人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-11-20 19:20
 水沢青年会議所(水沢JC、伊藤淳理事長)主催の「未来のまちづくり講演会」は18日夜、市文化会館(Zホール)で開かれた。国際リニアコライダー(ILC)誘致実現後の都市像を考える趣旨で開催したもので、学術研究機関が集積する茨城県つくば市の職員2人が研究都市形成による効果や直面する課題について解説した。
 講師を務めたのは、つくば市の企画課係長を務める稲葉清隆氏と、科学技術振興課係長の小川英男氏。水沢JCは今年4月、江刺JCなど近隣の青年組織メンバーと共につくば市を視察。ILC誘致後のまちづくりを考える上での参考とした経緯があり、今回の講演会を実現した。
 つくば市は茨城県の南西部に位置。都心への人口集中を防ぐため、1963年に研究学園都市を筑波に建設することが閣議決定され、1970年施行の「筑波研究学園都市建設法」に基づき、学術研究機関の移転と自然景観に配慮する都市整備を推進してきた。05年には私鉄「つくばエクスプレス(TX)」の開業により、都心からのアクセスも飛躍的に向上。同線沿線では新たな開発事業が進められている。
 閣議決定から50年を迎える中「新たな課題にも直面している」と稲葉氏。市内の公務員宿舎を利用していた研究者らが戸建住宅を購入して定住するほか、TXを利用し都心から通勤する研究者も増えたため、当初建設した公務員宿舎の入居率が減少したという。
 このため公務員宿舎の廃止や売却が進み、自然景観にそぐわない高層マンションや戸建住宅地が増加。こうした状況を防ぐ方策の一つとして、緑地帯と畑地をワンセットにした宅地を設けるなど、緑豊かな研究都市の形成を重視したまちづくりなどを推進している。
 一方、ソフト面の取り組みとしては、研究機関が身近にあるメリットを生かし、子どもたちの科学教育充実などに力を注いでいる。
 立地する研究所の多くは、基礎研究を扱う機関であるため、当初は市民生活や産業への波及効果が見えにくかったが、近年は医療や創薬、新エネルギー開発といった技術革新も多くなったという。
 ILC誘致とまちづくりに対する住民のかかわり方について小川氏は、「つくば市の現在の姿は一朝一夕に出来上がったものではない。行政だけでなく、市民も大きくかかわることによって初めて誇りを持てる地域になる。ぜひ奥州市民の皆さんも積極的にまちづくりにかかわってほしい」と呼び掛けていた。
写真=つくば市のまちづくりについて解説する同市科学技術振興課の小川英男氏
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tanko 2013-11-12 18:50
 国際リニアコライダー(ILC)実現後の科学都市の構築について考える「未来のまちづくり講演会」は、18日午後7時から奥州市文化会館(Zホール)で開かれる。「研究学園都市」としてさまざまな中央研究機関と大学施設が集まる茨城県つくば市の行政職員を講師として招き、ILC誘致とまちづくりについて考え合う。入場無料で申し込み不要。
 公益社団法人水沢青年会議所(水沢JC、伊藤淳会長)が主催。水沢JCは今年4月、江刺JCや奥州商工会議所青年部のメンバーらと共につくば市を視察。ILC関連装置の開発拠点にもなっている、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の見学に加え、つくば市役所でまちづくりの概要や研究都市としての現状などの説明を受けた。
 今回の講演会は、ILCで行われる素粒子物理学の研究概要を中心としたものではなく、研究施設とまちづくりの関係をメーンとした内容。今春視察したつくば市を先進例とし、国際学術都市を形成するためには何が必要か考える。講師はつくば市企画課係長の稲葉清隆氏と、同市科学技術振興課係長の小川英男氏が務める。
 問い合わせは、水沢JC(電話0197・24・2641)へ。
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tanko 2013-11-4 10:00
 北上山地が世界唯一の候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」を分かりやすく紹介する「みんな集まれ『ILC応援展』」は3日、水沢区聖天の水沢地区センターで始まった。ILC施設内の様子を描いた巨大パネルもお目見えし、来場者は研究施設のスケールを実感。有識者による講演もあり、誘致実現への機運を盛り上げている。5日まで。

 第2回「おらが地区センターまつり」の特別企画として開催。市ILC推進室や胆江日日新聞社、高エネルギー加速器研究機構(KEK)が資料提供などに全面協力した。
 会場で特に目を引くのが、電子と陽電子を光速に近い状態に加速させる装置「クライオモジュール」を3分の1スケールで印刷したものや、ILC施設の内部を描いたCG(コンピューターグラフィックス)といった大型パネル類。施設内のCG画像は、背景に写真を撮影するとILCの施設内に立っているかのような一枚が撮れるとあって人気を集めていた。
 初日はNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長=国立天文台名誉教授=らがILCの仕組みなどを解説。聴講した市立水沢中2年の菅原彩友さん(14)は「私たちの地元にこのような施設ができるのは光栄なこと。海外の研究者と接していろいろと勉強したいので、完成するのが楽しみだ」と期待を込めていた。
 地区センターまつりは4日までだが、ILC展は5日午前中まで。入場無料。
(児玉直人)

写真=大江昌嗣理事長(右)による説明を聞く来場者(水沢地区センター )
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tanko 2013-11-1 14:10
 奥州市などに在住する外国人市民で組織するインターナショナルILCサポート委員会(ビル・ルイス委員長、9人)は30日、国際リニアコライダー(ILC)誘致実現後の国際化対応などに関する提言を達増拓也知事に提出した。県立大にILC関連分野の学部新設を求めるほか、外国人研究者とその家族らのために多言語の標識設置、町内会・自治会の情報提供など、生活全般について本県の「国際化」を求めた。
 同日はルイス委員長(米国出身)と委員の遠野ペルリタさん(フィリピン出身)、美野マークさん(カナダ出身)、事務局のある同市国際交流会関係者らが県庁を訪問。提言書を手交後、懇談した。
 教育分野については▽県立大による科学・技術関連学部、自然科学関連学部の開設▽日本語を学べるインターナショナルスクールの地元小学校への組み込み、部分的・全体的に単位互換可能な高校設置▽外国人学生が日本の学校に入学でき、日本語学習がきる制度確立――などを提案した。
 研究者らと家族が県内で快適に生活する上では、多言語による情報提供が必要であることも強調している。研究者や技術者は英語で話せるが、英語圏以外の国の家族が一緒に住む可能性もあることから、配慮を求めている。具体的には上下水道、ごみ収集など公共サービスに関するガイドブックの作成、医療機関の受診や銀行利用、温泉入浴のマナーなど多岐にわたる。
 生活や地域社会とのコミュニケーションなどについては▽儀礼、慣習などについての説明・支援▽無料の公共施設の情報提供▽祭り、地域イベントへの参加――などを挙げた。買い物では大きなサイズの衣類・靴を販売する店舗設置なども求めている。
 水沢区で21年間暮らしているルイス委員長(45)写真=達増拓也知事へ提言するルイス委員長(右)ら は「教育面では家族が子どもと一緒に来るので、その対応が必要だ」と主張。県立大の学部新設については「岩手がILCに関心を持っていることが、研究者らに伝えられる」と説いた。
 達増知事は「生活経験や体験に基づき大事な内容が示されており、あらためて気付いたこともある。教育は本格的な態勢を作る必要があり、県立大の位置付けも話し合って決めたい」と応えた。
(盛岡タイムス配信)
写真=達増拓也知事へ提言するルイス委員長(右)ら

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