人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2016-10-28 11:50
 奥州市総合計画審議会(瀬川巌会長、委員35人)は、2017(平成29)年度から10年間の市の行政運営指針となる総合計画基本構想の骨子案を了承した。「地域の個性がひかり輝く 自治と協働のまち 奥州市」とする「めざすべき都市像」の実現へ、人口減少対策と国際リニアコライダー(ILC)の二つの戦略プロジェクトを掲げ、六つの大綱を定めてまちづくりを進めていく。
(千葉伸一郎)

 総合計画は、基本構想、基本計画、実施計画で構成。基本構想はめざすべき都市像やまちづくりの目標、まちづくりの進め方を定めている。26日、奥州市役所本庁で審議会の会合が開かれ、市が提示した骨子案を了承した。
 めざすべき都市像「地域の個性がひかり輝く 自治と協働のまち 奥州市」は現行と同じ。市民と行政がパートナーとして地域課題を解決する「協働」の精神の浸透を背景に、地域の輝きを焦点としたまちづくりを目指す。
 都市像実現のためのまちづくりの目標として、人口減少対策とILCを生かす戦略プロジェクトのほか、▽みんなで創る生きがいあふれるまちづくり▽未来を拓く人を育てる学びのまちづくり▽健康で安心して暮らせるまちづくり――など基本計画の大綱六つを設定。まちづくりの進め方として▽市民参画と協働の推進▽財政基盤の確立▽公共施設の適正配置と維持管理▽広域的連携の推進――の4項目を盛り込んだ。委員からは、表現の変更を求める意見や、地域個性を輝かせるための計画づくりを求める意見などがあった。
 小沢昌記市長は「委員や市民の意見を新たな総合計画に盛り込むことで協働のまちづくりにつなげていきたい」と述べた。市はこの日の審議会委員の意見を踏まえ、11月中旬に基本構想の素案を作成。素案に続き、原案、最終案と段階的に作成していく過程で、パブリックコメント(意見公募)や市政懇談会、地域協議会を含めた市民からの意見を反映させる。
 同日は、基本計画を検討する審議会分科会の初会合もあり、分野ごと四つの分科会長を選任した。

写真=市総合計画基本構想の骨子案を了承した第3回市総合計画審議会
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tanko 2016-10-26 10:10
 2002(平成14)年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏=東京大学特別栄誉教授=が理事長を務める平成基礎科学財団(事務局・東京)が、来年3月で解散する。行財政の悪化で地方自治体からの寄付が減少していることや、学術・芸術分野に寄付をすることが社会的に定着していないこと、幹部の高齢化や他業務との兼務が難しいことなど、複数の要因が背景にある。江刺区東部などが候補地となっている素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関する科学教室も開催してきたが、同財団理事の鈴木厚人・県立大学学長は「他の理事とも協議を重ねたが、やむを得ない」と話している。
(児玉直人)

 同財団は、小柴氏のノーベル賞賞金などを基本財産に2003年10月に設立。理科教育や素粒子研究に功績のあった個人や団体を顕彰する賞の贈呈や、学生・生徒を対象とした「楽しむ科学教室」の開催などを展開していた。
 運営にかかる費用の大半は、地方公共団体や法人からの賛助会費に依存。ところが、行財政が逼迫する昨今の情勢の影響を受け、寄付減額や退会を申し出る例が増えていた。特にも首長が交代した自治体を中心に深刻になっていたという。
 小柴氏は財団ホームページに公表した解散に関する文書の中で、日本における学術や芸術文化事業の財源は、国からの財政支援に依存していると説明。「欧米諸国と異なり文化事業に寄付をする慣行が社会的にいまだ定着していないこと、慣行を確立するための法整備が遅れていることに根本的な原因がある」と指摘した。
 解散に至ったもう一つの理由は人事面。小柴氏をはじめ財団幹部の高齢化が進み、大学や研究所のトップとして研究や業務に従事している人もいるため、財団運営を維持するのが困難になった。
 同財団は今月30日に盛岡市で開催する「楽しむ科学教室・タイムマシンで宇宙の誕生を見に行こう―ILCが明らかにすること―」など、当初予定していた年度内事業を行った上で来年3月に解散する。残余財産は小柴氏の研究母体で、ILC計画にもかかわりがある東京大学素粒子物理国際研究センター(駒宮幸男センター長)に贈与する。
 小柴氏のまな弟子であり、ILC計画にも携わっている鈴木学長は「ILCなど基礎科学全般の周知活動をする団体が一つなくなることにはなるが、KEK(高エネルギー加速器研究機構)や関係自治体などが行っているキャラバン活動、出前授業などによる普及の充実に期待を寄せたい」と話している。

写真=平成基礎科学財団の理事長を務めている小柴昌俊氏(2003年5月、奥州市文化会館で)
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tanko 2016-10-25 14:20
 地震や火山爆発といった災害を引き起こす自然現象のメカニズムについて、第一線の研究者たちが子どもたちに解説する講座がこのほど、水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。日本測地学会(日置幸介会長)が初めて企画。鳥取県内で大地震が発生した直後の開催とあって、子どもたちや同席した保護者らの関心も高く、真剣な表情で実験に臨んでいた。
(児玉直人)

 同区佐倉河字石橋の市文化会館(Zホール)で開かれた第126回講演会(秋季講演会)に合わせ開催。同学会ではこれまでも、一般向けの公開講座を実施してきたが、子ども向けは今回が初めて。京都大学理学研究科地球物理学教室の風間卓仁助教(34)=山形市出身=が理科教育に興味があり、学会側に働き掛け実現した。
 午前と午後2回の講座には、児童生徒31人が参加し、保護者らと実験に挑戦。秋季講演会に参加していた風間助教はじめ、同大学や東京大学地震研究所などに所属する若手研究者7人が指導した。
 地震のメカニズムの実験では、透明なプラスチック容器の中に小麦粉とココアパウダーを交互に詰め、しま模様の地層を再現。容器の隅に立てていた木のへらをスライドさせ地層に力を加えると、表面が盛り上がり地層のしま模様がギザギザを描く逆断層が形成された。江刺区の市立田原小学校4年の早川光君(9)は「へらを動かすのに意外と力が必要だった。地面の下でこのようなことが起きているのが不思議」と驚いていた。
 鳥取県内で大きな揺れを伴う地震が発生するなど、国内ではここ最近、日常生活に不安をもたらす自然現象が頻発している。風間助教は「『測地学』と聞いただけでは難しそうな学問のように聞こえるが、身近な自然現象を研究の対象にしている。カーナビゲーションや人気ゲームの『ポケモンGO』に使われているGPS(全地球測位システム)との関わりも深い」と強調。「身近な材料を使った昔から行われている実験方法だが、普段過ごしている地面の下で何が起きているのか、理解してもらえたら」と話していた。

写真=小麦粉とココアパウダーを使って再現された逆断層を観察する児童ら
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tanko 2016-10-12 18:00
 素粒子研究施設「国際リニアコライダー(ILC)」などに関連した国際学会「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」が、12月5日から5日間、盛岡市内を会場に開かれる。国内外の素粒子物理学の専門家が集まる中、加速器関連産業への参入を目指している地元企業関係者の参加も呼び掛けている。
 LCWSは、ILCなど直線型加速器を使った素粒子実験計画について、第一線の研究者らが集い協議する国際的な学会。開催国を変え毎年開催しているが、日本が会場となるのは2013(平成25)年に東京大学で実施して以来、3年ぶり。ILC建設の有力候補地である北上山地の近くで開催することもあり、参加者らによる候補地見学も予定されている。
 学会で取り上げられるテーマの詳細や登壇者は協議中だが、ILC全体の状況説明や測定器、加速器の開発などが話題になる。
 加速器関連産業への参入を検討、または既に始めようとしている企業の関係者も参加可能。ただし、学会は全て英語で進行する。
 参加費(1人当たり)は、今月31日までの申し込みの場合は4万円。それ以降の申し込みは4万5000円となる。申し込みはLCWS2016公式ホームページ

http://lcws2016.sgk.iwate-u.ac.jp/index.html

で可能だが、ネット上での受け付けは11月20日まで。その後は、当日の登録と支払い(参加費は4万5000円)となる。詳細については公式HPを参照。
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tanko 2016-10-12 17:50
 北上山地が有力候補地となっている素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)を紹介するシリーズPR動画「ILC科学少年団」の最新作が、インターネット動画サイト「You Tube(ユー・チューブ)」で公開されている。水沢区など市内で撮影されたもので、今後公開する数回は一関市などの候補地周辺の取り組みの様子が紹介される。
 同動画シリーズは、ILCの国内誘致に向けた国民意識の向上を図る取り組みの一つとして昨年度から展開。ILCの国内誘致を推進している先端加速器科学技術推進協議会(AAA)と、ケーブルテレビ事業者の東京ケーブルネットワーク?が制作しており、You Tubeのほか、全国のケーブルテレビ(CATV)局で放送されている。
 最新作は、子役タレントの3人が、東北大学大学院の佐貫智行准教授が演じる「おじさん」の案内で、ILC誘致に向けた地元の盛り上がりに触れる内容。水沢駅通りや市役所に掲げられた横断幕や看板を子役たちが探したり、商店街の人にILCに対する期待感を尋ねたりした。国立天文台水沢キャンパス敷地内にある奥州宇宙遊学館や、天文学専用スーパーコンピューター「アテルイ」も登場する。
 You Tubeで最新作を視聴する際は、同サイトの検索枠に「ILC科学少年団」と入力。表示された動画一覧の中にある「シーズン2第7話」を選ぶ。
 
写真=市内で撮影された「ILC科学少年団」の最新作(動画サイト「You Tube」より)

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