人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2017-12-29 9:50
 国際リニアコライダー(ILC)の建設はまだ決まっていないそうですね。どのような手順で決められるのですか? ILCの建設を決めるための作業は、どこで行われ、今は何をしている段階なのでしょうか?

現在、文科省の有識者会議で協議中です

 確かにILCを建設することは、まだ正式に決まっていません。それどころか、北上山地に建設すること自体、決まっていないのです。
 「あれ? 建設地は北上山地じゃないの」「誰が建設を決めるの?」と素朴な疑問が次々浮かび上がってくるはずです。
 北上山地は「最有力候補地」という位置付けです。「もしILCの建設が決まったら、北上山地が適しています」という意味と考えていいでしょう。
 北上山地が「いい場所ですよ」と言っているのは、ILC計画に関係する世界の研究者の皆さんです。日本だけでなく、世界中の研究者たちが長い時間を掛け、地質などあらゆる環境条件を調べ、技術的な評価をした上で「北上山地が最適な場所」と決めたのです。
 この判断に基づいて、現在は北上山地に合わせた詳細設計が、研究者の間で進められています。
 北上山地にILCを誘致・建設するかどうかの最終決断を下すのは、日本政府です。なぜならば、ILCの建設には巨額の費用が必要です。そのためどうしても国の費用(税金)を投入する必要があります。税金を使う場合、政府はILCの建設が日本にとって有益かどうか、国益となるかどうかについて、いろいろな観点から慎重に調べなければいけません。
 ILCは科学研究施設なので、文部科学省(文科省)という国の役所が主担当になっています。文科省は、日本の科学者の代表機関であり、内閣府の特別機関の一つである「日本学術会議」という組織に対して、「ILCの日本誘致」について審議を依頼しました。文科省は、学術会議での審議結果を受け、「ILCに関する有識者会議」というグループを作り、現在はこの会議の中での話し合いが進められているところです。このように、いくつもの話し合いを重ね、政府は最終決定を行います。
 有識者会議では、今年11月に研究者側から示された「ステージング」という当初計画より全長を短くした施設への変更について、その妥当性、有効性などについて詳しく調査しようとしています。1月に入ったら、その作業が始まる予定です。
 ステージングについては、12月1日付のこのコーナーで説明しています。ヒッグス粒子の研究が可能な全長20kmの施設規模から建設を始め、研究が進むにつれ施設を大きく(長く)していくという方法です。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき

 今月、江刺区や衣川区にILC実現への期待を込めた看板が設置されました。地元の中学生の皆さんが絵を描きました。
 北上山地にILCが来てほしいと願っている人たちによって、奥州市内のあちこちに「ILC実現」をアピールする看板や垂れ幕、ポスターなどが掲げられています。ILCのステッカーが貼られたバスやタクシー、トラックなどもよく見掛けると思います。
 小中高生の皆さんも出前授業や講演会などを聞いて、「早くILCが実現しないかな」「ILCで働いてみたいな」と思っている人が多いかもしれません。でも、限りある税金や人材を有効に使うため、どうしても話し合いは慎重になり、時間もかかります。
 候補地である奥州市や一関市を中心とした地元の人たちは、多くの時間と努力を重ね、誘致運動を繰り広げています。どれだけ先にあるか分からないゴール(誘致決定)を信じ、一生懸命走り続けているのと同じ状態です。
 長い時間走り続けていれば、誰だって疲れてきます。「やる気」を持ち続けるのも大変です。一体、ゴールはいつなのでしょうか。
(児玉直人)

写真=日本学術会議の講堂。2014(平成26)年6月にILC実現の意義や課題などを探るフォーラムが開かれました(東京都港区)
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tanko 2017-12-27 19:00
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」実現を見据え、国内研究者や岩手、宮城両県の行政、経済界関係者らで組織する東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学学長)は、ILCに水や電力を供給する拠点として、奥州市内にある既存施設を有効活用することなどを提言している。同準備室は、まちづくりや多文化共生など、市民生活にも結びつく事柄についても方向性をまとめ、順次公表していく予定。ILC実現へのヤマ場となる日本政府の判断のリミットが来年夏に迫る中、準備室関係者は政府が「ゴーサイン」を出すことに期待を込めながら作業に当たっている。

 東北ILC推進協議会の内部組織である同準備室は昨年6月に設置。岩手県立大学や東北大学、岩手大学、岩手・宮城両県、仙台市、岩手県ILC推進協議会の関係者らで構成している。
 ▽広報▽地域▽技術▽産業――の4部門と、地下施設、マスタープランの2専門部会を設け、地域の現状を反映させながら、ILC実現のために必要な情報を整理。地元提言の要素も加わった「ガイドラインシリーズ」と呼ばれる資料にまとめ、政府や地元関係者、国内外の研究者らがILCを具体化する際に活用してもらう。
 同準備室が今月開いた記者勉強会では、3種類のガイドラインシリーズや現在までの検討状況をまとめた資料が配布された。このうちILCで使用するエネルギーや水に関しては、東北電力水沢変電所=水沢区黒石町字下柳=や胆沢ダム、胆江広域水道(奥州金ケ崎行政事務組合管理)の給水管など、奥州市内にある既存施設の利用を掲げている。
 水沢変電所は、宮城県や秋田県の火力発電所などから275kVの超高電圧を受電している県南唯一の設備。ILC建設候補地からも近い。
 一方、加速器の熱を冷却するための水は、胆沢ダムからの調達を視野に入れる。同準備室は、広域水道給水管の末端にある江刺区の万松寺配水施設とフロンティアパーク配水施設から13km、水沢区と胆沢区境にある桜屋敷配水施設から15kmの給水管を新設し、ILCへ届ける方法を模索している。
 江刺の2配水施設を経由するとILCの北端部からの給水となる。桜屋敷からだと中心部への接続が可能だが、北上川を渡る形で給水管を設置する必要がある。
 装置冷却により温められた水は、農林水産業や建物の冷暖房などへ有効活用する。ただし、ILCからの排熱の多くは100度以下の“低品位”が多いことから、粘土系の熱吸収・排出素材「ハスクレイ」の活用を検討。ILC施設から離れた園芸施設などに熱を吸収した素材をトラック輸送することが可能で、国際研究施設と地元農業が結びつく姿を提案している。

写真上=水沢区黒石町の東北電力水沢変電所と胆沢区若柳の胆沢ダム(資料写真)
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tanko 2017-12-24 11:40
 国際リニアコライダー(ILC)の話題を追い続け8年。ILC計画の存在を初めて私に教えてくれたのが、当時県議だった故・亀卦川富夫さん。あす25日は一周忌だ。
 日本が中心となり、国際的な大型プロジェクトを実現させるのは、実はILCが史上初だという。それだけでも、注目すべきことなのだろうが、なかなか「世論」の表舞台に出てこない。何かと社会に影響力のある大手新聞や在京キー局が、時間やスペースを割いて取り上げている状況にはない。誘致関係者も「なぜだろう」と首をかしげる。よほど素粒子物理学は“マスコミ受け”の悪い分野なのか。
 年明け早々、ジャーナリスト・池上彰氏による講演会が胆沢文化創造センターである。その池上氏は先日、テレビの特番で「働き方改革」に関する問題を取り上げていた。仕事に対する日本と海外との考え方の違いを紹介していた。
 日本人はリスクを回避するあまり、会議や準備作業に時間を費やしている。結果、担当者が抱える業務は増え、健康面にも影響が出ているとのことだ。
 リスク回避が、実は別の大きなリスクを招く可能性もある。本紙22日付の「ILC科学相談室」でも取り上げた。
 ILC誘致の検討作業にも何か似たようなものを感じる。日本が丁寧に時間をかけて議論を積み重ねているうちに、中国ではまるで「世界の素粒子物理の中心」を狙っているかのような動きが着々と進められているそうだ。
 4年前、国際研究者組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)の副責任者を務める村山斉氏は、私の取材にこう答えた。「国際的な大プロジェクトでは何が起こるか分からない。ILCも辛抱強く待つことが求められる」。出前授業を受け、講演会に動員させられ、熱意を示してほしいと求められた候補地の地元は、あとどれだけ待てばよいのだろう。
(児玉直人)

写真=今月5日に開かれた文部科学省の第8回ILC有識者会議。研究者側が段階的建設方針(ステージング)を示したことを受け検証作業部会を設置している
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tanko 2017-12-23 11:30


  水沢南中の科学部は1、2年生20人で活動。探究心の旺盛な生徒が多く、放課後にそれぞれの研究などに励んでいる。
 年度初めに実験の基礎などを学んだ。夏休み前に4班に分かれ、それぞれの研究テーマを決定。体長約1cmの扁形動物、プラナリアの再生実験や、カビの特徴を調べる実験などに取り組んだ。
 成果は10月の校内文化祭で発表。今後は四つの研究を三つに絞り、来年1月の地元小中学生による水沢区環境問題・科学研究発表会でも紹介する予定だ。
 夏休み中も盛岡市の県立博物館を見学したり、その近くの森林公園で植物や昆虫を学芸員と共に観察したり。部長の柳池翔太君(2年)は「自由な雰囲気の中で活動できている」とうなずく。

光や音などの物理現象に興味があって入部したという柳池君は、「良い発表ができるよう部全体で頑張りたい」と笑顔。将来は「ILC(国際リニアコライダー)で働けたらいい」と夢を描く。
 阿部悠斗君(同)も「自由で楽しい」と普段の部活の様子を紹介。「仲間の存在が刺激になる」とも話し、友人と切磋琢磨できる環境を誇らしげに語る。難解なプログラミングを独学で学んでおり、将来は「医師かプログラマーになりたい」と意欲的だ。
 エンジニアを目指す笠井一紀君(同)は「みんなで協力しながら実験すると達成感を得られる」と笑みを広げる。「もうすぐ3年生になるので後輩をしっかりまとめたい」と部の運営にも気を配る。
 小野寺竜一君(1年)は「思った通り楽しい部活」と充実した様子。地震学に興味がある千田雅人君(同)は「人の役に立つ研究をしたい。先生や先輩に頼らず、自ら行動できるようにしたい」と話す。
 今春から顧問を務める千葉順子教諭は「科学への関心を深めつつ、自主的に学ぶ意欲をさらに高めてほしい」と見守っている。

写真上=水沢南中学校の科学部員たち
写真下=顕微鏡を楽しげに操作する部員たち
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tanko 2017-12-23 11:20
 北上山地が有力候補地となっている素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現に向けた国内協議が進む中、中国国内ではILCのライバルとされる巨大円形加速器「CEPC(Circular Electron-Positoron Collider、円形電子・陽電子衝突型加速器)」を2020年ごろから建設する計画が進行中だ。ILC計画を推進する東京大学の山下了特任教授によると、ここ4年間でCEPC関連の技術開発に約100億円規模の予算が投じられている。中国側はCEPC開発と平行し、ILCへの参加も視野に予算措置をしているが、CEPC建設が現実のものとなれば、日本を含む世界中の科学者や技術者が中国に集中し、ILC計画は頓挫してしまう恐れが出てくるという。
(児玉直人)

 中国側の動向は、22日に東北ILC準備室が仙台市内で開いた報道機関向けの勉強会の中で示された。山下教授は、文部科学省の有識者会議でILC計画の議論が進められている状況を説明したのに併せ、中国国内で急激な科学技術分野の投資拡大が進められている現状を紹介した。
 ILCは約20kmから50kmの範囲で直線状に加速器を配置するが、CEPCは地下に円形のトンネルを掘り加速器を配置する。加速させ衝突させる粒子は、ILCもCEPCも電子と陽電子だ。
 円形加速器の代表例である欧州原子核合同研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突加速器(LHC)は周長約27kmだが、CEPCは周長50〜70kmを予定している。周長が伸びるとカーブが緩やかになり、粒子を曲げた際に起きるエネルギーの喪失を抑えることができる。ILCは、ヒッグス粒子の研究に適した250ギガ電子ボルト(GeV)の重心系エネルギーが得られる全長約20kmの規模から運用を始める方針だが、CEPCも円形ながら同等のエネルギーを得られる。
 ILC実現のネックの一つは巨額な建設コスト。過去の国際プロジェクトの例などから、加速器本体のうちホスト国(建設地国)はおよそ半分、残りは国際分担する。これに対し、CEPC建設費について中国側は90%もの自国負担を提唱しているという。
 CEPCのほかにも中国では、周長100kmで350GeVのエネルギーを得る陽子同士の衝突型加速器「SppC(Super proton proton Collider)」を2035年以降に建設する事業も検討。放射性物質の低寿命化技術として注目される「核種変換(核変換)」や自由電子レーザー、放射光、重粒子などに関する研究拠点の整備も推進している。
 これら中国の科学技術分野への急激な投資拡大と、プロジェクトの増加の背景について、2020年以降も人員に余力があることや経済成長と人材育成の面で科学分野への投資が有効とされているためとの見方がある。山下教授は「ILCが実現できるよう、こちらも負けずにスピード感を持って努力している」としつつ、「一度中国の方に人が流れ込んでいけば、ILCの実現は困難になるだろう」との見解を示した。
 ILC実現へとつながる大きな鍵の一つとして、山下教授はILCを必要とする日本社会の声の高まりだと強調。「メディアなどを通じて、社会にILC計画の中身をしっかり説明していく必要がある」とした。
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tanko 2017-12-23 11:20
 政府の2018(平成30)年度一般会計予算案が22日、閣議決定された。総額97兆7128億円で過去最大。このうち、国際リニアコライダー(ILC)関連には、概算要求通り2億6000万円が計上された。
 県科学ILC推進室などによると、ILC計画実現に向けた予算は文部科学省の「次世代加速器要素技術開発費」として計上。本年度の1.1億円に対し、倍以上の規模となる。
 このほかにもILC関連装置の研究開発拠点となっている高エネルギー加速器研究機構(KEK)の運営交付金内にも、関係する予算が計上されたとみられ、総額で約4億円余りが投じられる見通しという。
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tanko 2017-12-22 11:10
 世界に唯一の研究施設が来て、この地域が発展するのはうれしいけれど、自然環境や放射線の問題など、ILCを迎える上でなんとなく心配な要素がいくつかあります。このような心配事に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか?


リスクと便益 両方をよく見つめましょう

 誰でもそうですが、私たちは何か行動するときに「損をしたくない」「危険な目にあいたくない」と思うものです。このような危険性や損をするような事柄を「リスク」と言います。
 世の中にはさまざまなリスクがたくさんあります。本当は誰でも安心して楽しく生活したいですが、残念ながらリスクをまったく受けずに暮らすのは困難です。それどころか、リスクを避けてばかりいると、別なリスクに直面してしまう可能性もあります。
 身近な例で考えてみましょう。
 道路が凍って滑りやすくなっています。ツルツルの道路で転ぶと、けがをしてしまう「リスク」があります。家から一歩も出なければ、凍った道で転ぶことはありません。しかし、それでは学校に行ったり、友だちと遊びに行ったりすることができなくなります。
 健康診断や骨折などのけがをしたときには、病院でエックス線検査(レントゲン)を受けます。しかし、エックス線は放射線の一種のため、放射線の被ばくというリスクがあります。放射線は浴びすぎると健康被害を受ける危険性があります。そのためか「放射線を絶対に浴びたくない」と考えてしまいがちです。でも、すぐに治療しなければいけない病気を見落としたり、骨折した場所が分からなかったりします。
 このように、リスクを考えるときは、必ず相反するプラスになる事柄「ベネフィット(便益)」を頭に描くことが大切です。つまり、リスクの影響をなるべく減らして、プラスになる事柄を得るということです。
 凍った道があったら、急がずゆっくり歩いたり、スパイクの付いた冬用のブーツを履いたりすれば、転ぶリスクは低下します。無事に学校に行けますし、友だちに会うこともできます。
 病院で行うエックス線検査は、専門知識のある医師や放射線技師が健康被害を起こさない範囲の放射線量を考え、検査を行います。検査をする部屋は、周囲に放射線が漏れない構造になっており、入り口には必ず「指示があるまで中に入らないでください」という注意書きも掲示してあります。患者さんは安心して検査に臨め、適切な治療を受けられます。
 リスクとベネフィットのどちらか一方だけを見てしまうと、総じて良い結果は得られません。決して感情的にならず、リスクをどれだけ減らすか、ベネフィットをどれだけ得るかをじっくり考え、最適な方法を生み出すことが最も大切です。
 スイスのジュネーブ近郊にある欧州原子核研究機構(CERN)は、ILCの大先輩のような加速器実験施設です。奥州市と同様、山に囲まれており、農地や田園風景が広がっています。加速器本体は地下に設置されており、地上の田園風景などはそのままです。
 研究者たちが集まるキャンパス周辺には、レストランや病院、会議室、宿舎などが集中していますが、周辺の田園風景とよく調和が取れており、違和感はありません。近くにはぶどう畑やプラタナスの並木があり、ジョギングコースにもなっています。
 ILCの建設に際しては、樹木を切ったり、自然に少し手を加えたりすることがあります。しかしCERNのように自然に調和した町づくりができれば、自然破壊というリスクは低減されると思われます。
 ILCが実現すると、経済効果や技術的進展、教育の振興、国際化など、大きな波及効果が期待されます。自然を大切にすると同時に、こうした効果を生み出していくことも、私たちが生きていく上では大事なことと思います。
(中東重雄・奥州宇宙遊学館館長)

番記者のつぶやき

 先日、市内の高校生の皆さんが奥州市のまちづくりについて語り合う意見交換会が水沢区でありました。その中では、奥州市という古里は自然がたくさんあって大好きだが、レジャー施設が少なく交通の便も悪い、就職先も少ないという声がありました。どうやら自然の少なさは我慢してでも、やりたい仕事ができて、楽しい店や施設がたくさん集まる都会に行ってみたいという思いが強いようです。リスクとベネフィット、どちらをどれくらい重視するかの感覚は、人それぞれ違います。それゆえに、どのように折り合いをつけるかが非常に悩ましいところですね。
(児玉直人)
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tanko 2017-12-21 11:00
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致に向けた機運を高めようと、奥州市と奥州市議会ILC誘致推進議連(渡辺忠会長)は、地元中学生の協力を得たPR看板の設置活動を展開している。このほど、江刺区と衣川区の2カ所に新しい看板がお目見え。今後、前沢区など3カ所にも設置する予定だ。
 看板の絵は、設置場所の地元中学生の協力を得て描いた。もともとは、今春開校した胆沢中学校の建設現場を囲っていたフェンスを活用しようと始めた取り組みだ。胆沢中現場の作品は、当時の旧胆沢区内3中学校の生徒が描いた。
 江刺区玉里字●ノ木谷地(はのきやち)地内の市道沿いに設置されたのは、江刺東中の生徒らによるもの。江刺が誇る農畜産物と北上山地の山並みを背景に、ILCの全体像を描いたイラストを添えた。スローガンは「ILCと共に未来へ」。
 一方、衣川区は衣川保健福祉センター前に設置。衣川中と前沢中の2校の作品を並べ1枚の看板に仕上げた。
 衣川中は「ILCがつなぐ未来への架け橋」をテーマに、衣川区内各地で見かける赤い欄干の橋が山村と近未来的な街を結んでいるイメージで、ILCと地域の共存を表現。前沢中の作品はメーントンネルを描き、「未知なる世界へILC」のスローガンを大きく記した。両校の作品を印刷した看板は今後、前沢中の校庭東側にも設置するという。
 このほか、江刺南中の生徒が描いた看板も、江刺区藤里字寺田地内の国道397号沿い(第3区営農生活センター前)に取り付ける予定。「未来とつながるILC」がテーマの作品で、電子と陽電子が衝突する様子を中心に描き、最先端の科学研究と地域住民の暮らしが共存する様子を表現している。衣川中の作品を並べた看板に仕上げられる。
 胆沢中完成までの間、建設現場のフェンスに取り付けられていた作品についても、自立式の看板に作り直した上で、胆沢総合支所西側に設置するという。

※…●は木へんに爪





写真=市内に新たに設置された中学生によるILC看板(上=江刺区玉里地内、中=衣川保健福祉センター前、下=江刺区藤里地内設置看板の完成予想図)
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tanko 2017-12-19 10:40
 前奥州市議の佐藤洋氏(63)は15日、任期満了に伴い来年2月25日に告示される市長選に出馬することを正式表明した。子育て環境の充実や人口対策、市財政の再点検による財源確保、市政の透明化を掲げ、「力強い奥州市の再生に全力を傾注したい」と決意を述べた。
 水沢区寺小路の後援会事務所で会見。無所属の出馬を見込み、政党推薦などは支援者らと今後協議する。
 待機児童ゼロや学校施設整備を含む子育て環境の充実、産業振興による就労確保を図る人口対策を挙げ、政策推進に向け「市財政を再点検し財源の確保に全力を尽くす」とした。
 現市政に対しては、情報公開や説明責任を果たすことを市議としてこれまで訴えてきたとし、「最も重視するのは市政の透明化、市民に見える市政の展開」と強調した。
 有識者会議の3師会(奥州医師会、奥州歯科医師会、奥州薬剤師会)不参加などの課題を抱える新市立病院移転新築に関わっては「耐震化、老朽化もあり建設は必要」とし、現状は「医療提供者との対話不足、市民への説明不足、県との調整不足によりあるべき方向性を見失っている。行政の決定力と判断力のなさが招いた結果」と論じた。
 「市民12万人余の英知を結集し力強い市の再生を目指す。とりわけILC(国際リニアコライダー)誘致は市のパワーが試されている」と指摘。「パワーアップ奥州」と力を込め、「市の持つ底力を形あるものにするためには、力強いリーダーシップを持つ真のリーダーが求められている。市の再生に全力を傾注したい」と訴えた。
 市長選にはこれまでに、現職小沢昌記市長が3選出馬を表明。対抗馬擁立を探る動きはあるものの、具体化には至っていない。

 佐藤 洋氏(さとう・ひろし) 早稲田大卒。1978(昭和53)年に旧水沢市役所入りし、奥州市総務部財政課長、同市健康福祉部長などを経て2014(平成26)年3月に奥州市議会議員に初当選。議会改革委員会委員や百条委員会委員長などを務め、今年11月に議員辞職した。水沢区東大通り3丁目。

写真=市長選への出馬を表明する佐藤洋氏
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tanko 2017-12-19 10:30
 岩手、宮城両県議会議員でつくる国際リニアコライダー(ILC)建設実現議員連盟は18日、菅義偉官房長官をはじめ国政関係者らの元を訪ね、ILCの早期実現を求める要望活動を実施した。
 同議連は、岩手県議会のILC建設実現議連(会長・佐々木順一議長、議員47人全員で構成)と、宮城県議会のILC誘致議連(同・中島源陽議長、議員58人中50人で構成)のメンバー97人で構成。佐々木、中島両議長が共同代表を務める。
 結成後初の活動には、15人(うち岩手県議会7人)が参加。ILCを推進する研究者の立場から、東京大学の山下了特任教授も同行し、菅官房長官や大島理森衆議院議長、河村建夫・ILC国会議連会長、塩谷立・同議連幹事長、丹羽秀樹文科副大臣を訪ねた。
 両県議会ILC議連理事の飯沢匡氏(一関選挙区)によると、菅官房長官からは「内容はよく分かっている」との返答はあったが、誘致実現に関する政府の具体的な動きなどには特に触れなかった。ただ「以前はよく要望に訪れていた九州関係者が最近はあまり来なくなった」と話していた。
 大島議長からは、両県の議会が結束して議連を立ち上げたことを評価する声があったほか、ホスト国になり得る日本とILC参加予定国との国際交渉はかなりシビアなものになるのではとの見方が示されたという。
 河村会長からは、年明けに予定している訪欧活動など国会議連の動きについて説明があり、「しっかりやっていきたい」と述べたという。
 飯沢氏は今後の両県議連活動について「来年2月の定例会後には、東北経済連合会(東経連)を交えた勉強会なども予定している」と話した。

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