人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

玉手箱 無事に届け(小惑星探査機「はやぶさ2」カプセル帰還)

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tanko 2020-12-6 10:10

奥州宇宙遊学館で行われた「はやぶさ2」カプセル分離の中継放映。手前は、来館者から寄せられた応援メッセージ

 日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は日本時間の5日、小惑星で採取した物質が入ったカプセルを地球に向け本体から分離、放出した。「玉手箱」の愛称で呼ばれているこのカプセルは、順調に進めば6日未明にオーストラリア南部のウーメラ砂漠に着地、回収される。探査機本体には、国立天文台水沢キャンパス内にあるRISE月惑星探査プロジェクト(竝木則行室長)などが開発した機器も搭載。キャンパス敷地内の奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)は5日、カプセル放出の中継動画を放映した。
(児玉直人)

 同探査機は、2014(平成26)年12月に打ち上げられた。目的地の小惑星「リュウグウ」の名称は、おとぎ話『浦島太郎』にあやかったもので、小惑星表面のクレーターや岩にも「ウラシマ」「オトヒメ」といった名前が付けられている。
 地球から約3億km離れた「リュウグウ」に到達した同探査機は、表面や内部の物質を採取。「玉手箱」カプセルに取り入れた。
 探査機本体には、水沢に本拠地を置くRISEなどが開発したレーザー高度計(LIDAR)が搭載されている。レーザー光を小惑星表面に照射し、反射してくる時間から高度を割り出す装置で、物質採取の成功を支えた。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、同探査機は5日午後2時半、地球まで22万3000kmの地点で衛星本体から予定通りカプセルが分離された。問題がなければ6日午前2時半ごろ、大気圏に突入し、同2時分ごろに着地する。カプセル内に収められた物質は、太陽系の進化や生命誕生の謎を解く研究に活用される。
 一方、探査機本体はカプセルが大気圏に突入する様子を撮影するため、国際宇宙ステーションの軌道よりも低い高度約200〜300kmまで降下。その後、別の小惑星探査に向けて再び地球から離れる。
 宇宙遊学館では、JAXAが提供する中継映像を放映。来館者に「はやぶさ2」への応援メッセージ記入の協力も求めた。茨城県つくば市のJAXA筑波宇宙センターを見学したこともある金ケ崎町立第一小学校6年の稲邑瑛人君(11)は、カプセル分離成功を喜ぶJAXAスタッフの姿を見届け、「無事に成功してとてもうれしかった」と笑顔を浮かべていた。
 同館での応援メッセージの記入は今月25日まで受け付け、画像にしてJAXAに後日届ける。18日から来年1月10日までは、同探査機の運用エピソードをまとめた漫画「こちら『はやぶさ2』運用室」のパネル巡回展を開催する。
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