人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2016-6-30 17:00
 奥州商工会議所(千葉龍二郎会頭)の通常議員総会は28日、水沢区のプラザイン水沢で開かれ、2015(平成27)年度事業報告・収支決算を承認した。
 あいさつで千葉会頭は「市内で最大の経済団体として先を見据え、何をやるべきか打ち出し進めていかなければならない」と述べた。また、「いわて国体の10月開催に向け、各事業所でも盛り上げてほしい。地域の未来を創造するILC(国際リニアコライダー)を何としても設置してもらわなければならない」とした。
 2015年度決算は収入6億1504万円、支出5億8204万円で、差額の3300万円を次年度会計に繰り越した。
 事業報告の総括的概要では、市内の景況について産業界総体で景況感が停滞状況を示す傾向が続き、企業間での格差拡大も顕著に表れたと分析した。
 2015年度の主な事業の一つが前沢商工会と連携した市プレミアム商品券事業の実施で、総額約8億1670万円の商品券を発行した。商品券購入者対象のアンケートを民間の信用調査機関が分析した結果、経済波及効果額は3億2625万円と試算された。
 同商議所のあるべき姿を描いた中長期ビジョン(2012〜2021年度)を検証した結果報告もあり、前沢商工会との合併については「相手先の意向を尊重しながら、執行部を中心に状況を見極めて進めていく」とした。
 席上、県商工会議所連合会会長表彰の伝達も行われた。総会後には、市担当課がILCまちづくりビジョンを説明した。

写真=2015年度事業報告・収支決算を承認した奥州商工会議所通常議員総会
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tanko 2016-6-25 11:30
 北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を見据え、まちづくりのあり方をまとめた「奥州市ILCまちづくりビジョン」が策定されたことを受け、小沢昌記市長は24日、ビジョンの趣旨に基づいたさまざまな連携と協力を市内経済団体に求める要請活動を始めた。同日は奥州商工会議所を訪れ、千葉龍二郎会頭らに地元商工団体としてできる取り組みの一例などを説明。「関係者の皆さんの自由な発想で、ILCの普及活動が広がっていってほしい」と期待を込めた。

 同ビジョンは、ILCを生かした長期的な将来像を示すため、同ビジョン策定委員会(亀卦川富夫会長)を組織して策定された。ILC誘致を契機として市民生活や地場産業などのさらなる向上のために期待できる取り組みを明示した一種の行動指針。「奥州から未来を創る」「時空を超えたつながり」「恵み豊かな自然・文化と共生」の将来像を実現するため、▽地域産業振興▽多文化共生の推進と快適な生活環境向上▽次代の人材を育成できる国際教育都市――の3分野ごとに方針を定めた。
 ビジョンに描かれた方針の中には、まだアイデアの段階で時期や場所などを具体的に意識して取り組むには至らないようなものも含まれているが、国や世界の動向などILC誘致の進展状況に応じ、適切な対応が講じられるよう、基礎資料のような性格を持たせた。
 一連の取り組みには、行政のみならず地元産業・経済界の協力が不可欠。小沢市長は、ビジョンの趣旨を市内経済団体の関係者に直接説明し、連携と協力を求めることとした。
 奥州商議所では千葉会頭や菅原新治専務理事らが応対。小沢市長は「ILCがどんなものかは何となく分かってきたが、自分たちの仕事や暮らしとどんな結びつきがあるのかが見えにくいのだと思う。気持ちの上では、まだ対岸の向こうにILCがあるような状況かもしれないが、そこに近づけられるよう『橋をかける』ような作業は必要だろう」と強調。「誘致する上で不足していると思われる部分を一つ一つ考え、対応していければ」と呼び掛けた。
 千葉会頭は「商議所内のILC推進委員会でも話をいろいろと聞いてきてはいるが、誰がどのように動くかその先の『追っかけ』がないような気がする。どのように進んでいくのか、目に見えるような形になってほしい」と述べた。
 懇談の中では、今月28日に開く同商議所の通常議員総会でもビジョンの概要を説明する場を設け、より多くの経済関係者に周知することを確認した。
 要請活動は今後、前沢商工会(7月1日)、JA江刺(同8日)、JA岩手ふるさと(同8日)の順で行う。

写真=ILCまちづくりビジョンの趣旨を説明する小沢昌記市長(左奥)
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tanko 2016-6-17 11:00
 奥州市議会の「ILC誘致及び国際科学技術研究圏域調査特別委員会」(渡辺忠委員長、議長を除く全議員で構成)は16日、奥州市役所本庁で第11回会合を開き、国際リニアコライダー(ILC)を生かした長期的な将来像を示す「奥州市ILCまちづくりビジョン」の内容を確認。目指す国際研究の姿を共有しながら、今後進めていく調査活動に役立てた。

 北上山地へのILC誘致を見据えた同ビジョンは、パブリックコメント(市民意見聴取)を経て4月の第5回策定委員会で最終的な内容をまとめ、策定された。市が今後目指すべき将来像や関係機関と連携して進めていくための行動指針を掲げている。取り組み内容は「A=既に実施している取り組み」「B=早期に実施をめざす取り組み」「C=ILCの本格的運用に向けて実施をめざす取り組み」の3段階に分類。次期市総合計画(2017〜2026)に盛り込み、実現を図っていく。
 小沢昌記市長は同ビジョンについて、「人口減少が進む中で市がどういうまちづくりを進めるかを考えたもの。市民の皆さんが長く市に住み続けていただくことをベースに、医療や福祉、教育など一つ一つを積み重ねながら策定した」と述べた。
 市ILC推進室の朝日田倫明室長が、ビジョンの内容を説明。議員からは「ビジョンの周知の強化」を求める意見があったほか、特に実行しようとしている取り組み項目についての質問も。朝日田室長は、新たな工業団地の造成や、WiーFiスポット整備による情報ネットワーク環境拡充の必要性を指摘した。同ビジョンは、市ホームページ(HP)でも閲覧できる。
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tanko 2016-6-17 11:00

 国際リニアコライダー(ILC)誘致関係者らが各種活動や会議スペースなどとして活用する空間「岩手ILC連携室」が15日、盛岡市北飯岡の岩手県先端科学技術研究センター内に開設した。同日、ILCを推進する研究者の一人である吉岡正和東北大・岩手大客員教授と、千葉茂樹副知事がセレモニーに参加し、看板を設置した。
 前日に仙台市で開かれた東北ILC推進協議会総会の席上、東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)が設置されたことを受けて県が開所。▽外国人研究者の受け入れ態勢の充実▽全国的なILCの広報――などの課題に対する会議の開催や、吉岡客員教授をはじめとする県内外関係者が集う拠点としての活用を見込んでいる。スタッフは常駐しない。
 吉岡客員教授は「これまではイベントの度に岩手に来ていた。今後は連携室を拠点に、岩手での活動を組織的に、システマティックにしたい。活動の継続性のためには拠点というものが必要。前線基地としての意味合いも生まれる」と期待する。
 千葉副知事は「東北各県との連携の拠点としてスタートする。さらにはさまざまなプロジェクトの取り組み拠点として進化させたいと考えている。東北準備室との連携も強化し、東北へのILC誘致実現へ向けた一翼を担いたい」とあいさつした。
(記事配信=盛岡タイムス)

写真=岩手ILC連携室の看板を設置する吉岡正和客員教授と千葉茂樹副知事(左から)
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tanko 2016-6-16 11:00
 奥州市の小沢昌記市長は15日の定例記者会見で、国際リニアコライダー(ILC)誘致に関わり、市外への情報発信についてはイベント開催の促進に触れ、一方で「市内の出前講座や、市民の皆さんにより深くILCについてご理解いただくような地道な作業もこれまで以上に実行していきたい」と述べた。
 14日に仙台市で開かれた東北ILC推進協議会総会で、小沢市長ら4人が参与として同推進協役員に加わった。市の関わりの今後について、市は「ILCまちづくりビジョン」を策定して方向性を定めており、小沢市長は「関係する方々に市のスタンスを理解していただくことから始めたい。誘致を確実なものにする方向性を乱すことなく、アプローチの仕方等は協議の中で進める」とし、庁内では「ビジョンの項目について市総合計画に搭載することを急ぐ」と述べた。
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tanko 2016-6-15 14:00
 国際リニアコライダー(ILC)受け入れを意識した具体的な地域づくりの計画策定や産業支援などに対応するため、東北ILC推進協議会は14日、「東北ILC準備室」を立ち上げた。同日、仙台市内のホテルで開かれた同推進協総会の席上、設置議案を可決。室長には岩手県立大学の鈴木厚人学長が就任した。政府によるILC日本誘致が明確になっていないものの、候補地の地元として、受け入れに本腰を入れている姿勢を強力に示す狙いがある。
(児玉直人)

 同推進協の事務局を務める東北経済連合会(東経連)は、東北大学と共にILCなど最先端科学技術を駆使した研究施設の集積による地域・産業振興を掲げた「ILCを契機とした東北・北上エリアグランドデザイン」(基本構想)の策定作業を進めていた。「東北ぐらし」をキーワードに、ILC誘致実現による東北地方での質の高い「暮らし」が、地元住民や研究者を問わず実感できるような地域将来像を描いている。
 今回設置した準備室は、グランドデザインの考えを反映させた「地域広域基本計画」の策定作業に取り組むほか、地域の受け入れ態勢を構築するために必要な準備作業を進める。
 メンバーは▽岩手大▽岩手県立大▽東北大▽岩手・宮城両県▽仙台市▽岩手県ILC推進協議会――の関係者らで構成。候補地の地元に深くかかわる協議も想定される中、奥州市や一関市などは名を連ねていない。東経連の西山英作産業経済部長は取材に対し、「本年度から奥州市の小沢昌記市長ら候補地の自治体首長を東北ILC推進協の参与にお願いした。参与は幹事会のメンバーとなるため、地元市の意向などはそこで伺い、準備室の運営にも反映させたい」と説明した。
 準備室には▽地域産業支援▽地域受入体制▽広報▽技術的検討――の4部会を設け、建設準備や実施における地域負担経費の試算や財源確保戦略など専門的な課題を検討する。広報部会では、候補地における準備状況を国内外に向け発信することなどを検討する。
 室長を務める鈴木学長は取材に対し、「今まではILCを実現しようと活動していながらも、それぞれの動きの情報がしっかりと共有されていない面があった。ILC誘致が地域住民の皆さんも絡んだ動きになるよう頑張りたい」と力を込めた。また、ILC計画が全国的に知られていない点について、「月1回のペースで報道関係の皆さんに情報提供をできるような場を設けたい」と話した。

写真=「東北ILC準備室」設置を受け、意気込みを語る鈴木厚人学長(右)
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tanko 2016-6-15 14:00

 東北ILC推進協議会総会(代表・里見進東北大学総長、高橋宏明東北経済連合会名誉会長)は14日、仙台市内のホテルで本年度総会を開き、本年度事業計画や東北ILC準備室の設置、新役員体制の関連議案などを原案通り承認した。役員体制については、奥州市の小沢昌記市長ら4人が参与として同推進協役員に加わることとなった。
 総会には、推進協に加盟する産学官民の関係者ら約100人が出席。小沢市長や高橋由一金ケ崎町長、青木幸保平泉町長、達増拓也岩手県知事らも出席した。
 本年度は政府への要望活動に合わせ、国会のILC議連などに対する国際交渉面での協力を行う。ILC準備室の設置などを受け、役員体制も強化。理事に岩手県立大学の鈴木厚人学長を加えたほか、推進協の運営に意見を述べることができる「参与」を新たに設けた。
 新ポストの参与は推進協代表からの委嘱による任命となり、小沢市長のほか、勝部修一関市長、谷藤裕明盛岡市長、菅原茂気仙沼市長の4人が就任した。就任に当たり小沢市長は「ILCを確実に誘致できるよう一歩でも二歩でも取り組みを前進させたい」と、総会出席者らを前に力を込めた。

写真=本年度事業計画などを承認した東北ILC推進協議会の総会
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tanko 2016-6-12 19:40





 北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致実現と地域社会の展望について意見を交わすシンポジウムが11日、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)で開かれ、候補地周辺4市町の首長らがILCに寄せる期待と地域の将来像について持論を展開した。
(児玉直人)

 同区を拠点に活動しているILC民間誘致団体、いわて加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)が主催。県や胆江2市町、胆江日日新聞社などが共催した。同推進会議では昨年、胆江2市町と大船渡、陸前高田、住田の気仙3市町の首長らによる同様のシンポジウムを開催。候補地の地元である奥州、一関両市だけでなく、その近傍の自治体にILC計画がどのように受け止められ、現在進めているまちづくりとどう関連性を持たせられるのかなどについて意見を交わした。
 今回は胆江2市町に一関市、平泉町を加えた4市町の首長と、ILC計画に長年携わってきた県立大学の鈴木厚人学長、県科学ILC推進室の佐々木淳室長の計6人が登壇。岩手大学などで客員教授を務める吉岡正和氏が進行役を務めた。
 この中で平泉町の青木幸保町長は、自然との共生や平和へのメッセージが込められている平泉の世界文化遺産に触れながら、「ILC誘致に当たっては自然への影響を心配する声もあるようだが、この地域は自然も文化も大切にする地域だということも発信していくべきだろう」と提案した。
 奥州市の小沢昌記市長は「人口減少や地域経済の低迷、個人消費の伸び悩みなどの課題があり、私たちはある種の改革を求められているような気がする。ILCはイノベーション(技術革新)の基になる存在で、私たちに新しい生活の形を見いだしてくれるだろう」と期待を寄せた。
 金ケ崎町の高橋由一町長は、県内屈指の工業団地を抱える地域特性に触れながら「候補地に隣接する町として、町が持つ特色をILCとの関わりとの中に生かしていく必要がある」と強調。一方で実現に向け、さまざまな施設やインフラの整備費用分担を明確にする必要があると指摘した。
 一関市の勝部修市長は「今回のようなシンポジウムを候補地の地元だけで一生懸命やるのではなく、東京など他都市にも波及させなくては意味がない。何とか中央の方にILC計画の存在を発信できないか頭を悩ませている」と、国民理解の醸成に向けた課題を指摘した。
 4首長らの討議に先立ち、鈴木学長による基調講演も行われた。

写真=ILC誘致とまちづくりについて意見を交わす胆江、両磐4首長ら(Zホール)
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tanko 2016-6-3 16:00
 岩手県人連合会会長などを務めている東京大学名誉教授の瀬川爾郎氏(79)が2日、奥州市役所本庁に小沢昌記市長を訪ね、北上山地が最有力候補地となっている素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)について意見を交わした。瀬川氏は「よりよい岩盤があることを客観的に示す上でも、航空機を使って重力変化を調べてみてはどうか」などと提言。これまで素粒子物理学者が実施してきた調査のほか、客観的な立場の情報も交え実現に向けて進む必要があると訴えている。(児玉直人)


 瀬川氏は釜石市出身で、現在は東京都日野市に在住。東京大学理学部物理学科卒業後、1986年から1997年まで同大学教授を務めた。専門は地球物理学。退官後は、東海大学海洋学部専任教授や東京海洋大学客員教授、日本測地学会会長などを歴任している。
 長年交流があるNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター理事長の大江昌嗣氏(75)=水沢区川端=から、ILC誘致実現のため応援してほしいとの誘いを受けていたこともあり、来県する機会に合わせ小沢市長を表敬した。
 北上山地は南北に細長い強固な花こう岩帯があり、振動がない実験環境を得られるとして着目。ILCを推進する国内外の素粒子物理学者らの厳密な評価・審査を経て、事実上、世界唯一の建設候補地に選ばれている。
 瀬川氏や大江氏は、国内候補地一本化の際に行われた地質調査(ボーリング調査)や素粒子物理学者らの立地評価について「否定するものではない」と前置きしながら、より北上山地の地質に対する信頼性を高める上で、航空機による重力変化調査の実施を提言した。
 小沢市長は瀬川氏らの提言に理解を示すとともに、「誘致活動の全体を取りまとめている東北ILC推進協議会のような場所で、今のようなお話をしていくことも大切」と述べ、関係自治体や機関が情報を共有し、足並みをそろえて実現に向かっていくことの重要性にも理解を求めた。
 このほか、ILC実現の上で大きなハードルとなっている、国民理解の醸成を図る必要性についても話題に。小沢市長は「さまざまなメディアに取り上げられるよう努力する必要はある。そんな中、本県出身者に瀬川先生のような権威がいて、さらに県人連の会長も務められていることに心強さを感じる」と敬意を表していた。
 表敬後の取材に対し瀬川氏は「トンネル掘削作業と並行しながら地質を調べることもできる。もし落盤が起きた場合、ルート変更を強いられるぐらい重大なダメージなのか、そのまま進めても支障のない規模のものなのか、判断材料を与えることも可能だ」と説明する。
 大江氏は、ILC計画の検討を中心となり進めてきた素粒子物理学者だけでなく、さまざまな科学分野の力を結集すべきだと主張。「実際に建設作業をして『やってみたら、だめでした』となったら大変。二重、三重にチェックをすることは決して悪いことではなく、むしろさまざまなデータがあることは、設計や実際の作業を支える存在になるはずだ。地元に住む私たちとっても、郷土の自然が持っている特徴をより深く知ることができる」と述べている。

写真=小沢昌記市長(右)と意見を交わす瀬川爾郎氏。左は大江昌嗣氏

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