人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2019-12-1 14:20

写真=屋根が開放され、観測当時の様子を垣間見ることができる旧眼視天頂儀室

 国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の前身、臨時緯度観測所設置から120年の節目を祝う記念事業が11月30日、水沢星ガ丘町の同天文台水沢キャンパスで始まった。敷地内の奥州宇宙遊学館では、緯度観測所の歩みを写真や記事で振り返る展示を行っているほか、旧眼視天頂儀室(国登録有形文化財)を公開しており、親子連れらが興味深そうに見学している。
 1898(明治31)年にドイツで開かれた国際(万国)測地学協会総会で、地球の緯度変化の謎を解明する国際緯度観測事業の実施が決定。翌年、水沢のほか、イタリアや米国など北緯39度8分線上などに観測所が設置され、1899年12月11日、初代所長・木村栄による観測がスタートした。
 旧眼視天頂儀室は、眼視天頂儀1号機を使った国際観測網の一環として、緯度観測が行われた場所だ。観測開始から3年後、木村所長が「Z項」を発見し、天文学史に偉大な功績を残した。国の登録有形文化財に2017(平成29)年10月27日に指定された。
 鉄骨造平屋建てで切り妻造り鉄板葺き、建築面積15平方メートル。内部に石造りの天頂儀台が設置されている。観測のため屋根がレール上を移動して上部が開く仕組みになっている。白く塗られた外壁は、空気循環を意図した鉄製鎧板で造られている。
 12月22日まで、建物の外から中が見られるよう公開している。天頂儀台には眼視天頂儀を模したパネルを設置し、普段は閉じている屋根も開き、観測時の状態を再現した。

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