人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2016-3-30 12:20
 国際リニアコライダー(ILC)の北上山地への誘致実現を目指し市議会が昨年3月に設立した任意団体・ILC誘致推進議員連盟(渡辺忠会長、全議員27人で構成)は29日、市役所本庁で本年度総会を開き、2016(平成28)年度事業計画などを可決した。
 事業計画によると、県内各市町村議会に対しILC議連の設立を呼び掛けるほか、誘致に向けた国会議員への要請活動も実施。このほか、農業・商工団体、中高生らに対するILC関係シンポジウムへの参加要請や、市内各地でのILC宣伝看板設置なども計画に加えた。新年度の収支予算は26万2823円を見込んだ。
 渡辺会長は総会で、「新年度は対外的な活動に力を入れたい」などと話した。
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tanko 2016-3-28 12:20
 岩手県・科学ILC推進室の佐々木淳室長はこのほど、水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で講演。今年12月5〜9日にかけILC(国際リニアコライダー)関係の国際会議「LCWS2016」が盛岡市で開催されるなど、今後の動向について解説。国際会議や視察が増える見通しにあることから、研究者と地元が触れ合えるような場面の必要性も訴えた。
 講演は、水沢区を拠点に活動するILC誘致団体「いわてILC加速器科学推進会議」(亀卦川富夫代表幹事)の定期総会に合わせ開催した。
 佐々木室長は、日本政府や研究者界などにおけるILC計画の進展状況を報告。2017(平成29)〜2018年度に国としての誘致判断が示される見通しにあることに触れながら、受け入れ地域として「他にはない突出した取り組みを展開すべきだ」と提案した。
 また佐々木室長は、今年12月に盛岡市で開催される「LCWS2016」のような国際会議など、外国人研究者らが候補地を視察する場面が今後増えていくと予想。その際に「住民と触れ合う場面をつくるのも大切」と述べた。
 昨年4月に7カ国の素粒子研究施設の広報担当者が本県のILC候補地視察をした際、子どもたちによるポスターコンクールの実施など、一般向けの普及活動が既に展開されていることに驚いていたという。「ILCが来てから普及啓発をするようでは遅い。今から積極的に普及活動を展開していかなければ」と話した。

写真=ILCをめぐる動向や見通しについて解説する佐々木淳・県科学ILC推進室長
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tanko 2016-3-20 12:10
 小沢昌記・奥州市長と外国人市民らが膝を交えて意見を交わす「市タウンミーティング」(市国際交流協会主催)は19日、水沢区横町のメイプル地階市民活動支援センターで開かれた。「奥州市の多言語標記」をテーマに、公共施設や道路などの案内表示が外国人市民にも分かりやすくなるよう意見を交わした。
(佐藤和人)


 タウンミーティングは、行政と外国人市民のネットワーク形成や多文化共生を醸成するのが狙い。国際リニアコライダー(ILC)誘致実現も視野に入れている。
 本年度は、アジアや欧米の7カ国の出身者15人と、小沢市長や市協働まちづくり部の藤原佐和子部長ら市関係者9人が参加。3グループに分かれ、市内で案内表示が多言語になると暮らしやすくなる施設や場所を洗い出した。
 参加者たちが意見を出した多言語標記を増やしてほしい場所は▽病院の案内▽幼稚園や保育園の入園案内▽ごみの分別方法――など。病院の受け付けで母国語や英語が通じない上、案内を見ても日本語しか書いていないため受診先が分からず困った経験をした外国人市民が多いという。
 外国人市民の意見を受け、小沢市長は「公で行うべきことと民間でやるべきことを区別しなければならず課題も多いが、施設や看板、道路などの多言語化を進めていかなければ」と話した。また、「職員対象の英語や中国語教室を市が主催し、希望があれば一般市民でも受けられるような場を設け、多言語化を促進していきたい」と述べた。
 水沢区真城のアルバイト稲葉慧慈さん(33)=台湾出身=は「病院やスーパーなどで日本語の案内や表示が分からず困ったことが多い。小沢市長に直接要望を言えるチャンスはなかなか少ないのでいい機会になった」と笑顔で話した。

写真=市内の多言語標記についてアイデアを出し合う外国人市民ら
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tanko 2016-3-10 9:40
 東京大学の山下了特任教授は9日、仙台市内のホテルで講演し、北上山地が最有力候補となっている素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の実現に向け日米間で進められている連携協議について、大臣級のハイレベル協議から担当者レベルの協議も進み、大きな枠組みがつくられていると説明。「この動きをさらに加速させ、日米連携を核に欧米、アジアと連携枠を広げていきたい」と述べた。
(児玉直人)


 講演会は、東京の一般社団法人国際経済政策調査会(高橋佑代表理事)が主催。ILCの誘致団体や企業関係者をはじめ、小沢昌記奥州市長、勝部修一関市長も聴講した。
 山下特任教授は、超党派の国会議員で組織するリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟(会長・河村建夫衆院議員)が2月に実施した訪米活動に同行。講演では訪米で得られた成果を中心に、今後の国際連携の進め方について話題を展開した。
 山下特任教授は「ILCだけでなく、国際宇宙ステーションや核融合エネルギー事業、スーパーコンピューターの四つの国際連携プロジェクトをパッケージにして、取り組みを進めようという流れにある。日米フォーラムの定期的な開催やILCに関するディスカッショングループ(討議会合)をつくることも検討している」と述べた。
 ILCを取り巻く海外情勢に関連し、中国の動向にも触れた。中国では大型の円形加速器建設の計画が浮上。実現すれば、世界の素粒子研究の人材がそちらに集中し、ILC計画が頓挫する可能性も指摘されていた。しかし、山下特任教授は「最近の中国経済の失速で、200億円とされた関連予算が10%ぐらいに削減されたと聞いている。ライバルでなくなったわけではないが、急激な失速だと思う」と述べた。
 このほか、文科省有識者会議の中でも指摘されている「国民理解の形成」については、「東北では認知されてはいるものの、外に広がっていない。国内候補地をめぐる動きもあり、大々的に展開できなかったという背景もあるが、もう進めてよいと思う。メディアの協力も得たい」と話した。

写真=ILC実現に向けた日米連携の進展状況などを説明する山下了特任教授
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tanko 2016-3-8 17:50
 奥州市議会3月定例会は7日、一般質問で再開。北上山地へのILC誘致を見据え、市が年度内の策定を目指す「ILCまちづくりビジョン」の素案に関して、佐藤郁夫氏(市民クラブ)が取り上げた。
 小沢昌記市長は答弁で、同ビジョンに掲げる取り組みについて「着実に実施できるものから、期待は大きいが実現に高いハードルがあるものまでさまざま」と説明。これらの推進に際し、「適宜適切に関係機関と連携し、実施主体や推進方策の検討を行いながら市の総合計画へ搭載すべきものは搭載し実施していく。取り組みは追加や見直しを随時行い、より効果的にまちづくりに資するよう努めていく」などと話した。
 市はこの素案で、ILC誘致を契機として市民生活や地場産業などの向上に向けて期待できる取り組みを明示。ビジョンの中心となるのが、市としての行動指針で、目指すべき将来像を実現するため、▽地域産業振興▽多文化共生の推進と快適な生活環境向上▽次代の人材を育成できる国際教育都市――の3分野ごとに方針を定めている。
 佐藤氏は、県南広域振興局が児童を対象に実施したILC絵画コンクールで候補地の地元である奥州市内から応募が無かったことに触れ、「庁内や関係機関との連携が十分に取れていない」と苦言を呈した。小沢市長は「同じようなことを二度と繰り返さないよう丁寧な情報発信に努めたい」などと話した。
(若林正人)

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