人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
投稿者 : 
tanko 2016-5-28 12:10
 ドイツの素粒子物理学委員会(KET)はこのほど、北上山地が有力候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)について、「技術的に成熟した唯一のプロジェクト」と高く評価し、「緊急に実現する必要がある」との考えを示した。
 KETは今月上旬、電子と陽電子を超高速で衝突させ、物質の成り立ちなどを研究する実験施設の将来計画について協議。ILCのほか、欧州合同原子核研究機関(CERN)が中心となり進めている線形加速器「CLIC」、同じくCERNが検討している周長80〜100kmの円形加速器「FCC」に加え、中国が計画している超巨大円形加速器「CEPC」の計四つのプロジェクトについて、成熟度や得られる成果などをもとに議論した。
 その結果、ILCは技術的に成熟した唯一のプロジェクトであると評価。KETは「国際的に提案され、日本でホストすることが議論されているこのプロジェクトは、緊急に実現する必要がある。この会議の結果として、ILCプロジェクトを最も強力に支持する」とした。
 ILC計画を強力に支持する海外関係機関の動きとして、一昨年5月には、米国高エネルギー物理学諮問委員会(High Energy Physics Advisory Panel=HEPAP)の下部組織「素粒子物理学優先順位付け委員会(P5)」が、ILC計画に対する強い支持を表明。同年7月には、素粒子研究の協力体制などを検討する「国際将来加速器委員会(ICFA)」が、ILC計画を支持する声明を発表した。
投稿者 : 
tanko 2016-5-28 12:10

 国際リニアコライダー(ILC)計画について、候補地の地元に暮らす児童や生徒たちに理解を深めてもらう「出前授業」は27日、本年度事業が奥州市立水沢南小学校(佐藤良校長)を皮切りにスタートした。
 同日は5年生の児童88人が授業を受けた。奥州市ILC推進室の高橋秀和主任らが講師を務め、動画による説明やクイズを通して国際的なプロジェクトの一端を紹介した。
 奥州市が実施する本年度出前授業は、小学校が水沢南小を含め13校、中学校が11校で予定されている。小学校は同推進室職員が講師を務めるが、中学校はNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)に事業委託している。
 一方、県南広域振興局(堀江淳局長)では、奥州、一関両市を除く管内市町での出前授業を27日にスタートさせている。奥州市内中学校と同じく、同NPO法人に委託しており、金ケ崎中学校では11月14日に行う予定だ。

写真=ILC計画の話に耳を傾ける児童たち(市立水沢南小学校)
投稿者 : 
tanko 2016-5-26 12:10
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を目指す、奥州市ILC推進連絡協議会の本年度総会は25日、奥州市役所江刺総合支所多目的ホールで開かれ、本年度事業などを原案通り可決した。策定したばかりの「奥州市ILCまちづくりビジョン」に掲げる将来像や行動指針を会員間で共有し、ILC実現に向けた普及活動などを展開していくことを確認した。役員改選では、会長の小沢昌記市長をはじめ現行役員が再任された。

 同協議会は、江刺区東部などの北上山地が有力候補地となっているILCの実現に向け、地元としてできる誘致活動や理解促進活動を官民連携して展開しようと2012(平成24)年に発足。市や経済・産業団体、地区振興会組織などが会員として名を連ねている。設立時39団体だった会員は2015(平成27)年度時点で61団体に増えた。
 総会には会員団体の代表者ら28人が出席。小沢市長はあいさつで、「ILCの誘致機運は少しずつ高まっている。国では文部科学省の有識者会議での協議が進められているが、参加が見込まれる各国の費用分担や、日本へ誘致する上での国民理解の醸成などが重要な問題となっているようだ」と述べた上で、「候補地の地元として、何としても誘致を成功させたい。夢が広がる地域の未来予想図を描くためにも、しっかりと対応していきたい」と力を込めた。
 本年度は「市ILCまちづくりビジョン」の行動指針を意識し、各種支援や啓発活動を実施。直近では、会員団体である「いわてILC加速器科学推進協議会」主催のシンポジウムが6月11日に、市文化会館(Zホール)で予定されている。
 総会後は、同ビジョンの説明会も実施。策定作業に携わった、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長(国立天文台名誉教授)は「研究者だけでなく、地元の支援が無ければ成り立たない。現状ではまだまだ研究者と地元が連携している状況にはない。市長を先頭に策定したビジョンを関係する研究機関や大学などに示し、地元の覚悟をぜひ示してほしい」と訴えた。
投稿者 : 
tanko 2016-5-25 12:00
 東北経済連合会(東経連)ビジネスセンターと東北ILC推進協議会は、仙台市内で20〜21日に開かれた先進7カ国(G7)財務大臣・中央銀行総裁会議に合わせ、奥州市江刺区東部などが有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」のPRを実施。展示を見た人たちからは、「ぜひ東北に来てほしい」など、期待の声が寄せられた。

 PR活動は同会議開催前日の19日、仙台国際センター=仙台市青葉区=で実施。歓迎レセプション会場入り口に設けられたブースでは、ILCのほか、東北6県と新潟県の優れた工芸品や加工食品も紹介した。
 ILCコーナーには、電子と陽電子の衝突反応をとらえる検出器の模型が展示されたほか、PR動画も放映。検出器の模型は、一関市がJR一ノ関駅新幹線コンコースや同市庁舎内に展示しているもので、東経連が借り受け紹介した。地下実験ホールに検出器が設置された状態をイメージできる。
 東経連の担当者によると、当日は岡田直樹財務副大臣(参院・石川)や国内外のメディア関係者、随行職員らがブースに立ち寄り、東経連職員らの説明に熱心に耳を傾けたという。担当者は「世界中の人たち、特にもメディア関係者が大勢集まるような場でILCや東北の復興の様子を紹介できたのはとても良かった。ILC計画を知っている日本人も結構多かったが、初めてILC計画の存在を知った人でも、誘致意義などを説明すると『ぜひ実現してほしい』と理解を示していた」と振り返っていた。
 ILCは素粒子物理学の大型実験施設で、世界中の研究者や技術者らが計画に関与。奥州市江刺区から一関市千厩、宮城県気仙沼市にかけての北上山地が世界唯一の建設候補地になっている。

写真=G7財務大臣・中央銀行総裁会議のレセプション会場に設けられたILCの模型や解説文に見入る参加者たち=東経連提供
投稿者 : 
tanko 2016-5-18 12:00
 江刺工業団地企業誘致推進委員会(会長・小沢昌記奥州市長)は本年度、江刺フロンティアパーク=江刺区岩谷堂地内=への企業立地促進に引き続き力を入れる。誘致重点産業をターゲットにした積極的な企業訪問や情報収集などに取り組み、立地につなげていく。
 同推進委は、江刺中核工業団地と江刺フロンティアパークへの企業立地促進を目的に発足。市や中小企業基盤整備機構、県、奥州商工会議所、金融機関など計9組織で構成する。
 江刺中核団地は2013(平成25)年度に完売。一方、同パークは全30区画(22.1ha)のうち現在17区画(13.4ha)が残っている。面積ベースで分譲率は39%。昨年度の新規立地実績はゼロだった。
 企業誘致促進事業として、本年度は▽自動車関連企業▽半導体関連企業▽食品関連企業▽医薬、医療機器・健康関連分野の企業▽物流業──を誘致重点産業に位置付け。重点分野の企業へのアプローチを積極的に展開する一方、既立地企業などへのきめ細やかなフォローアップ、事業拡大支援なども充実させる。
 国の地方創生交付金を活用し、首都圏での企業立地説明会やフェアへの出展などに取り組むほか、同パークの立地環境や優遇施策などを紹介するパンフレット・パネル作成による情報発信、「市ものづくり・企業ガイド」の作成、市主催「おうしゅう首都圏産業交流会」(東京都、10月)など各種イベントへの開催・参加なども行う。
 また国際リニアコライダー(ILC)誘致実現に備え、立地企業への加速器関連産業参入についての情報提供などにも取り組む。
 17日、役員7人が出席し江刺区のホテルニュー江刺新館イーズで本年度総会が開かれた。小沢市長は「これまでの状況を確認しながら、より良い方向を見いだしていきたい」とあいさつし、引き続き積極的な誘致活動展開への協力を求めた。
投稿者 : 
tanko 2016-5-17 17:30


 奥州市議会の「国際リニアコライダー(ILC)誘致推進議員連盟」(渡辺忠会長、全議員27人で構成)は16日、超党派国会議員で組織する「リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟」の河村建夫会長(衆院山口3区)に対し、北上山地が有力候補地となっているILCの誘致実現に関する要望書を提出した。東京都千代田区の衆議院第二議員会館で渡辺会長らと面談した河村会長は、「国内誘致実現に向け地域の皆さんと一緒に頑張っていきたい」などと述べた。
 要望活動には渡辺会長をはじめ、小野寺重(副会長)、佐藤郁夫(幹事長)、広野富男、千葉敦、菅原圭子、阿部加代子、内田和良、加藤清(以上幹事)、菅原由和の各氏が参加。市ILC推進室の朝日田倫明室長も同行した。
 河村会長への要望書にはILC誘致の意義と波及効果、候補地の地元市としての取り組みを列挙。「国に対しては、早期に国内誘致を表明し、日本主導の国際プロジェクトとして進めるための体制整備を要望している。(ILC国会議連の)さらなる尽力をお願いしたい」と求めた。
 科学技術・イノベーション推進特別委員会の黄川田徹委員長(衆院岩手3区)や、本県選出国会議員にも同様趣旨の要望書を提出した。
 要望終了後、胆江日日新聞社の電話取材に応じた渡辺会長によると、河村会長とは要望趣旨説明後、約30分にわたって会談したという。「河村会長からは、地元の皆さんと一緒に頑張っていきたいとの言葉をいただいた。周辺施設整備の中でどうしても生じる地元負担や、東北や国内全体でILCプロジェクトをカバーする必要性についても話題が及んだ。完成したばかりの市のビジョンもお示しし、地元の取り組みと熱意も伝えられた」と振り返った。

写真=奥州市議会ILC議連の要望書提出を受け自身の考えを述べる河村建夫・ILC国会議連会長(中央)=提供写真

=======================================================================
"Urge for an Early Decision: Request from Federation of Oshu City Councilors to Invite the ILC Diet ILC Federation"

Federation of Oshu City Councilors to Invite the ILC (Chairman Tadashi Watanabe, composed of all 27 city councilors) presented a request concerning the International Linear Collider to Chairman Takeo Kawamura of the Federation of Diet Members to Promote the Construction of the ILC. Chairman Kawamura, who met the group in the Second Members’ Office Building of the House in Chiyoda Ward, Tokyo, said “I would like to work hard together with everyone [in Tohoku] to bring the ILC to Japan.”

Along with Chairman Watanabe, the visiting group from Oshu included Mr. Shigeshi Onodera (vice chairman), Mr. Ikuo Sato (chief secretary), Mr. Tomio Hirono, Mr. Atushi Chiba, Ms. Keiko Sugawara, Ms. Kayoko Abe, Mr. Kazuyoshi Uchida, Mr. Kiyoshi Kato, and Mr. Yoshikazu Sugawara. The group was also accompanied by Oshu ILC Promotion Division Director Asahida.

The request handed to Chairman Kawamura listed the significance and positive benefits of inviting the ILC, and local activities in Oshu as part of the candidate site. The request stated, “We want the Japanese government to make an early statement to invite the ILC to Japan, and a framework to be developed for this international project led by Japan. We call for the further assistance [from the ILC diet federation].”

Requests with similar contents were handed to Chairman of the Special Committee on Promotion of Science and Technology, and Innovation Mr. Toru Kikawada and to other diet members elected from Iwate.

After the meeting ended, Chairman Watanabe responded to a phone interview for Tanko Nichinichi, saying that the group talked with Mr. Kawamura for about 30 minutes after explaining the request. “Chairman Kawamura told us he wanted to work hard together with everyone. We also talked about the inevitable cost for the host region for building related facilities in the area, and the need to support the ILC project within Tohoku and throughout Japan. We gave him Oshu’s ILC vision, which has just been completed, and we able to convey to him the efforts made and passion Oshu has for the ILC.”
投稿者 : 
tanko 2016-5-16 14:10
 国際リニアコライダー(ILC)の受け入れ態勢やまちづくりについて考えるシンポジウム「ILC実現と地域社会の展望」は、6月11日午後1時半から市文化会館(Zホール)で開かれる。いわてILC加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)の主催で、昨年実施した関係自治体の首長らによる討論を今回も実施。顔ぶれを胆江、両磐4市町の首長とし、ILC誘致実現を見据えた地域将来像について意見を交わす。
(児玉直人)

 江刺区や一関市の東部などが候補地となっているILCは、世界に一カ所だけ建設される素粒子物理学の国際研究施設。ノーベル賞級の頭脳を持った物理学者らが実現に向けた体制を整えている。微細な振動さえも許さない実験を行う必要があり、地中に花こう岩帯が広がる北上山地が有力候補地となっている。国際組織「リニアコライダー・コラボレーション」は、同山地の環境に合わせる形での詳細設計を進めている。
 文部科学省のILC有識者会議で日本に誘致する上でのメリットや課題などを協議。国の誘致判断やその後の国際協議などがスムーズに進んだ場合、運用開始は2030年前後と見込まれている。
 学術的な意義はもちろんのこと、世界唯一の研究施設が誘致されることにより、地方創生や教育振興、産業振興などさまざまな面に計り知れない波及効果が及ぶこともあり、候補地の地元自治体の一つである奥州市は「ILCまちづくりビジョン」を策定。また、東北大学と東北経済連合会は東北全体としての受け入れ態勢を整えるための基本構想「ILCを契機とした東北・北上エリア グランドデザイン」の策定作業を進めており、来月中にも成案化する見通しだ。
 一連の流れを受け水沢区を拠点に活動している同推進会議は、「ILCをいかにまちづくりに生かし、地方創生につなげていくかが問われている」とし、昨年に続き候補地周辺の首長らによる討論会を開き、地域社会の展望を考える機会を設けることとした。
 昨年7月に同会議が開催したシンポジウムでは、胆江2市町と気仙3市町(陸前高田市、大船渡市、住田町)の首長らが登壇したが、“第2弾”となる今回は自動車の「平泉ナンバーエリア」の首長と誘致関係者に出席を依頼した。
 テーマは前回と同じ「わがまちの未来絵図とILC」。登壇者は小沢昌記奥州市長、高橋由一金ケ崎町長、勝部修一関市長、青木幸保平泉町長、鈴木厚人県立大学長(高エネルギー加速器研究機構・前機構長)、佐々木淳・県科学ILC推進室長の6人。司会進行は岩手大・東北大客員教授の吉岡正和氏が務める。討論の前段には、鈴木学長による基調講演「ILCと地方創生」を予定している。
 聴講は無料。申し込みに関する問い合わせは、奥州市役所ILC推進室(電話0197-24-2111、内線415)へ。
投稿者 : 
tanko 2016-5-13 13:20
 早稲田大学特命教授の伊藤滋氏は12日、仙台市内で講演。国際リニアコライダー(ILC)建設候補地としてふさわしい風土や地域の魅力を列挙しながら、「新たな発展を生み出すプロジェクトだ」と強調。一方で「ILC誘致を決める上では、東北だけでなく日本国民の理解が必要だ」と指摘した。
 伊藤氏の講演は、仙台市秋保で今月20、21日に開かれる「G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議」の記念行事として開かれたシンポジウム「ILCと東北の創造的復興」の中で行われた。東北経済連合会(東経連、高橋宏明会長)が主催し、約300人が参加。小沢昌記奥州市長、いわてILC加速器科学推進会議の亀卦川富夫代表幹事、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長らも出席した。
 伊藤氏は、東北大学や東経連が中心となり策定する「ILCを契機とした東北・北上エリア グランドデザイン」の検討委員会委員長を務めている。
 北上山地の花こう岩帯や水沢区の国立天文台水沢キャンパス、二戸市出身の地球物理学者・田中館愛橘(1856〜1952)の存在に触れながら「天然の恵みである花こう岩の存在、田中館博士のような人材を生み出す東北の風土が一緒になると、新たな発見を生み出すのでは」と強調。「ILCに関係した加速器製造やメンテナンス技術は、日本人だからこそできるような緻密かつ正確さが要求される。しかも大企業ではなく、地域の企業の力が求められる。ILC誘致を機に、仙台―盛岡間の地域に関連産業が展開されるだろう」と期待を寄せた。
 また、ILCとまちづくりに関しては「奥州平泉文化とILCを結び付け、世界に地域の魅力をもっと発信してほしい」と呼び掛けた。
 一方で、プロジェクトにかかる費用が1兆円超という規模であることを取り上げ、国民の理解を得ることが欠かせないと指摘した。
 シンポジウム後半では、前沢区の千田精密取締役の千田ゆきえ氏らが登壇し、ILC受け入れ態勢などをテーマにしたパネルディスカッションが繰り広げられた。同社では、素粒子物理学の実験に必要な精密金属部品の納入をしている実績がある。地元企業のILC関連産業の参入に関し、千田氏は「常に高いアンテナを持つことが必要。このようなシンポジウムや講演会に顔を出すことは、関連産業参入のきっかけに結び付くだろう」と述べた。
 シンポジウムを主催した東経連は、G7開幕前日の19日に開かれる歓迎レセプション会場に、ILCのジオラマ(模型)を展示する予定。主要国の要人らにILCプロジェクト実現に向けた取り組みをアピールするという。

写真=ILC誘致の意義などについて講演する伊藤滋氏
投稿者 : 
tanko 2016-5-13 13:10
 江刺区を含む北上山地に誘致が期待される素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の受け入れ態勢を整えるため、東北大学(里見進総長)と東北経済連合会(高橋宏明会長)が中心となり策定作業を進めていた基本構想「ILCを契機とした東北・北上エリア グランドデザイン」の概要案が12日、明らかになった。「東北ぐらし」をキーワードに、ILC誘致実現による東北地方での質の高い「暮らし」が、地元住民や研究者を問わず実感できるような地域将来像を描いている。東経連関係者によると、6月の成案化を目指しており、基本構想をたたき台とした基本計画策定作業を年内に着手する。(児玉直人)

 基本構想の概要案は、仙台市内のホテルを会場に同日開かれた東経連主催のILC関連シンポジウムで出席者に配布された。基本構想の策定作業は、早稲田大学の伊藤滋特命教授(都市計画)を委員長とする同グランドデザイン検討委員会で進められた。伊藤特命教授を除き、メンバーは東北大関係者が中心となっており、東経連と共に内容を練った。
 概要案では、東北や北上山地周辺の現状や課題について「ILCに関するすべての研究者らが地域に居住しても人口減少を食い止めることはできない」と指摘。イノベーション(技術革新)の創出や地域の強みを生かした地域づくりに取り組むことが重要としている。その上で、現時点のスケジュールでILCの建設完了から運用開始に移行する2030年を見据え、イノベーションによる質の高い「東北ぐらし」の実現で、東北・日本の活力を創造するとしている。
 具体的には【1】伝統や歴史が融合した「住みたくなる東北ぐらし」【2】豊かな食材に付加価値を与え世界の人々を引きつける「オイシイ東北ぐらし」【3】豊かな森林資源を活用した「木づかいの東北ぐらし」【4】先端科学技術の集積と歴史文化資源、自然美を組み合わせた「東北ぐらしの体験観光」――の4本柱を掲げ、ILC誘致実現と共に目指すべき東北の姿を描いた。
 東経連産業経済部の西山英作部長によると、基本構想案はさらに内容の精査を進め、6月14日に仙台市内で開かれる東北ILC推進協議会(代表・里見東北大総長、高橋東経連会長)までに成案の形で示せるようにしたいという。
 西山部長は報道陣の取材に「基本構想をベースとして、より実行性の高い受け入れ策を盛り込んだ基本計画の策定作業に着手することになる。基本構想は東北大と東経連中心で作ったが、基本計画では関係自治体も交えて協議することになるだろう」と説明。政府の誘致判断が示される見通しの2017年度末に間に合うよう、今年中に策定作業に着手したいとの考えを示した。
投稿者 : 
tanko 2016-5-11 13:10
国際リニアコライダー(ILC)の絵画パネルをみんなで描きました。この中から未来の研究者が出るかも!?
(胆沢中学校建設現場で)

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動