岩手県奥州市・金ケ崎町をエリアとした地域新聞社による国際リニアコライダー(ILC)関連記事を掲載。 奥州市東部の北上山地は、現時点における世界唯一のILC候補地に選定されました。当サイトにはILCをはじめ、理系分野やILCに関連性のある地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)についての記事を随時アップします。
投稿者 : 
tanko 2018-12-11 11:40
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の北上山地誘致を推進する地元行政と、慎重な姿勢を示す市民団体双方の見解を聴く学習会が9日、水沢佐倉河の奥州市文化会館(Zホール)で開かれた。出席者からは「最初は夢のある話だと思っていたが、リスクを初めて聞いて『本当に大丈夫なのか』と感じた」「県や市のレベルで放射性廃棄物処分場への転用を阻止できるのか」といった声が相次いだ。

 学習会を主催したのは、全日本年金者組合胆江支部(菅章夫執行委員長)。同組合会員にとどまらず、一般市民や一関市の住民なども含め、年配者を中心に50人余りが参加した。
 同支部では当初、ILC計画を推進している素粒子物理学者ら専門家から直接説明を受けることを希望。奥州市ILC推進室、県科学ILC推進室に講師紹介を依頼したが「日程が合わない」との理由で実現できず、奥州市の推進室職員が実施している「出前講座」の範囲内でILCの科学的意義やメリット、直近の情報を説明するスタイルに変更となった。慎重派の見解については、一関市を拠点に活動している市民団体「ILC誘致を考える会」共同代表の原田徹郎氏が述べた。
 奥州市ILC推進室の職員はILCで行われる研究概要などに加え、11月14日に明らかとなった日本学術会議ILC検討委による文部科学省への回答案についても触れた。質疑応答では「海外にも同様の施設があり、KEK(茨城県の高エネルギー加速器研究機構)でも新たな実験が始まろうとしている中、ILCをやる必要性は何なのか」「決定する前にリスクを説明すべきだ」「放射能への対応は」など、リスク面への不安や懸念を示す意見や質問でほぼ占められた。市は学習会を主催した同組合を通じ、文書で回答するとした。
 考える会の原田氏は、学術会議の回答案で指摘されていた項目の多くは、地元住民の間でも心配されていた点だったと評価。「地元住民へ十分なリスク説明をしないで推進しようとする姿勢の在り方が問題。行政や議会、商工団体、一部報道機関も含め誘致推進に動いており、疑問の声を上げにくい雰囲気になっている。科学の発展に貢献するという主張は分からなくもないが、震災被災地での生活再建も終わっておらず、われわれ地域住民が生きる上でやらなければいけないこともたくさんある。懸念要素が多い中、ILCは最優先でやるべき事業ではない」と主張した。
 原田氏と共に活動している自営業菅原佐喜雄氏=一関市千厩町=は、推進派と慎重派が感情的にぶつかり合い、地域を二分にするようなことがあってはならないと強調。その上で「本当は心配だが声を上げないという人は、『賛成している』とカウントされてしまう。ILCを推進する人たちや、KEKの中にもいろいろな立場や考えの人たちがおり、それぞれの話を聞かないと全体像はつかめない」との考えを示していた。

写真=ILC推進、慎重双方の立場の話に耳を傾ける出席者
投稿者 : 
tanko 2018-12-9 16:30
 ドイツのヘルムホルツ重イオン研究センターで研究グループリーダーを務めている、斎藤武彦教授(47)=神奈川県出身=は7日、協和学院水沢第一高校(生徒370人、伊藤勝校長)で宇宙や物理など科学に関する特別授業を行った。斎藤教授は科学にとどまらず、さまざまな仕事や活動は今後、国際的に行われる場面がますます増えると指摘。「世界を知ることは、自分自身のためにもなるし、岩手や世界のためにもなる。世界に出て、いろいろと学んでほしい」と呼び掛けた。

 児童・生徒や一般地域住民らを主対象とした斎藤教授の特別科学授業は2012(平成24)年以降、東日本大震災被災県を中心に毎年開催されている。同校での授業は斎藤教授の活動を支援している一般社団法人SAVE IWATE(寺井良夫理事長)と、奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)の協力で実現した。
 普通科の1〜3年から1クラスずつと、調理科1年の生徒計約100人が聴講。斎藤教授は、宇宙の成り立ちやスケール感を分かりやすく解説した。
 宇宙がなぜ誕生したか、なぜ物質が存在するのかを知るために、使用される実験装置が「衝突型加速器」。スイスのジュネーブ近郊で欧州原子核合同研究機構(CERN)が運用する大型ハドロン衝突加速器(LHC)の様子を例に、国際協力の下で科学の研究が行われている点を紹介した。
 LHCと同様に国際協力での運用が計画され、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」についても触れた。「実現すれば岩手で世界の様子に接しられるようになるが、本当に実現できるかどうかはまだ分からない」としながら、「科学に限らず、これからの時代は世界の人たちと協力して仕事をする場面がもっと出てくる。皆さんはまだ若いので、ILCが来る来ないにかかわらず、どんどん世界を見てほしい。もしILCが来たら、それをうまく活用すればいいと思う。英語をはじめとするさまざまな言語も学んで、世界を引っ張っていけるような人材になってほしい」とエールを送った。

写真=宇宙や物理の研究について解説する斎藤武彦教授
投稿者 : 
tanko 2018-12-8 10:00
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」実現を見据えた日本政府の前向きな意思表示について、国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」最高責任者のリン・エバンス氏=インペリアル・カレッジ・ロンドン教授=は7日、「来年3月7日までに出すことが重要」と表明。これまで期限とされていた「年内」から事実上引き延ばされたことになる。

 エバンス氏は、東京の衆議院第一議員会館で開かれた国会のILC議員連盟とILC誘致実現連絡協議会の総会に出席。海外におけるILCに対する期待を伝えるため、LCC副責任者の村山斉氏=カリフォルニア大学バークレー校教授=と共に招かれた。
 席上、エバンス氏は日本政府の意思表示時期について「来年3月7日までに」と発言。総会に参加した誘致関係者によると、同3月7日は世界の主要加速器研究所の代表者らで組織する「国際将来加速器委員会(ICFA)」と「リニアコライダー国際推進委員会(LCB)」の東京で開かれる合同会議の開催日で、今月6日にLCBの電話会議で意思表示の期限延伸の方針がまとめられたという。
 ILC誘致を推進する研究者らはこれまで、「今年中に日本政府による前向きな意思表示が必要」と主張。東北や本県の経済界、自治体首長ら地元関係者も研究者らの指摘に基づき、政府関係者らに早期対応を求める要望活動などを展開していた。
 「年内」が期限とされてきた理由は、欧州の次期素粒子物理学計画の策定作業があるためで、計画に大きな影響力を持つ欧州原子核合同研究機構(CERN)のファビオラ・ジアノッティ機構長らの見解に基づくものだった。ファビオラ機構長はLCBのメンバーでもあり、日本政府の意思表示期限の先送りを実質了承したものとみられる。
 ILCを巡っては、日本学術会議のILC計画見直し案に関する検討委員会(家泰弘委員長、委員10人)が、文部科学省に対する回答案を11月14日に公表。誘致に慎重な見解や指摘がにじみ出た内容で、推進派の研究者や行政、経済関係者は「事実誤認」「正しく理解されていない」などと反発している。
 学術会議の検討委は、11月21日に開かれた第11回会合(非公開)以降開催されていない。同会議事務局によると、今月7日時点でも次回会合の予定は決まっていない。
投稿者 : 
tanko 2018-12-3 8:00
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」を巡り、国際協議に入るために必要な日本政府の意思表明が、年内までに行われるかどうか微妙な情勢となってきた。政府にとって、日本学術会議(山極寿一会長)から回答されるILC計画への所見が判断のよりどころの一つ。回答提出までには学術会議内での査読作業と幹事会の了承を経る必要があるが、次回幹事会は19日の予定で祝日や年末年始の休業なども勘案すれば、年内に政府内で協議できる時間はわずか。仮に年内表明が間に合わない場合、日本の誘致関係者らは、国際協力体制構築を左右する欧州の科学者界に対し時間的猶予を求めて交渉せざるを得ない場面も出てきそうだ。(児玉直人)

 国際プロジェクトに位置付けられるILC計画を実現するためには、公式な国際協議の場で費用分担などを話し合い、その都度合意を得ていく必要がある。ILC計画を推進する素粒子物理学者らは「今回の政府の意思表明は、誘致の是非ではなく、公式協議を始めようという姿勢を示してもらうもの」と強調する。
 一方、日本学術会議の「ILC計画見直し案に関する検討委員会」(家泰弘委員長、委員10人)が11月14日に公表した文科省への回答案には、ILC計画に対する慎重な見解や各種対応の不十分さを指摘する文言が目立った。推進派研究者や東北、岩手の経済関係者らは、事実誤認や情報が正しく理解されていないなどと一斉に反論。同19日、検討委に意見・説明書を提出している。
 検討委の家委員長は当初、同21日の第11回会合(非公開)で最終版に近いものに仕上げる意向を示していた。しかし、関係者によると取りまとめまでには至らなかったという。12回目の会合時期について、学術会議事務局は「未定」としている。
 学術会議では、審議などの依頼を受けた案件を回答する前に、査読と呼ばれるチェック作業と幹事会での承認を踏む必要がある。学術会議事務局によると、幹事会は月1〜2回開催しており、次回は19日に開催される予定だ。2013年に学術会議でILC計画の協議が行われた際は、案がまとまってから文科省に回答するまで約1カ月半かかっている。
 あらゆる分野の科学者の意見をまとめ、国内外に発信する立場にある学術会議が、慎重姿勢の色濃い所見を回答した場合、推進派の考えとぶつかることになる。推進派関係者は、国会のILC議連や自民党のILC関係組織の存在を頼りに、政界での理解構築に努めてきた背景がある。推進と慎重双方の立場を考慮すると、政府がわずか数日で公式見解を示すのは容易ではなさそう。
 年内までに日本政府の意思表示が求められている理由は、2020年5月を始期とする欧州の次期素粒子物理学計画の策定作業があるためだ。同計画にILCが盛り込まれなければ、国際協力体制が構築できない恐れがある。
 ILCを推進する研究者の一人は、計画策定に大きな影響力を持つ欧州原子核合同研究機構(CERN)のファビオラ・ジアノッティ機構長らが「年内に日本政府の前向きな発表がなければ欧州の戦略でILCは考慮しない」と述べていたと説明。これが現時点での公式見解になっているという。この研究者は、仮に日本政府の意思表示が年内に間に合わなかったときは、欧州側に時間的な猶予を求める交渉が必要になってくると推測している。

 ◇LCC最高責任者ら議連で講演へ(7日)
 超党派国会議員で組織するILC議連と、自民党のILC誘致実現連絡協議会の総会は7日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館内で開かれる。ILCを推進する国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」の最高責任者リン・エバンス氏と、LCC副責任者の村山斉氏を招き、ILCを巡る海外での状況について報告を受ける。
投稿者 : 
tanko 2018-12-1 8:10
 岩手県南と宮城県北の8市町首長は30日、文部科学省から国際リニアコライダー(ILC)に関する審議依頼を受けている日本学術会議(山極寿一会長)に、候補地周辺の誘致に関する取り組みをまとめた連名の意見書を提出した。慎重な見解が示された学術会議の検討委員会の回答案へ事実上反論した素粒子物理学者や経済界の動きに、地元自治体も追従した形だ。
 意見書に名を連ねたのは、奥州市の小沢昌記市長や一関市の勝部修市長ら首長8人。児童生徒や地域住民に対する理解促進に取り組んできたことなどが記されており、「地域住民はILCに理解を深め、その実現を待ち望んでいる」と主張している。同日、勝部市長が代表して東京都港区の同会議を訪れ事務局職員に直接手渡した。
 一方、ILC計画に慎重な姿勢をみせている県内の市民団体8団体は、11月26日付で検討委の回答案に賛意を示す文書を提出した。8団体は自然保護や放射能汚染問題をテーマに活動している組織。「推進側は地域住民の疑問に真剣に向き合わず、経済効果などを誇大宣伝してきた」などと指摘し、「貴委員会の所見案により、県民が抱いていた不安、リスクが明らかにされた」と評価している。

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢区柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動