020-4-3 10:10
 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)のメイン事業VERA(天文広域精測望遠鏡)プロジェクトが、当初より2年早い今年6月で終了する見通しにあることについて、同天文台の渡部潤一副台長は2日、胆江日日新聞社の電話取材に応じ、台長裁量経費による補正措置で、6月終了から本年度いっぱいの運用に延ばす方向で模索していると述べた。同観測所の閉鎖を懸念する市民の声があることについては、「プロジェクトが変わっていくことがあっても、水沢のキャンパスを無くすというのは、話に出たことはない。水沢は非常に大事な場所だ」と強調した。
(児玉直人)

 同観測所が運用しているVERAは「銀河系の地図づくり」を進めている。銀河系の真の姿を明らかにするとともに、謎の物質「ダークマター(暗黒物質)」の解明などにも寄与する。水沢、入来(鹿児島県薩摩川内市)、小笠原(東京都小笠原村父島)、石垣(沖縄県石垣市)の4カ所に同一仕様の電波望遠鏡を設置しており、連動させることで実際に製造不可能な直径2300kmの電波望遠鏡で観測したのと同じ性能を発揮する。
 本間所長によると、プロジェクト終了と観測所予算の前年度比半減の措置が昨年12月、台長らをメンバーとする執行部から突如示され、3月26日付で正式な通知を受けた。本紙などによる一報を受け、市民からは水沢の施設閉鎖につながると心配する声があり、インターネット上では、プロジェクト終了に対して執行部の方針や、国の科学行政の在り方を批判する投稿などが相次いだ。
 渡部副台長は本紙の取材に「天文台予算は非常に逼迫しており、当初配分する予算がどうしても少なく、台長判断でこのような措置となったが、このままでは良くないと思っており、台長裁量経費で対応する考えだ。ただ、前年度決算などがまだまとまっていないため、どの程度補正できるか明確に示せていない」と述べた。
 当初配分の予算額では、6月に水沢を除く3局の運用が困難になるが、補正によって「何とか本年度いっぱいは続けられるようにしたい」と渡部副台長。しかし、当初の運用計画は2022(令和4)年度までとなっており、観測用の電波望遠鏡の耐用年数は10年以上残っている。来年度以降の方針が明確になっておらず、不安定な運営では人材の確保・育成の面にも支障がある。本間所長は「根本的な部分の解決にはなっておらず、この先も同じような問題で現場は混乱する」と危惧する。
 市民から、同観測所の閉鎖につながるのではとの懸念が出ていることについて、渡部副台長は「Z項発見の歴史があり、地域と観測所の協力関係は先進的なものがある。時代とともに、どうしてもプロジェクトの変化はあるが、そのことで水沢から研究者がいなくなり、キャンパスも無くなるということではない。執行部でも水沢を閉鎖しようという話をしたことがない」と理解を求めた。
 近く、同天文台の常田佐久台長が水沢観測所の研究者らに直接説明する予定。地元自治体などに対する説明について渡部副台長は「補正措置が決まってから、あらためてお話できれば」としている。

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