人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)
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tanko 2013-7-26 5:40
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の建設国内候補地の一本化が目前に迫る。「やることはやった」「吉報を待つのみ」――。有力候補地の一つ北上山地を有する奥州市の行政や誘致団体の関係者は期待に胸を膨らませながら、「その時」を心待ちにしている。決定時期のめどとされた7月も残すところ1週間足らず。研究者らによる国内候補地決定の発表方法や日時などは、いまだ明らかになっていない。

 ILCの国内候補地は北上山地と北九州の脊振山地の2カ所。日本の素粒子研究者らで組織する「ILC戦略会議」が中心となり、候補地の絞り込み作業を進めている。高エネルギー加速器研究機構の鈴木厚人機構長は今月2日の取材に対し、かねて研究者らが示している7月末までに決定という方針について「変わりはない」と説明している。
 一方、首相所轄の特別機関・日本学術会議は「ILCに関する検討委員会」(家泰弘委員長)を6月に設置。他の学術分野予算への影響や、ILCに携わる人材育成といった課題を中心に意見を交わしている。
 今月30日には第4回会合を開き、議論のポイントを協議。今後の予定についても話し合うといい、場合によっては8月に入っても会合が続くこともあり得る。
 こうした動きに対し、関係者の間では「一本化作業は7月中に完了しても、学術会議の動向を見守る可能性もあり、公表自体は8月前半ではないか」という見方も一部にある。
 北上山地誘致を目指す産学官民の関係者は、「7月の参院選後の決定」に照準を合わせ、さまざまな誘致活動を展開。政府関係者への要望や住民の機運醸成を図る講演会などが、5月から6月にかけて相次いだ。市内には、誘致アピールのステッカーを貼った車も多く見受けられるようになった。
 だが、7月に入ってからは、決定が迫る微妙な時期であることや参院選もあって、目立った誘致活動は少なめに。奥州市ILC推進室の活動は出前講座2件、イベント会場でのPRが1件にとどまった。及川健室長は「公表日がいつなのか分からない微妙な時期にあって、どのような取り組みが可能か対応を練り直している」と話す。
 民間誘致団体いわてILC加速器科学推進会議の亀卦川富夫代表幹事は「決定前までにやるべきことはやったと思う。決定した暁には、さらなる普及活動の充実や地域社会がどうあるべきか考え合う雰囲気を醸成したい」と、静かにその時を待つ。
(児玉直人)

写真=今月中とされるILC国内候補地の一本化。北上山地誘致を目指す関係者は“吉報”を心待ちにしている(奥州市役所本庁1階ロビーのPRコーナー)
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tanko 2013-7-7 13:00
 独マインツ大学の斎藤武彦教授(42)は5日、奥州市など県内22の小中高校で行ってきた国際リニアコライダー(ILC)特別授業を終えた。岩手について「未来がある所」と印象を語り、子どもたちには「世界へ目を向けてほしい。外への発信能力を身に付け、自信と夢を持って」とメッセージを送った。斎藤教授は、10月にも再び東北を訪れる予定だ。
 特別授業は6月26日に始まり、奥州市や一関市、久慈市などの小中高校で実施。北上山地への誘致が期待されているILCの話題など、科学の世界に興味関心を高めてもらおうと、県ILC推進協議会(元持勝利会長)などが主催した。
 斎藤教授は、児童生徒に科学の面白さや科学的な考え方の大切さ、世界が被災地を応援していることなどを語り掛け「岩手は世界一。そこに住んでいる若者たちはかっこいい」と繰り返し伝えた。
 一連の授業を終えて「岩手の子どもたちはすごく素直。素朴で純粋」と斎藤教授。一方で「自分から何かを発信するという力を今後は伸ばしてもらえれば」とアドバイスした。
 教育の重要性を主張する斎藤教授は、特に被災地で地元に残り頑張りたいと考えている子が多いとも感じ、「ILCが岩手に来れば、世界へ目を向けるきっかけになるはず。それが岩手にILCを誘致する一番の意義」と話した。
 沿岸部での活動をライフワークにしていく考えも示し、「沿岸と内陸のネットワークは大切。コミュニケーションを取るきっかけになる存在になりたい」と語った。
 5日は、奥州宇宙遊学館で開かれた市主催の特別講義で、斎藤教授が市民らの疑問や質問に答えた。
(河東田ひかり)
写真=ILC特別講義をする斎藤武彦教授(奥州宇宙遊学館)
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tanko 2013-7-3 5:00
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の国内候補地の一本化時期について、ILC国内推進母体である高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の鈴木厚人機構長は2日、胆江日日新聞社の取材に応じ「7月末までに候補地を決定したいという考えに変わりはない」と答えた。
 鈴木機構長は1日夜、首相所轄の特別機関・日本学術会議(大西隆会長)が設置する「ILCに関する検討委員会」(家泰弘委員長)の第2回会合に参考人として出席した。
 その後、現在検討が進められている国内候補地一本化に関し、鈴木機構長が当初予定の7月末から8月後半にずれ込むと述べたとする見解が一部で報道された。このことについて、鈴木機構長は電話取材で「われわれは7月末に決めたいという思いに変わりない」と強調した。
 ILCの国内候補地は本県の北上山地と北九州の脊振山地の2カ所。日本の素粒子研究者で組織するILC戦略会議が中心となり絞り込み作業を進めている。鈴木機構長によると、研究者間での検討作業が大幅に遅れているわけではなく、選定時期を8月後半に先送りすることを決めた事実もないという。
 鈴木機構長は「学術会議検討委の開催予定が8月下旬まであることを会合の場で初めて知った。われわれの日程との検討をしなくてはとも思ったが、学術会議の検討が終わるまで、決まった事柄の公表を先延ばしするようなこともしたくない。7月末にしたいという考えに変わりはない」と話した。
(児玉直人)

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