人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-8-14 12:53
 岩手、宮城両県の県議による第19回「岩手・宮城県境議員懇談会」はこのほど、一関市千厩町内で開かれ、国際リニアコライダー(ILC)の東北誘致に向けた取り組みについて意見を交わした。  岩手県議会の「岩手県南・宮城県北議員連盟」(飯沢匡会長)から10人、宮城県議会の「宮城・岩手県境議員連盟」(畠山和純会長)から7人が出席。両県の幹部職員も同席した。  ILCに関連し、岩手県政策地域部の大平尚副部長は、これまでの県の取り組みに加え、日本学術会議が設置している「ILC計画に関する検討委員会」での協議動向などを説明した。  宮城県の三浦秀一副知事は、村井嘉浩知事がILC計画推進の中心メンバーに直接確認を取ったことを明らかにした上で「学者としては、淡々と実現に向けた作業を進めているということだった。いずれ東北誘致に向けた活動は、岩手、宮城とも頑張っていこうという決意に変わりない」と述べた。
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tanko 2013-8-13 7:20
 高エネルギー物理学研究者会議の駒宮幸男委員長(東京大素粒子物理国際研究センター長)は12日、国内候補地の選定結果公表について「来週末(23日ごろ)ぐらいにはできるのではないか」との見通しを示した。
 日本学術会議・検討委の傍聴に訪れた駒宮委員長は会合終了後、報道陣の質問に応じた。駒宮委員長は「完全に決まったわけではないが、来週末にはできると思う。公表場所や時間については未定だが、どのような理由で選定したかを納得できる形で示したい」と述べた。
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tanko 2013-8-13 7:00
 【東京=報道部・児玉直人】 北上山地などが有力候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について協議している日本学術会議(大西隆会長)のILC計画に関する検討委員会(委員長・家泰弘東京大学教授)は12日、東京都内で第6回会合を開き、文部科学省から求められていたILC計画に対する回答案を協議。学術的意義が「十分に認められる」とする骨子案をまとめた。これまで指摘されていた予算面などの懸案については、素粒子研究者レベルの協議では対応しきれないと指摘。政府も加わった形で関係国との予備交渉を進めながら、2〜3年のうち集中的に調査することを求める方針だ。

 会合は公開で行われた。これまでの論点をもとに回答文章の骨子案を中心に協議。取りまとめた案では、ILC計画そのものについて否定せず、検討委として学術的意義を十分に認めていることを前面に打ち出した。
 その上で、委員の間から指摘された人材確保や建設費用負担などの予算面については、研究者レベルの協議だけでは話が進まない面があると指摘。2、3年の時間をかけて当該分野以外の研究者や関係政府機関も参加した集中的な調査を求め、ILC計画を最終的に判断する上では、これらの課題について明確な見通しを得ることを求める方針だ。
 検討委は、回答文の表現などを再度整理した上で、29日に開く会合で文科省への回答文を決定。学術会議内での査読作業や幹事会承認などを経て、早ければ9月末にも文科省に提出される見通しだ。

国内誘致「スタート地点に」 (東大・研究機構の村山機構長)
 日本学術会議ILC計画に関する検討委員会の第6回会合では、ILC計画の推進に深く携わっている、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長が、参考人の立場でILC計画の科学的意義などを説明した。
 村山機構長はスイス・ジュネーブにある素粒子研究施設・CERNが所有するLHC(大型ハドロンコライダー)を引き合いに、「LHCの精度をどんなに強化しても限界があるが、ILCの精度はLHCのさらに上を行く。無敵、最適の加速器だ」と強調。「このような実験施設があることにより、大人も子どもも科学の世界に興味を抱く。将来の日本の科学界を支えてくれる人材を育てる事にもつながる」と社会的な意義についてもアピールした。
 会合終了後、村山機構長は報道陣の取材に応じ「学術会議においてILC計画の意義を認めてくれたことは喜ばしいこと。また、どのような問題点があるかも洗い出してくれた。こういう指摘は、悲観的にではなく、むしろスタート地点に立つことができたと前向きに捉えたい」と述べた。
 「もし本当に意義がない計画だったら、『無理ですね』と言うだろうし、ここまで解決すべき事柄を丁寧に考えてはくれない」とも付け加えた。

写真=ILCの学術的について「十分にある」ことを確認した第6回会合
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tanko 2013-8-9 8:50
 国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致に関連し、日本学術会議(大西隆会長)の検討委員会の家泰弘委員長(東京大学教授)は8日、ILCの国内誘致に慎重な姿勢を示したことの趣旨について、胆江日日新聞社の取材に応じ「政府が『ILCを日本に作ることを決める』というのがまだ早いということ。国際的な交渉を進めることは構わないという意味だ」と答えた。

 家委員長は今月6日の検討委終了後、個人的な総合所見と前置きした上で「数年かけて懸案事項をもう少しクリアにし、国際的な合意も詰めた上で、しかるべき時期にもう一度誘致の是非を考えるべきではないか」との考えを示していた。
 この発言の趣旨について家委員長は、「政府が『ILCを日本に作るのを決める』というのが早いという意味だ」と強調。その上で、さまざまな問題点をクリアにするため、関係国間で協議や交渉すること自体は「構わない」とした。
 6日の検討委第5回会合では、誘致に対する慎重姿勢が色濃く示された。会合終了後の家委員長の会見を受けた報道により、ILCの国内建設そのものにブレーキがかかったかのような印象が、有力候補地・北上山地を擁する本県の誘致関係者の間にも広まった。
 ただ、検討委で指摘されたような費用負担や人材確保などの懸念事項は、国際交渉の中で合意形成すべき点であることは明らか。これらの作業が数年単位かかることは事前に分かっており、関係者の間では「今すぐ日本に作ること決めるとが時期尚早と言われるのは、当然と言えば当然。やるならば、十分に検討するように――とのことだろう」との見方もある。
 国際交渉を進めること自体は否定しなかった家委員長だが、「まだ政府レベルにはならないと思う」とも述べている。
 各国の費用負担や人材的な協力の在り方などについては、素粒子研究者や各国の科学担当省庁の中だけでは対応しきれない面も多い。いずれ政府間レベルの交渉テーブルが設置されなければ、計画が前進しないのは明らかで、学術会議の検討結果を受けた政府がどう対応するかが注目される。
(児玉直人)
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tanko 2013-8-7 7:20
 【東京都港区=報道部・児玉直人】北上山地などが有力候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について検討している日本学術会議(大西隆会長)の検討委員会委員長の家泰弘東京大学教授は6日、ILC国内誘致の政府判断について「数年かけて懸案事項をクリアにしていく必要がある」との個人的見解を示した。学術会議は早くて9月中に、文部科学省から依頼を受けているILC関連の審議結果について回答。政府は国内誘致の判断の参考にするが、慎重な意見が色濃く示されたことで、誘致表明が当面困難になる可能性が強まった。

 家委員長は同日、東京都港区で開かれた同委員会第5回会合(非公開)終了後、報道陣の取材に応じた。
 同日の会合では、論点をまとめる上で、大まかな方向性を確認したという。その中で、巨額予算の捻出方法が具体的に決まっていないことや、参加国からの経費負担に対する確約など、国として誘致のゴーサインを出すには不確定要素があるなどと指摘があった。
 家委員長は個人的な総合所見と前置きした上で「何年かかけて懸案事項をもう少しクリアにし、国際的な合意も詰めた上で、しかるべき時期にもう一度誘致の是非を考えるべきではないか」との考えを示した。「これまでは推進する側の人たちが検討の中心だったが、外部の立場の人たちも入り協議した方が、社会的理解も得られる。こういうものを作るには十分な時間と調整が必要で、最悪なのは『日本に誘致しよう』と突っ走り、途中で断念してしまうことだ」と強調した。
 学術会議とは別に、素粒子研究者間では、北上山地と九州の背振山地の2候補地を一本化する作業が進められ、近く公表するものとみられる。学術会議の協議は候補地選定には一切関与していない。ただ、学術会議が誘致決断に熟慮を求める方針を示した場合、素粒子研究者側が選定結果をどのタイミングで公表するか判断が求められそうだ。

 日本学術会議・ILCに関する検討委員会 文科省からILCの学術的意義、国民生活や社会における意義、建設・運営に必要な予算、人的資源の確保など諸条件などについて審議依頼を受け、6月以降協議を重ねている。

写真=ILCの日本誘致には数年の熟慮が必要、との見解を述べる家泰弘委員長
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tanko 2013-8-6 7:10
 素粒子物理学の大型実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について、文部科学省から審議依頼を受けている、日本学術会議(大西隆会長)の「ILC計画に関する検討委員会」(家泰弘委員長)は6日、5回目となる会合を東京都港区で開く。素粒子研究者らによる国内候補地一本化作業も本県の北上山地か、九州の脊振山地かの選定結果の公表が待たれる状況の中、同検討委も早急に意見の取りまとめをしたい考え。これまでの協議では学術的意義に対する賛意はあるものの、巨費投資による他の学術分野への影響などを懸念し慎重な意見も出ている。ILC計画をめぐる動きは、国内候補地一本化と国内誘致そのものの是非判断という、二つの重要局面を迎えようとしている。

 同会議は6月に文科省の審議依頼を受けて同検討委を設置。最初の3回はILC計画を推進する素粒子物理学者らを参考人として招き、その意義や想定される課題への対応について聴取した。
 7月30日の第4回会合は非公開で実施。終了後、家委員長による取材応答の場に立ち会った岩手県東京事務所の話によると、他学術分野の予算への影響などが話題に上ったという。
 約8300億円の半分ともされる建設費用を、文科省が持つ既存の科学研究費用の枠内で考えると、他学術分野への影響が大きいという。従来と別の予算枠を設ける手法も考えられるが、家委員長は「(検討委として)そこまでは踏み込めない」と述べたという。
 ILCを推進する素粒子物理学の研究者らは、7月末にという予定で国内2カ所の候補地を選定する作業を進めてきた。8月に入った現段階で公表時期などは依然明らかになっておらず、「学術会議の協議動向などを踏まえ、公表タイミングを見計らっているのでは」という誘致関係者もいる。ただ、県東京事務所によると、家委員長らは「国内候補地決定の動きとの連動や協調はしていない」と述べたという。
 文科省への正式な答申は、学術会議内での査読作業などがある関係上、9月になる見通しであることから、今月中旬にも一定の方向性が示されるものとみられる。
 「北上か背振か」とともに「日本誘致が是か非か」の鍵を握っている学術会議の判断にも注目が集まりそうだ。
(児玉直人)

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