人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2016-4-26 13:00
 タクシー乗務員が観光客に胆江地区の観光名所をPRする「奥州プレミアムタクシー」の出発式が25日、江刺区の歴史公園えさし藤原の郷大駐車場で行われた。今秋に開催される希望郷いわて国体・いわて大会や国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据え、地域の魅力を知り尽くした乗務員による「おもてなし」が本格始動した。


 昨年4月、胆江地区のタクシー業界がスクラムを組み、奥州・金ケ崎観光ガイドタクシー運営委員会(委員長・小野幸宣県タクシー協会胆江支部長)を設立。いわて国体などをはじめ県内外から当地区を訪れる観光客に地域の魅力をPRしようとの試みで、乗務員にはご当地検定「奥州おもしろ学」の座学受講や接遇など全4回の日程で研修を実施した。無事故無違反3年以上など一定基準の下、昨年10月に行われた第1回の認定乗務員検定には24人が合格した。
 同観光ガイドタクシー事業の愛称は地域住民から公募。約60点の中から金ケ崎町西根高谷野原の菅原純さんが考案した「奥州プレミアムタクシー」を選んだ。
 出発式には、認定乗務員や同運営委メンバーら約40人が出席。小野委員長は「各地から来県する選手や応援団、観光客への名所アピールと、公共交通機関として担う役割をしっかりと果たしてほしい」と呼び掛け、「乗務員が最高のおもてなしをして、地域観光の振興を後押ししていきたい」とあいさつした。
 号令とともに認定乗務員がタクシーに乗り込み、同郷駐車場をゆっくりと一周した。認定乗務員で?北都交通の渡辺和村さん(58)は「出発式を迎え、気持ちを新たに乗客を迎え入れられたら」と笑顔。「認定乗務員の名に恥じないよう、乗務員同士で切磋琢磨して胆江地区の魅力を乗客に伝えていきたい」と決意していた。
 認定乗務員が乗るタクシーには、胆江地域の青空と大地の下で稲作が行われる様子をイメージしたロゴマークが後部座席側のドア付近に掲示される。デザインは今年3月に同運営委で決定し、出発式に合わせて披露された。

写真上=胆江地区の観光振興の一翼を担う「奥州プレミアムタクシー」の認定乗務員
写真下=奥州プレミアムタクシーのロゴマーク
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tanko 2016-4-25 12:50
 江刺区米里の久須師神社境内(通称・壇ケ丘)に建立された宮沢賢治詩碑「人首町」の除幕式が24日、現地で行われた。米里地区宮沢賢治詩碑建立実行委員会(山崎勝委員長)会員や地元住民ら約60人が出席し、詩に描かれたままの情景が広がる丘からの眺めを堪能しながら、賢治が生きた時代に思いをはせた。(稲田愛美)


 賢治生誕120年を記念し、昨年8月に同実行委を組織して事業を企画した。建立場所は、詩「人首町」に登場する丘の一つ・壇ケ丘に決定。地域の3分の2以上の賛同、協力を得て、賢治が1924(大正13)年に同地区を訪れ「人首町」を書き上げた4月25日に間に合うよう完成させた。
 詩碑は縦90cm、横120cmの青御影石製で、宮沢家の親族・宮沢やよいさんが揮毫。賢治の実弟・清六さん(故人)の孫に当たる宮沢和樹さんをはじめ、米里振興会の平塚誠厚会長、市都市計画課の佐藤和憲課長ら5人が除幕し、建立を喜んだ。この日はやよいさんも駆け付け、「人首町」を朗読した。
 山崎委員長は「詩碑建立が子どもたち、地域の人たちの賢治作品への入り口となり、やがて文学への一つの道筋になれば。また世界の賢治ファンの『詩の散歩道』の一つに加えていただけたら。そして、やがて来るであろうILC(国際リニアコライダー)の研究者の方々を迎える文化的基盤作りの一端にもなることを願っている」とあいさつ。建立に携わった関係者各位に感謝した。
 地元米里保育園児と人首小児童8人が「雨ニモマケズ」を高らかに朗誦し、賢治作品を伝承した。

写真上=江刺区米里の壇ケ丘に建立された詩碑「人首町」の除幕式
写真下=詩碑の前で賢治の代表作品「雨ニモマケズ」を朗誦する子どもたち
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tanko 2016-4-23 12:50
 北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据えた奥州市の「ILCまちづくりビジョン」の最終案がまとまった。市が今後目指すべき将来像や関係機関と連携して進めていくための行動指針を掲げ、地場産業の振興や市民生活などのさらなる向上のために期待できる取り組みを示した。22日、同ビジョン策定委員会の亀卦川富夫会長が小沢昌記市長に最終案を提出。今月中にも策定される見通し。(千葉伸一郎)


 昨年7月の初会合からワークショップやパブリック・コメント(意見公募)などを経て取りまとめた。同策定委は、まちづくりや産業の集積、教育や医療など各分野の有識者ら13人で構成。重視したのはILCをどのように市民の「夢や希望」につなげていくか――。最終案の副題には「無限の可能性を求めて」と記した。
 ILCで用いられ、生み出される最先端技術はさまざまな分野に応用でき、県や東北の経済発展、地域活性化につながる。また、世界各国から多くの研究者らが集まるため国際都市を形成し、子どもたちが研究者から直接学ぶ機会があれば教育環境も高まる。
 市の目指すべきまちづくりの将来像は、「奥州から未来を創る」「時空を超えたつながり」「恵み豊かな自然・文化と共生」。この将来像を実現するため、▽地域産業振興▽多文化共生の推進と快適な生活環境の向上▽次代の人材を育成できる国際教育都市の形成――の3分野ごとに行動指針を決めた。
 地域産業振興には、JR水沢江刺駅周辺のイノベーション(技術革新、新たな価値の創造や社会を変化させる活動)拠点の形成などを取り組みに盛り込んだ。多文化共生と生活環境では、医療や公共交通の利便性向上などを掲げ、人材育成面では子どもたちが異文化理解と国際感覚を育むための寺子屋事業も記載した。
 亀卦川会長は「市民の夢として、この可能性を追求していきたい。このビジョンを経済団体や市民団体などに手渡していただけたら」と依頼し、さまざまな分野の協働による取り組みに期待。小沢市長は「市民一人一人がILCを迎えるために何ができるかを考え、率先して行動できるような雰囲気づくりをしたい」と応えた。

写真=市ILCまちづくりビジョンの最終案を小沢市長に提出する策定委の亀卦川会長(左)
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tanko 2016-4-20 12:50
 将来を担う子どもたちに最先端の科学に触れてもらうイベント「いわてサイエンスシンポジウム2016」が今年、大船渡市と盛岡市を会場に開かれる。県や関係機関で構成する実行委員会は19日、盛岡市の県民会館で設立総会を開き事業内容について確認した。
 北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致や岩手大学理工学部開設などが話題になる中、次代を担う科学技術人材を育成しようと、同シンポジウムを開催。子どもたちに先端科学に触れてもらう機会を提供する。
 事業計画によると、プレイベントとして5月29日に大船渡市民文化会館(リアスホール)で「地域サイエンスシンポジウム」を実施。いわて国体開催年であることに絡め、スポーツと科学を観点とした講演会と体験・展示コーナーを設ける。スポーツメーカーの研究開発部門担当者がスポーツ用具の研究開発などについて解説する。
 メーンイベントの「いわてサイエンスシンポジウム」は、7月18日に盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)で開催。宇宙や生命の起源を話題とした講演やパネルディスカッションを繰り広げる。また、東京海洋大学客員准教授でテレビ番組でもおなじみの「さかなクン」が児童・生徒向けに講演する予定。中高生によるサイエンスショー、体験コーナーも設ける。
 実行委員会は、岩手県や岩手大学、岩手県立大学、国立天文台水沢VLBI観測所など21団体・機関で構成されている。
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tanko 2016-4-1 12:30
 本年度の次世代グローバルリーダー事業「シップ・フォー・ワールド・ユース・リーダーズ」(内閣府主催)に本県から唯一参加した水沢区上姉体出身で宇都宮大学国際学部3年石川緋香里さん(20)は3月31日、市役所本庁に小沢昌記市長を訪ね、インドやスリランカなど異国で1カ月半にわたり、さまざまな交流を通じて学んだ経験を充実の表情で報告した。
(佐藤和人)

 同事業は、世界各地から集まった青年とワークショップ開催などを通じて交流。国際化が進展する各分野で、リーダーシップを発揮できる人材の育成を目的に開催。日本のほか、オーストラリアやバーレーンなど10カ国から約240人が参加した。
 中学や高校時代にも海外派遣でオーストリアなどの外国に訪れた石川さん。海外へ興味や憧れを抱くようになった。3月に県立大学盛岡短期大学部国際文化学科を卒業したが、国際的な視野を広げようと、4月から宇都宮大に3年次編入する。
 今年1月28日に日本を船で出航。船の中でもセミナーがあり、会話は全て英語。「英語があまり得意ではなかった」という石川さんだが、「分からないから聞く。教えてもらう」を自らの強みと言い聞かせ、多国籍の参加者と積極的に交流を図った。石川さんは「どんな自分でも強みにできるんだ」と実感できたという。
 訪れた2カ国では、ホームレス女性の社会復帰を支援する施設や軍人の精神的ケアを行う施設などを視察。現地では英語が伝わりづらいことも多く、ジェスチャーを交えたりゆっくり話したりして工夫して言葉の壁を乗り越えた。
 1カ月半の長旅を終えた石川さん。小沢市長に旅の成果を報告した。小沢市長は「いろいろな文化を吸収して日本に多文化共生の考えを伝えてもらえたら。活躍を期待している」と激励した。
 石川さんは将来、地方での多文化共生を実現できる仕事に就きたいと考えている。「短大では県内で多文化共生実現をテーマに卒論を執筆した。地方での多文化共生が必要になると考えており、いずれは国際リニアコライダー(ILC)推進など県内で国際的な分野に携わりたい」と意欲的だ。

写真=インドやスリランカを訪れた体験を小沢昌記市長に報告する石川緋香里さん

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