人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

KEK機構長謝罪 東経連会長は遺憾の意(文科省計画のILC取り下げ公表遅れ)

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tanko 2020-10-9 13:35
 国際リニアコライダー(ILC)に関する文部科学省への審査申請を取り下げ、約半年にわたり公表していなかった問題で、申請を担当していた高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の山内正則機構長は8日、ウェブ講演会で謝罪した。KEKの対応を巡り、東北経済連合会(東経連、仙台市)の海輪誠会長は今月6日、会見の席上、遺憾の意を示しKEKに反省を求めた。東経連には東北ILC推進協議会の事務局が設置されている。ILC誘致団体に近い人物が、公式の場で研究者側に苦言を呈するのは異例だ。
(児玉直人)

 KEKは2月下旬、文科省が策定する「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ(2020)」に係る申請書類を提出。しかし、ほぼ同時期に素粒子物理学分野の研究者組織「国際将来加速器委員会(ICFA)」が示した提言に基づき、国際協力体制の強化を進めることにした。申請書に書かれた内容よりも状況が変わると受け止めたKEKは、3月27日にロードマップ申請を取り下げた。
 ところが、KEKがその事実を明かしたのはロードマップ素案が公表された9月8日。KEKはホームページで「ロードマップの審査過程は非公開が原則だったため、報告が遅れた」と釈明。9月日には、ICFAの日本人メンバーである東京大学の森俊則教授が、ウェブ講演会の中で候補地の関係者に対し、推進派研究者の一員として「非常に大きな間違いであった」と謝罪している。
 もう一人のICFAの日本人メンバーが、KEKのトップである山内機構長。8日、東北ILC推進協が主催したウェブ講演会で「推進チームを作る動きが急激に進み、ロードマップ申請を取り下げた。半年近くそのことを発表していなかったことで、大変なご迷惑を掛けてしまった。重ねておわびしなくてはいけない」と陳謝した。
 取り下げの事実は、東北地方の誘致関係者にも伝えられていなかった。東経連の海輪会長は今月6日、仙台市で開かれた記者会見で「(取り下げによって)誘致が後退することはないと思う」とした上で、「私どもへの情報もつい先ごろで、大変その点は遺憾に思う。KEKにも公表が遅れたことについては反省を求めたい」と遺憾の意を示した。
 ILCの有力候補地・北上山地周辺の自治体首長や誘致団体を構成する経済団体の代表らは、研究者コミュニティーと長年にわたり同一歩調を取っており、蜜月的な信頼関係を構築してきた。今回の件については、KEKの取り下げに理解を示し、「実現に向け前進している」と前向きに捉える所感がほとんど。公の場で情報公開姿勢や信頼性を問う指摘は、皆無に等しかった。
 海輪・東経連会長は東北電力(株)の代表取締役会長。同社相談役の高橋宏明氏は、東経連名誉会長で東北ILC推進協の代表も務めている。
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