人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

顕彰機運にコロナ禍(Zの栄光永遠に 〔畋識蒜郢寮乎贈隠毅闇)

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tanko 2020-10-20 9:20

写真1=初代本館を利用し整備された木村榮記念館

 国立天文台水沢VLBI観測所の前身、緯度観測所の初代所長を務め、「Z項」を発見した木村栄(きむら・ひさし)博士は今月、生誕150年の節目を迎えた。新型コロナウイルスの感染防止のため、観測所敷地内の「木村榮記念館(※)」は閉館中。顕彰行事の予定もない中、紙面を通じ記念館の現状や木村博士の功績などを4回にわたり紹介する。(児玉直人)

 木村榮記念館として使用している建物は、1899(明治32)年9月に開所した水沢臨時緯度観測所(後に水沢緯度観測所)の初代本館。ただし、落成したのは開所から半年後の1900年3月だった。それまでの間、市街地の民家に臨時事務所が設けられ、木村博士らが執務していた。
 1921(大正10)年、旧本館(2代目本館、現・奥州宇宙遊学館)が建てられ、主要機能が移される。1966(昭和41)年には3代目本館(現庁舎)の建設工事に伴い、初代本館は2代目本館と共に「曳家」によって、現在地付近まで移設された。
 移設した初代本館は1967年10月27日、「木村記念館」として生まれ変わった。しかし、高野長英ら「水沢3偉人」の記念館のような先人顕彰がメインではなく、観測所の研究成果を紹介する性格が強かった。普段は施錠し、見学希望者が訪れた際に公開する体制。3偉人の記念館に比べ、存在感は薄かった。
 2007(平成19)年から2008年にかけ、大転機を迎える。2代目本館の保存活用を求める市民運動が実り、奥州宇宙遊学館が開館。電波望遠鏡付近までの見学コースも整備された。ほぼ同時に現庁舎と一緒に記念館の耐震改修も行われた。
 記念館は木村博士の功績や「Z項」解明など歴史的な資料展示する施設としてリニューアル。最新の研究成果紹介や企画イベントは遊学館に任せる一方、木村博士の名前の読み方を周知するため名称を「木村榮記念館」に改めた。
 限定公開だった時代と比べ、一般市民や観光客の入館者数は格段に増えた。木村博士の顕彰機運を高め、日本の科学史の一端を後世に伝える施設として、ますます重要な役割を果たすだろう。


写真2=新型コロナの影響で閉館状態が続く

 しかし、新型コロナの影響で今年3月から5月まで閉館を余儀なくされた。全国の感染状況が一時沈静化した6―7月に再開したものの、無人施設ゆえに遊学館のような感染対策が十分に取れないとの理由から、8月に再び閉館した。
 記念館の管理を担当しているVLBI観測所の亀谷收助教は、「ブラックホールの撮影成功や開所120周年など、何かと注目を集める話題が続いていた。木村博士の生誕150年もそれに続く機会だと思っていたが……」と語る。生誕地の金沢を含め、記念行事が企画されたという話は聞こえてこないという。

 ※…新聞表記では、木村の名前は常用漢字の「栄」を使用していますが、記念館の正式名称は旧漢字の「榮」を使用しています。
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