人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

文献調査応募(コラム・時針)

投稿者 : 
tanko 2020-9-17 10:10
 人口3000人足らずの北海道寿都町でこのほど、原発の高レベル放射性廃棄物(核ごみ)の最終処分場文献調査応募を巡る住民説明会があった。当初は、1度だけの予定だったが、町議会全員協議会で「1度では来られない住民がいる」との意見に従って、8回に分け、町内各地で行われるようだ。
 短いニュースの一場面で、説明会の様子を目にしたが、住民の必死さが見て取れた。「こんな資料で説明になるか」とカメラの下で資料をめくる住民。色分けした図のような部分に比して文字は少なく、原発関連という事の大きさとはかけ離れて見えた。
 東日本大震災後の原発汚染土さえ、その取り扱いは難しい。青森県むつ市の使用済み核燃料を一時的に保管する構想も、合格とはなったが、保管後の搬出先は不透明で「永久保管か」との懸念が強い。原発銀座と言われる福井県は「とにかく使用済み核燃料は県外に」と言ってはばからない。
 寿都町の片岡春雄町長は地元も含めた反発に「判断を10月以降に延期する」とトーンダウンしたが、前向きな姿勢に変わりはないようである。「日本の核のごみについて、あまりに無関心。(原子力政策に)どこかで一石を投じないと。勇気を振り絞って提案した」と主張する。
 核ごみの最終処分場建設の流れは文献調査約2年(歴史的文献で過去の地震の調査)。概要調査約4年(ボーリングなどで地下の岩石や地下水の分析)、精密調査約14年(地下深く調査施設を設置、地質や岩盤を直接調査)。その後に最終処分場の建設地を決定する。市町村長や知事が反対すれば次に進めないが、文献調査応募では言ったが勝ちで意見無用である。
 寿都町は周辺の4町から指摘を受けた。「北海道は農業・漁業など1次産業が基本でイメージが損なわれ応募検討だけで実害が出る。文献調査に伴う交付金で町づくりは間違い」と。小さな町の大きな発言。応募の行方が気になる。
(響)
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