人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2018-3-12 10:50
 水沢環境公社(菅野市夫理事長)は創立50周年記念事業として、ILC(国際リニアコライダー)絵画コンクール入賞作品をごみ収集車と衛生車(バキュームカー)9台の車台に施した。10日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)駐車場でお披露目イベントを開催。市民や関係者らが節目を祝い、ILCの誘致実現を願った。
 同公社は創立50周年を機に、市民に各種事業への理解を深めてもらい、親しみを持ってもらう狙いで車両のラッピングを企画。モチーフは市が積極的に取り組むILC誘致に関するものにしようと、県南広域振興局主催の本年度ILC絵画コンクールの市内児童の優秀賞と佳作に選ばれた9点に決めた。
 お披露目イベントには作品を描いた市内の小学生5人を含む約30人が参加。1台に1作品が大きくラッピングプリントされた車9台がお目見えすると、拍手が起こった。
 菅野理事長は「このラッピング車両が毎日市内を走ることで、ILC誘致への機運醸成を後押しできれば」と期待。細川倫史同振興局長、小沢昌記市長も祝辞を寄せた。
 自身の絵がラッピングされた市立常盤小2年の丸山葉月さんは、「(ILCで)ヒッグス粒子が生まれる様子を描き、地球と太陽も描くことで宇宙の大きさも表現した。東北の復興と発展のために、岩手県にできてほしい」。同じく作品が採用された水沢小4年の高橋晴斗君も「ラッピング車両を見て驚いたし、うれしかった。岩手にILCができたらうれしい」と笑顔を見せた。

写真=ラッピング車の前で記念撮影する菅野市夫理事長(左から2人目)と絵を描いた市内の小学生たち
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tanko 2018-3-12 10:50
 日本宇宙少年団水沢Z分団(佐々木孝分団長、団員50人)の本年度閉講式は11日、水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。宇宙や科学の不思議に迫った探究心を膨らませ、新年度への意欲を高めた。
 昨年5月13日に開講したZ分団。全11回の活動で水ロケットやペーパークラフトの作成、いわて銀河フェスタ2017への参加などに取り組んできた。
 閉講式で、佐々木分団長が団員代表の皆勤賞の5人に修了証書を授与した。
 市水沢総合支所の本城清支所長は「さらに知識を増やしてILC(国際リニアコライダー)に携わるような人に育って」とエール。佐々木分団長は「来年で25年目。一つ一つの活動を充実させたい。楽しみに参加してもらえたら」と激励した。

写真=本年度の修了証書を受け取る団員
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tanko 2018-3-9 10:40
 国際リニアコライダー(ILC)が完成したら、今まで以上に地域には多くの外国人が暮らしたり、訪れたりすると思います。異文化交流が盛んになると思いますが、逆に言葉の壁や考え方の違い、治安の面などの対策は大丈夫でしょうか?


偏見を持たないことが大切です
 ILCの建設や研究が始まると、日本国内はもちろん、海外から技術者や研究者とその家族たちが、年に1万人程度来日すると予想されています。来訪者の大部分は理系の方々だと思われます。
 研究とは直接関係がない芸術や文化に関心を寄せる人もいます。日本の茶道や剣術、日本建築や造園、琴や三味線など、日本の伝統文化に興味を持っている人も少なくありません。
 「日本に来る」「日本に来て研究をしたい」と思う人たちは、日本語や日本の生活や環境についても積極的に勉強しよう、覚えようと努力します。特に「言葉」については、日本語環境の中で実生活を行いながら経験を積み重ねるため、驚くべき進歩を遂げると思います。
 むしろ私たち日本人が共通語である英語で話すよりも、正しい日本語で話してくれる方が相手にとっては喜ばれるかも知れません。道路で外国の人に会ったら「こんにちは」と、まずは日本語で話しかけることが肝要です。
 ニヤニヤして何も声をかけなかったら、むしろ相手の外国人の方がびっくりし、恐怖を覚えるかもしれません。「英語がわからない、しゃべれない」ということで心配することはないと思います。お互いのことを一生懸命理解しようとする態度が重要なのです。
 一方で「物事の考え方」については、宗教的な考え方や国民性、その人が育った環境によって異なりますし、それが当たり前です。まずは相手の考え方、意見を尊重することです。
 もし、相手と自分との考え方ややり方が異なっていたら、「日本ではこのように考えますよ」「このような場合、日本ではこうします」というような慣例を話しましょう。いきなり「ダメだし」をして、相手を従わせる、無理強いするというようなやり方はいけません。
 「あなたの国ではそのようにするのですか? そのように考えるのですか?」というように相手の話をよく聞き、考え方を理解する努力を心掛けることが大切です。異文化交流とは、相手を知り、理解することなのです。
 治安についての質問もありました。どこの国においても犯罪者や治安を乱すような人はいます。「日本は治安が良い」とよく言われますが、ほぼ毎日、全国のどこかで何らかの犯罪行為、迷惑行為があります。ILCが来る来ないを問わず、安全で住みよい地域を目指すための取り組みは欠かせません。
 ILCの話題に触れる機会を利用し、世界中にはいろいろな考え方を持った人が大勢いることを考えたり、日本人の国民性を見つめ直したりするのもいいでしょう。世界を知る良い機会になると思います。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき
 奥州市や金ケ崎町には国際交流協会という組織があります。
 外国人と日本人との交流を促進するイベントを企画したり、海外にある姉妹都市や交流団体からの来訪者の受け入れ対応をしたりしています。日本人向けの外国語講座、外国人向けの日本語講座なども企画しています。
 奥州市国際交流協会では、ILC誘致を意識した取り組みをしており、医療通訳もその一つです。病気やけがを一刻も早く治したいと思うのは皆同じ。しかし、自分の症状を日本語で正確に伝えるのは、外国人にとって難しいことかもしれません。お医者さんや看護師さんの中には英会話ができる人がいるかもしれませんが、それ以外の言語も複数使いこなせるという人はなかなかいません。もし、言葉を間違って理解して治療したり、薬を出したりしたら大変なことになります。このほか、治療に対する考え方や医療保険制度も国によって異なります。しっかり研修を受けた通訳が間に入ることで、トラブルを防ぐことができます。
 医療分野に限らず、行政サービスや郵便、金融、警察・消防、交通などさまざまな場面で、言葉の壁を解消するのに必要な取り組みが今後重要視されてくることでしょう。
(児玉直人)

写真=外国人との会話を楽しむ金ケ崎町の児童たち=今年1月に開かれた「グローバル・キャラバン」
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tanko 2018-3-7 10:40
 岩手県南地区の児童たちが描いた国際リニアコライダー(ILC)の絵画コンクール(県南広域振興局主催)の入賞作品巡回展示が6日、水沢区佐倉河のいわて生協コープアテルイ2階を会場に始まった。児童たちのアイデアや想像力が詰まった絵に市民らが足を止めて見入っている。13日まで。
 ILC普及啓発を図る一環で、2015(平成27)年から始まった絵画コンクール。県南地域を中心に、仙台市や東京都からも応募があった。応募総数は、358点(低学年の部149点、高学年の部209点)だった。
 巡回展示は、入賞作品36点のほか奥州市内からの全応募作品158点が勢ぞろい。素粒子や未来都市の想像図、独自のキャッチコピーも付け加え、夢のILC実現に希望を膨らませている。
 展示時間は午前10時から午後9時まで。

写真=いわて生協コープアテルイで開催中のILC絵画コンクール巡回展示
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tanko 2018-3-6 11:30
 任期満了に伴う奥州市長選は4日投票が行われ、即日開票の結果、現職の小沢昌記(まさき)氏(59)=無所属=が2万7767票を獲得し3選を飾った。高い知名度を背景に地元水沢をはじめ全域で幅広く集票。新人の佐藤邦夫(くにお)氏(70)=無所属=を破り、佐藤洋(ひろし)氏(63)=同=を振り切った。市議選の投開票も行われ、新人9氏を含む議員28氏が決まった。

 市長選は、現職の市政継続か、いずれかの新人による刷新かが最大の焦点だった。三つどもえの争いとなったのは、2006(平成18)年の奥州市発足による初代市長選以来12年ぶり。投票率は64.25%で、現新一騎打ちの前回選(67.73%)を3.48ポイント下回った。
 3選を果たした小沢氏は、高い知名度を生かし地元水沢や胆沢で広く浸透。江刺や前沢、衣川で苦戦を強いられたものの、一定の浮動層も取り込み票を積み上げた。5区35支部の組織を再構築し支持を拡大。市町村合併による市の体制構築に取り組んだ2期8年の実績と次期の「飛躍」をスローガンに掲げ、協働のまちづくり推進、子育て環境充実などの訴えが実った。
 佐藤邦夫氏は、地元江刺や前沢、衣川で厚い支持を集めたものの、大票田・水沢を切り崩せず一歩及ばなかった。佐藤洋氏は、地元水沢や胆沢を中心に支持を得たが、全域で浸透し切れなかった。
 当選証書付与式は、6日午後1時半から市役所江刺総合支所1階多目的ホールで行われる。
 4日現在の有権者数は10万692人(男4万8212人、女5万2480人)。
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市長選 開票結果
当 27,767票 小沢 昌記(59)無現
   21,098票 佐藤 邦夫(70)無新
   14,785票 佐藤  洋(63)無新
(市選管確定・午後11時35分)
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 小沢昌記氏(おざわ・まさき) 東京経済大卒。1996年度水沢青年会議所理事長。旧水沢市議2期、2006年には奥州市議に当選し議長を務めた。2010年、奥州市長選に初出馬し当選、現在2期目。水沢区字東町23の3。同区出身。59歳。
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「連帯」で結ばれた市を(当選から一夜明け小沢昌記さん)

―― 一夜明けた気持ちと3期目の決意は

 何よりも、支持をいただいた皆さまに心から感謝する。三つどもえの選挙でそれぞれの候補者が訴えた政策が多くの支持を集めたことを真摯に受け止め、政策に取り入れるべき部分について配慮したい。住んで良かったと思っていただける、幸せを実感していただける奥州市となるよう一層努力する。

――自身はどの部分で支持を得たと考えるか
 説明不足を補う訴えができた選挙運動だった。旧5市町村合併は、ルール統一や財政の健全化を全て新市に引き継いだ。これは、五つのものを一つにまとめるという最も重要なポイントだった。合併効果を発揮できる土台づくりのために行財政改革に力を尽くしてきた。発展のための土台がほぼ完成したので継続させていただきたいと訴え、支持につながったと考えている。

――次点候補との得票差をどう考えるか
 今回は全体で約6万5000人に投票をいただき、1位と2位の7000弱の票差は全体の1割を超えており、大きな支持をいただいたと考えてもいいのではないか。ただ、2位と3位の2氏を足せば、私の獲得票数よりはるかに多い。十分な配慮をしながら、市は一つという名の下に、連帯の絆で結ばれた市をつくりたい。

――まず取り組む課題は
 子育て環境の充実に向け、相談窓口やサポート施設など妊産婦の包括的サービス事業を展開する。これは6月議会で予算提案したい。子どもの医療費の助成拡大、まちづくり交付金の増額あるいは支援メニューの拡大を検討していく。

写真=3期目の決意などを語る小沢昌記さん=市役所本庁

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【基本情報】
 ※奥州市(おうしゅうし)……岩手県南部の胆江2市町を形成する市で、旧水沢市、旧江刺市、旧前沢町、旧胆沢町、旧衣川村の5市町村が合併し2006年2月20日に誕生した。周囲は金ケ崎町、一関市、平泉町、北上市、住田町、花巻市、遠野市、西和賀町、秋田県東成瀬村に接する。人口は118,771人(2018年1月31日現在)。
 中央を北上川が流れ、川の西側は胆沢(いさわ)郡、東側は江刺(えさし)郡とされていたことから、双方の頭文字を取り奥州市と金ケ崎町の2市町は「胆江(たんこう)地方」と呼ばれている。
 古くから農畜産業が盛んであるとともに、南部鉄器や岩谷堂箪笥などの伝統工芸も息づく。かつては、県南の商都といわれるほど水沢駅周辺や江刺区岩谷堂の中心市街地は活気を帯びていたが、車社会の到来と郊外への大型店進出などにより衰退の一途をたどる。
 人口減少、高齢化社会を見据えた地域振興策、地域医療の充実、合併前の旧市町村間の一体感情勢などが主な市政課題となっている。
 ILC建設候補地の北上山地は、江刺区東部の中山間地域に位置。東北新幹線・水沢江刺駅から車で15分程度でたどり着く。

 ※奥州市長選・市議選……任期満了に伴い2月25日告示。新人の佐藤洋氏(63)、現職の小沢昌記氏(59)、新人の佐藤邦夫氏(70)の3氏(届け出順)が立候補した。ILC計画に関しては3候補とも誘致に積極的に関わる姿勢を打ち出し、研究者らの受け入れ態勢のみならず、地域産業と絡めた対応策、企業誘致などに取り組む姿勢を示していた。
 市議選は市長選と同日告示、同日投開票。定数28に対し30氏が立候補した。ILCに関しては市長選3候補と同様、選挙戦を通じ誘致実現とまちづくりとの連動を主張する候補者も見受けられた。
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tanko 2018-3-6 11:30
 任期満了に伴う金ケ崎町長選は4日投票が行われ、即日開票の結果、現職の高橋由一氏(71)=無所属=が、新人の高橋寛寿氏(62)=同=に750票差で4選を果たした。財政改革など3期12年の実績を基に、子育て支援や高齢者支援、国道4号周辺開発などを含む新たな産業振興による人口減への対応施策充実を訴えた高橋由一氏。対する高橋寛寿氏も、「金ケ崎の未来のために」と人口増に向けた政策の強化を訴え、現体制への反発勢力を中心に町政へ新風を求める有権者の支持をつかんだものの、現職の固い組織選挙に阻まれ及ばなかった。
 4選を目指す現職と、現職の下で財政課長や参事兼総合政策課長などを務めた元役場職員の新人が、激しい攻防を繰り広げた町長選。投票率は69.28%。昨年末には一騎打ちが確定し、両陣営が支持拡大を目指し積極展開したが、告示3週前に「無風」から一転選挙戦が確定した2014(平成26)年の前回選と比べ、2.03ポイントの上昇にとどまった。
 高橋由一氏は、昨年7月に出馬を正式表明。町内に張り巡らせた後援会組織の機動力に加え、町議9人が街頭でマイクを握るなど支持を打ち出し、地元3土地改良区や町商工会、町建設業協会、自動車関連労組などが支援。手堅く支持を固め、猛追する高橋寛寿氏を退けた。
 町政への初チャレンジとなった高橋寛寿氏は、人口減を想定した現在の第10次町総合発展計画を問題視し、「金ケ崎の未来を決めるのは、今生きている私たち。私たちが諦めたら、金ケ崎の町は発展しない」と人口減少対策への取り組み強化を主張。宮舘寿喜元県副知事や高橋紀雄前金ケ崎町長、高橋篤元町議会議長が支援体制を組み、町議3人らも支持し「新風」を訴えたが、現職の厚い組織の壁を切り崩しきれなかった。
 当選証書付与式は、5日午前10時から町役場で行われる。
 4日現在の有権者数は1万3041人(男性6521人、女性6520人)。
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金ケ崎町長選 開票結果
当 4,863 高橋 由一(71)無現
   4,113 高橋 寛寿(62)無新
(町選管確定・午後8時38分、投票総数9,035票、無効58票)
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 高橋 由一氏(たかはし・よしいち) 鯉渕学園卒。1967年県共済農協連入り。業務部長、全国共済農協連県自動車部長などを経て、2002年5月県副本部長で退職。同6月町助役就任。2006年3月から金ケ崎町長3期12年。金ケ崎町永栄下谷起3の2。同町出身。71歳。
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新産業都市づくりを推進(当選から一夜明け高橋由一さん)



―― 一夜明けた気持ちと4期目の決意は
 長い選挙戦だった。たくさんの方々にご苦労をかけた。政策や公約をしっかり実行していく。積み重ねてきた政策に新しい政策をプラスし、新産業都市のまちづくりを進める。時代が変わることに対してスピード感を持って対応し、常にチャレンジし、自治体の良さを発揮していく。

――750票差をどう受け止めるか
 750票差は、かなり近い状態にあると認識している。諸課題に対し、率直に対応解決しなければならないものもあると思っている。「継続か刷新か」が争点となったが、激戦模様との報道に対し、投票率が2ポイントの上昇にとどまった。町政への関心が低いとするならば、大きな問題。地域づくりや地域協働を進める際の課題につながる。

――公約実現の優先順位は
 最大の課題は人口減少への対応であり、社会減に歯止めをかけ、自然減の減少幅を小さくすること。そのために総合的な政策対応が必要。その中に、企業誘致など具体的な経済政策と、雇用、住宅、子育て支援をセットで進めていく。人口対策が最優先であり、その中にこれらの政策が入ってくる。

――町政の中・長期的ビジョンは
 経営体として持続性の高い金ケ崎をつくるため、経営環境の診断結果に基づき、自治体経営を再構築。縮小時代の住民と行政による協働型行政改革に取り組む。未来課題を見据えた自治体経営の変革と創造の在り方を整理したので、次期計画などに反映させていく。国道4号周辺開発を含む新産業都市計画では、土地利用計画の見直しも含め進める。

写真=当選証書を手にしに、4期目の決意などを語る高橋由一さん

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【基本情報】
 ※金ケ崎町(かねがさきちょう)……岩手県南部の胆江2市町を形成する町で、南は奥州市、北は北上市に接する。人口は15,750人(2018年1月31日現在)。
 町東部に国道4号、東北自動車道、JR東北本線がそれぞれ南北に貫いており、これらの交通網の沿線に町の主要機能や商業施設、住宅団地等が集中し、人口も多い。西部は自然豊かな農業地帯が広がり、酪農も行われている。
 県内屈指の規模を誇る岩手中部工業団地には、トヨタ自動車東日本岩手工場や関連する自動車部品工場が集積しているほか、製薬会社や各種工業部品加工メーカーの工場もある。新興住宅地も多く、同工業団地内の工場だけではなく、奥州市や北上市の企業に勤務している住民も少なくない。こうした特性から、町外出身のいわゆる「新住民」が多い地域でもある。工業団地勤務者も多く、若い世代であってもその多くが男性という特色もある。

 ※金ケ崎町長選……任期満了に伴い2月27日告示。届け出順にいずれも無所属で新人の高橋寛寿(かんじゅ)氏(62)と現職の高橋由一(よしいち)氏(71)立候補した。選挙戦では新人の高橋寛寿氏による町政の刷新か、4選を目指す高橋由一氏による継続性かが投票する上での判断基準の一つになった。両氏とも人口減少問題を重要視し、子育てや定住化、まちづくりの在り方などに絡めて支持を訴えてきた。
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tanko 2018-3-4 11:00
 水沢緯度観測所(現・国立天文台水沢VLBI観測所)の初代所長を務めた木村栄(ひさし)博士(1870〜1943)が、男女共同参画や若者の雇用、人材育成に積極的だったことが、一橋大学社会科学古典資料センターの馬場幸栄(ゆきえ)助教の調査で分かった。馬場助教は、観測所に残っていたガラス乾板写真の復元と、そこに写っていた人物の家族らへの聞き取りを実施。水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で復元した写真の展示会を開いており、「教育関係者や企業経営者など、人を育てたり雇ったりしている立場の方々にも写真を見て、何かを感じてもらえたら」と話している。

 馬場助教は、2016(平成28)年度からガラス乾板写真の復元から、緯度観測所の歴史や関係した人物に関する研究調査を展開している。3回目となる今回の写真展は、女性職員の存在に注目。なぜ、これほど多くの女性が天体観測施設に勤務していたのかを調べた。
 1899(明治32)年の開所から、1988(昭和63)に国立天文台へ組織移行するまでの間、勤務した全職員の38.5%が女性だった。最初の女性職員採用は1923(大正12)年のこと。当時、帝国大学への女性の入学例は東北帝大(現・東北大学)などわずか。女性が自然科学分野の専門職に従事するのは難しい時代だった。
 馬場助教によると、木村博士は地元の女学校などにしばしば足を運び講演活動をしたほか、学校長とも親交を深めていたという。
 Z項の発見など、天文学研究の功績に注目が集まりがちな木村博士だが「地域の皆さんとのコミュニケーションの取り方が非常に上手だったようだ」と馬場助教。研究を支える人材を確保するという経営者的な感覚を持つと同時に、向学心のある地方の若者、特に女性にもチャンスを与えたいという教育者的な側面もあったようだ。
 女性の登用に理解を示したのは木村博士だけではない。第3代所長となる池田徹郎博士は、「寿退社」という世の中の風習に従って退職しようとした女性に「これからはそういう時代じゃないから」と告げたという。
 馬場助教は「今の時代、即戦力を求める風潮もあるが、地元に暮らす若者にチャンスを与え、たとえ専門知識がなくても職場で育てるというのが木村博士のやり方だった。男女共同参画や人材育成などの問題を考える上でも、見習うべき点が多い」と強調する。
 女性職員の多くは、観測データを計算する業務に従事。当時使用していた「手回し計算機」と同タイプの機械も展示している。4日は午前11時から正午まで、馬場助教による講演も予定している。
 展示は午後5時までだが、入館は同4時半まで。入場無料(常設展示見学は入館料が必要)。問い合わせは同遊学館(電話0197・24・2020)へ。

写真=ガラス乾板から復元された女性職員が多数写っている写真
写真=多くの女性職員が使用していた手回し計算機。手前はそろばん
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tanko 2018-3-1 10:40
 昨年のノーベル物理学賞受賞者の一人で、米国のカリフォルニア工科大学名誉教授バリー・バリッシュ氏(82)は、北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に対し、強い支持を表明した。
 バリッシュ氏は、重力波観測に世界で初めて成功した研究施設「LIGO(ライゴ)」の研究責任者などを歴任。国際的なプロジェクトに育て上げたことなどが認められ、同じプロジェクトに携わった米国人研究者2人とともに、ノーベル物理学賞を手にした。
 LIGOで大きな実績を残したバリッシュ氏だが、ILCの技術設計報告書(TDR)をまとめ上げた国際共同設計チームの最高責任者を務めた経歴もある。2012年1月には江刺区や一関市を訪れ、ILC候補地である北上山地を視察している。
 今回の表明は、インターネット動画サイト「You tube(ユーチューブ)」を通じて行われた。
 バリッシュ氏は、2013年に欧州合同原子核研究機構(CERN)の実験施設・大型ハドロン衝突加速器(LHC)でヒッグス粒子が発見されたことに触れ、「ヒッグス粒子発見はノーベル賞にもつながった。今後は、どのように質量が生み出されるかヒッグス粒子のメカニズムをしっかり理解する必要がある」と指摘。「その謎に手が届く場所まで来ている」と述べ、ILCの重要性を説いた。
 バリッシュ氏は「私たちは(ILCの)設計を本物に変えたい」「(ILCは)私たちの知識を超えた場所に連れて行ってくれる。私は最も強い言葉で、ILCへの支援を表明する」と結んだ。
 バリッシュ氏の動画のアドレスは
https://youtu.be/j5PPW8oBLSw
You tube内の検索欄に「バリッシュ ILC」と入力しても表示される。動画の下に表示されるメニューを操作すると、日本語字幕も表示できる。

写真=動画サイトを通じILCへの支持を表明するバリー・バリッシュ氏 (You tubeより)

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