人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2017-1-31 9:50
 岩手県の千葉茂樹副知事らはこのほど、国際リニアコライダー(ILC)誘致活動に関連し、スイスのジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研究機構(CERN)を訪問。ILCを推進する国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」の最高責任者、リン・エバンス氏らと面会した。

 CERNを訪問したのは、千葉副知事のほか県科学ILC推進室の佐々木淳室長、奥州市から同室に派遣されている佐藤智行主任、県広聴広報課海外情報発信専門員の和山アマンダさんら。今回は、千葉副知事が観光物産振興関係を視察するのに合わせ、CERN訪問の日程を組み込んだという。
 佐々木室長によると、一行は今月18日にCERNに立ち寄り、エバンス氏らと面会。昨年�q月に開かれた国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」の開催地に、盛岡市を中心とした本県を選んでくれたことに感謝を示したほか、機運を盛り上げるための取り組みを展開したいと伝えた。
 CERN視察後、佐々木室長は別途、ドイツの電子シンクロトロン研究所(DESY)を訪れ、LCCの上部組織「国際将来加速器委員会(ICFA)」のヨアキム・ムニック委員長と会談。ILCで使用する電子、陽電子の加速装置「クライオモジュール」の開発状況の説明も受けた。
 佐々木室長は「LCWS開催のお礼を伝えながら、最新の研究状況を聞いたり、環境に調和した研究所の姿を実際に確認すること、国際的な人的ネットワークを作ったりすることが今回の視察の目的だった。エバンスさん、ムニックさんからは『日本政府が誘致に向けて動きだすことが大切。期待している』と、これまでと同様の見解をいただいた。県ILC推進協議会が中心となり進めている、経済波及効果の試算が年度末にまとまる見通しだ。ILC誘致による具体的効果を明らかにして、国に働きかけていきたい」と話した。

写真=LCCのリン・エバンス最高責任者(右)と握手を交わす千葉茂樹副知事(岩手県提供)
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tanko 2017-1-29 16:30
 岩手銀行の田口幸雄頭取は27日、水沢区東町の水沢グランドホテルで講演し、アメリカのトランプ新大統領による保護主義的な政策が日本経済に与える影響などについて言及。「先が読めない不透明感が先立つが、彼の行動に一喜一憂せず、われわれは日々やれることをやり、世界の動向を注視する時期にある」との考えを示した。
 水沢いわぎん友の会、水沢経済研究会が主催する新春講演会に登壇した田口頭取。国内や地域経済の展望とともに、企業経営者にとっても大きな関心事であるトランプ新大統領誕生による世界経済の動向などにも触れた。
 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)離脱など、就任早々に独自カラーを打ち出すトランプ新大統領。強烈な印象を与えている保護主義的な政策や言動は、世界経済にも大きな影響を与えるとの見方が広まっている。
 田口頭取は「短期的には財政政策に一定効果は期待できるかもしれないが、最終的にはアメリカ経済のマイナス要因になりかねない。政策自体が非常に不安定で矛盾に満ちている。先の読めない不透明感が漂うが、議会とのねじれが解消された面もある。一喜一憂せず“成功した実業家”の臨機応変で柔軟な対応に期待したい」と述べた。
 今年はトランプ新大統領の登場だけでなく、主要国で世界情勢を左右しかねない政治イベントがめじろ押し。「例年以上に世界の動きを注視して、経済を見通す必要がある」と強調した。
 一方、国内や地域経済については「大多数の国民は、アベノミクスで生活が豊かになったと実感していない。成長戦略や地方創生をどういう形でサポートしていくかが注目点。金のばらまきだけではいけない」と指摘した。本県経済に関しては「震災復興事業が一段落し、いわて国体のようなプラス要因もない年ではあるが、大きくレベルが落ちるようなことはない」と予測。国際リニアコライダー(ILC)誘致の政府判断と、ラグビーワールドカップ2019のスタジアム建設、釜石道全線開通に向けた動きが注目点になると述べた。
 田口頭取は「建設業や介護事業所では人手不足が特に深刻で、経営を圧迫しかねない状況。シニア世代の活用や潜在的有資格者の掘り起こしが急務だ。世界情勢を含め激しい流れの中にあるが、それに付いていくだけでなく、流れを見極めることも大切」と訴えた。

写真=トランプ新大統領と経済への影響を中心に、今年の展望を語る田口幸雄頭取
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tanko 2017-1-28 16:20
 第48回江刺区小中学校理科研究発表会(奥州市教育委員会など主催)は27日、市役所江刺総合支所で開かれた。児童生徒たちは保護者や教諭らを前に、理科分野の研究成果を堂々と発表。ユニークな視点と発想で取り組んださまざまな研究を通し、科学への興味をさらに深めた。
 区内各小中学校から53人が参加。学年別に七つの分散会を開き、氷の解け方調査や野菜などを用いた電池づくり、星座観察など多種多様な計43の発表が行われた。
 分散会に先立ち、同発表会実行委員会委員長の石川勝也・田原中校長は「きょうは皆さんが自分なりに疑問に思ったことを調べた結果を発表する場。調べることは科学者の第一歩。この中から本物の科学者が出てほしい」とエールを送った。
 児童生徒たちは、実験に至った経緯や具体的な手順、結果などについて、写真や実際に用いた道具なども持参し説明。実験で得られた気付きも伝えた。
 市立田原小4年の及川史結さんは、「がんばれ! 紙の橋」と題し発表。普段よく使う画用紙の強度を調べるため、厚さが同じ本の間に▽そのまま▽端を折る▽2枚重ねる▽じゃばらにする──など9種類の紙を橋のように渡し、10円玉が何個載るか実験した。
 「紙を折ったほうが強くなるのでは」と仮定し実験を重ねた結果、最も強かったのは両端を折ったタイプだった。「真ん中だけに重さがかからないため強さが増したと思う。じゃばらはもっと強いかと思ったが、紙を縦にしたものと横にしたものでは大きな差があった」などとし、「折り方を工夫すればもっと強くなるのではないか。他の紙でも強さを比べてみたい」とまとめた。
 市立藤里小の藤沢周一教諭は「紙は手軽に手に入り、加工もしやすいもの。使い道が広い分、この研究はいろいろなものに使っていけると思う。実験結果を確かなものにするため、2度実施しているところも素晴らしい」などと評価した。

写真=研究結果を堂々と発表する児童
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tanko 2017-1-26 16:00
 奥州市内の中学2年生31人が参加し、今月上旬に実施した本年度科学体験研修の報告会が25日、奥州市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれた。茨城県つくば市の研究施設などを訪れ、最先端の科学技術を間近に感じた生徒たち。国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致実現が期待される中、人類共通の謎を科学的に解き明かすことの意義を実感しながら、疑問に立ち向かうために必要な努力、仲間との協調性の大切さを学んだ。

 同研修は旧水沢市教育委員会が始め、今回で14回目。4日から6日までの3日間、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センターや高エネルギー加速器研究機構(KEK)などを訪れた。
 研修後、生徒たちは感想文や報告会用の原稿、使用写真をまとめるなどの作業を実施。保護者や在籍校の校長、市議会議員らが見守る中で発表に臨んだ。
 班ごとに分担して、初日から帰路に就くまでの様子を紹介。「新しい実験装置で得られた成果が、私たちの生活にどう関係してくるか、各自で調べてみたい」「ILCが誘致されたなら、今回学んだことを生かせるようにしたい」など、施設見学や現場で働く研究者の講演で感じたことを率直に述べた。
 各班は、なるべく異なる学校の生徒同士になるように編成した。水沢南中の佐々木瑞希さんは「研修に向かうまではどこかよそよそしかったけれど、施設を回って学習を重ねていくうちに、お互いが親しくなり、最初の雰囲気がうそのようになった」と話しながら、貴重な研修機会をつくってくれた保護者や学校関係者らに感謝の思いを伝えた。
 田面木茂樹教育長は「奥州市ではILC誘致に取り組んでいて、皆さんも将来ILCに何らかの形でかかわってほしいとの思いを込めて研修を実施している。今回の研修テーマは『踏み出せ科学の一歩』だが、まさにILCに向けた一歩になる。研修で得た経験を将来のために生かしてほしいし、ぜひそれぞれの学校の中でも広めてほしい」。団長を務めた田原中学校の石川勝也校長は「難しすぎる内容も確かにあったが、次の勉強につながる良い機会になったはず。今後もこの研修が続くことを祈りたい」と述べた。

写真=つくば市での研修成果を発表する生徒たち
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tanko 2017-1-25 16:10
 岩手県立水沢高校(安藤泰彦校長、生徒723人)の1年生たちは24日、医療や福祉、環境などの社会問題を科学的な観点から考察したサイエンスアクセス(SA)の成果を発表。独自の視点で研究に向き合い導き出した分析結果を堂々と披露し、情報活用能力や課題意識を高め合った。
 文部科学省スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受ける同校の1年生が毎年取り組む独自のプログラム。現代社会が抱える問題を科学的な見地で明らかにし解決方法を考えることで、正しい科学技術の活用や意思決定のできる人材の育成などを目的に取り組んでいる。
 1年生244人は、情報、医療、エネルギー、都市、防災など8大テーマの中から選択し、昨年�o月からテーマ別の班で課題を掘り下げてきた。
 A1判のポスターにそれぞれのテーマごとに取り組んだ課題や解決方法を盛り込み発表。最先端医療や情報化社会における問題、震災復興など現代社会の問題点から見いだした解決方法や思いを発表し、互いに意見を交わし合いながら新しい視点も身に付けた。
 先進国と途上国の医療格差をテーマに取り組んだ鈴木結衣さん(16)は「同じ世界なのに先進国と途上国では医療技術や人々の寿命が全然違った。人見知りだったので発表を通じて度胸がついた」と自信を深めていた。

写真=研究成果を盛り込んだポスターを発表する水沢高校の生徒
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tanko 2017-1-24 15:30
 岩手県県南広域振興局(堀江淳局長)主催の本年度ILC(国際リニアコライダー)絵画コンクールの表彰式・展示会が22日、奥州市水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で行われた。堀江局長から最優秀賞と優秀賞の受賞者に賞状が手渡され、ILC完成後の岩手を担う世代が思い描いた作品の世界観を高く評価するとともに、ILCへの関心の高まりに期待した。
 ILCの普及や誘致機運を盛り上げようと、県南地域や宮城県気仙沼市の児童を対象に実施。胆江2市町を含む同振興局管内の8市町と8市町教育委員会、気仙沼市と同市教委が共催した。2回目となる今コンクールには6市町26校から低学年(1〜3年)の部87点、高学年(4〜6年)の部177点の計264点の応募があった。
 作品は、堀江局長や高エネルギー加速器研究機構(つくば市)の高橋理佳さん、奥州市立若柳幼稚園の武田成喜園長、イラストレーターのたぐさんが審査。最優秀賞、優秀賞、佳作、審査員特別賞の合わせて36点を選んだ。
 講評で武田園長は「小学生のみなさんがILCに対して大きな思いを持っていると感じた。どの作品もみずみずしい個性にあふれている」。たぐさんは「ILCは絵にするには難しいテーマだが、キャッチコピーをうまく使いポスターとして仕上げていたのが良かった」と頑張りをたたえた。
 胆江地域の入賞者のうち、優秀賞を受賞した奥州市立江刺愛宕(えさしおだき)小6年の利府奏君(12)は、作品への取り組みをきっかけにILCについて勉強。「ILCの実験内容を表現しようとイメージは早い段階でまとまったが、実際に絵で表現するのが難しかった」と話し、「自分が住んでいる地域にILCができたら、地域がすごく発展しそう」と瞳を輝かせた。
 入賞作品の展示会は、今月28〜29日に花巻市下小舟渡のイトーヨーカドー花巻店展示スペース、2月4〜5日には一関市大手町の一関市立図書館でも開かれる。

写真=ILC絵画コンクールで最優秀、優秀賞を受賞した児童ら
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tanko 2017-1-22 16:30
 岩手県立水沢高校(安藤泰彦校長、生徒723人)の理数科2年生による課題研究発表会が20日、奥州市水沢区龍ケ馬場の同校志学館で開かれた。生徒たちは、月の満ち欠けや石垣の耐久力、光と種子発芽など探究心を傾け研究してきた一年間の成果を堂々と披露した。
 文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定を受ける同校恒例の発表会。2年生39人が11班に分かれ、それぞれが取り組んだ研究結果を報告した。
 小野寺菜々子さん、北宮聡子さん、今野育海さん、千葉しおりさんの4人は「有色の溶液に含まれるビタミンC量の測定」をテーマに、化粧水や日焼け止めなどに含まれるビタミンC(アスコルビン酸)の抗酸化作用について研究した。
 小野寺さんらは、市販の緑茶やリンゴジュースなどに含まれるビタミンCの定量を計測するため、ヨウ素でんぷん反応を用いた酸化還元測定を実施。実験の過程で、強酸性の溶液が有色溶液の退色を防ぐことができ正確な測定が可能になると分かったといい、「他の溶液ではどのような結果が得られるか検証していきたい」と新たな研究課題も明確にした。
 発表会は理数科の1年生のほか、岩手大学の教授らも聴講。生徒たちの発表に真剣に耳を傾け、アドバイスを送った。

写真=課題研究を発表する水沢高校理数科の生徒たち
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tanko 2017-1-22 15:20
 金ケ崎町商工会と金ケ崎企業クラブ、胆江法人会金ケ崎支部による町商工会会員等功労者表彰式・新年交賀会は20日夕、金ケ崎町のホテルみどりの郷で行われた。長年にわたり各団体に貢献してきた3人に表彰状を贈り、功績をたたえた。式に先立ち行われた新春経済講演会では、東北大学大学院の佐貫智行准教授を講師に迎え、国際リニアコライダー(ILC)が地域にもたらす効果について理解を深めた。
 町商工会の菊地清晴会長は「地域の総合経済団体として必要とされる存在であり続けるため、創設の理念に立ち返り、地域経済の振興発展に頑張っていきたい」とあいさつ。金田整一さん(金ケ崎中央商工振興会)、木村忠弘さん(金ケ崎企業クラブ)、佐藤徹さん(商工会青年部)に表彰状を贈った。
 講演では、佐貫准教授がILC建設の目的などを解説した上で、「ILCが生み出す何かとつながる準備」の重要性を強調。スイスのCERN(欧州原子核研究機構)で研究者が生み出した情報共有のシステムがインターネットとして発展したことなどを例に、「何が生み出されるかは分からないが、見る人が見れば世界を変えるものが生み出されるかもしれない。そのコアが生み出された時に拾い上げられるよう、つながる準備が必要」と指摘した。
 「研究者であろうが、子どもや高齢者であろうが、自分の生活を良くするためにアイデアを出そうという雰囲気で地域を覆い尽くすことで、ILCが生み出す何かとつながっていく」と佐貫准教授。意識的にILCに関わっていく重要性を訴えた。
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tanko 2017-1-18 10:10
 国際リニアコライダー(ILC)誘致に向けた取り組みについて、達増拓也知事が県民と意見交換する県政懇談会が17日、平泉町の平泉文化遺産センターで開かれた。参加した企業関係者や高校生からは、北上山地がILC有力候補地であることは産業面で大きなチャンスとする声があった一方、「地元住民の間には、人ごとのように感じている雰囲気がある」「自然環境保護や放射線の影響に対する丁寧な説明が必要」との指摘もあった。

 知事との懇談に出席したのは▽千田伏二夫さん(前沢、千田精密工業代表取締役)▽佐々木正さん(農事組合法人アグリ平泉代表理事)▽水戸谷剛さん(盛岡、東日本機電開発代表取締役)▽高橋幸博さん(水沢ツーリストサービス専務)▽千葉朱璃さん(県立一関第一高校2年)▽千葉壮太さん(同)――の6人。各自の立場や現在取り組んでいることなどを交えながら、ILC計画に対する思いを自由に話してもらった。
 千田さんは「中小企業にとって困難な海外展開して行うようなレベルの仕事が、地元でできることは大きな魅力。国際的なものづくりに携われることは地域産業の大きな柱になるし、若い人たちに夢を与える」と述べた。
 同じく製造系企業を経営する水戸谷さんも、地域経済に大きな影響を与えるプロジェクトとして、ILCを受け止めている。その上で「ILCが認知されているとはいえ、どちらかと言えばものづくり産業が中心の盛り上がりとなっている。農業など他分野でも関心を高くしていく必要がある」と述べた。
 佐々木さんも「農業とILCとの結びつきをどう考えたらよいか難しい」としながら、研究者の衣食住、レジャー面で地域農業との関係構築に期待を寄せた。さらに、「北上山地では酪農を営んでいる人もいる。ILCは自然環境にどのような影響を与えるのか。振動や放射能の有無など細かな部分の疑問にも丁寧に答えていくべきではないか」と注文した。
 高橋さんは「ILCは岩手の観光にとっても、大きな魅力になり得る。視察や学習旅行などの形で国内外から多くの人たちが訪れるだろう」とした上で、言葉の問題などを改善していく必要性を指摘。また「ILCが来る、来ないに関係なく、まちづくりを充実していくことは大切だという見方もある。良い地域をつくろうという意識が必要」と強調した。
 高校生の2人は、疑問や不安に思うことを率直に述べた。朱璃さんは、国際化や雇用拡大に期待しつつ「今日の参加者のように、ILCに関わっている人たちはよく知っているが、人ごとのように感じている人もいる。造り始めてから『ILCはいらない』とならないよう事前説明が必要ではないか」との考えを示した。
 壮太さんは、大学の研究予算が削減傾向にあるとのニュースを例に「日本は『すぐに役立つ研究』や安全保障のほうに予算を割いているので、基礎科学研究は不要というような流れになっていないか心配。ILCで行うような基礎科学研究は、確かに『すぐに役立つこと』ではないが、このような研究があるから、役立つ研究ができる。中高生向けにもこうした固定観念を払拭するような取り組みをしてほしい」と訴えた。
 達増知事は「日本政府の判断を待っている状況だが、今年はその“勝負時”とも言われている。県としても早く政府の結論が出るよう努力したい」と話していた。

写真=達増拓也知事(右)とILC誘致に対する意見を交わす懇談会の参加者たち
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tanko 2017-1-14 13:12
 外国人市民の増加や、素粒子物理学研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画の誘致実現に向けた取り組みなど、地域の国際化に伴う動きを受け、奥州市は外国人市民に伝わりやすい日本語の使い方を解説する「やさしい日本語講座」を2月3日午後1時半から、江刺区の奥州市役所江刺総合支所1階多目的ホールで開く。行政や教育関係者も含めた一般市民を対象にしており、受講無料。定員50人で、締め切りは今月27日(先着順)まで。

 奥州市在住の外国人数は増加し、地域の国際化が進んでいる。また、市が重要施策として掲げるILC計画の実現に向けた動きの中では、海外から訪れる研究者や技術者、その家族を受け入れる環境づくりが求められている。
 ILCと日常生活で使用する言葉の問題に関連し、ILC誘致に携わっている県立大学の鈴木厚人学長は、昨年12月に盛岡市で開かれたILC県民集会の講演などで、海外研究所の例を紹介しながら「研究所内での使用言語は英語だが、居住地域に関しては研究者や家族も日本語をある程度勉強し日本語を使うようになる」と言及。「どうしても分からない部分は英語でカバーするというのが良いと思う」とも述べている。
 普段の生活で使われている日本語の中には、外国人市民にとって伝わりにくいものもある。今回の講座では、参加者が「日本語で分かりやすく伝える」手法を学び、地域の国際化、多文化共生への理解を深める。
 当日は自治体国際化協会地域国際化推進アドバイザー、日本フェアトレード・フォーラム認定委員などを務める松本義弘さんを講師に招く。やさしい日本語の必要性、会社や役所窓口での伝わりにくい実例、実践編などを学ぶ。
 参加希望者は名前、電話番号とともに奥州市役所江刺総合支所内、地域づくり推進課市民活動係(電話0197・35・2111、ファクス0197・35・7466)に申し込む。問い合わせも同係へ。

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