人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

大質量星研究 日韓観測で初成果(水沢のVERAなど駆使)

投稿者 : 
tanko 2020-7-30 12:10

大質量原始星から噴出する高速ガスや水メーザーの存在をイメージした図(提供・国立天文台)

 日本の国立天文台と、韓国の天文研究院などは29日、誕生したばかりながら質量が太陽の25倍という「大質量原始星」に関する研究成果を発表。原始星から噴き出す高速ガスの複雑な構造などを解明した。原始星の観測には、同天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)が運用する天文広域精測望遠鏡「VERA(ベラ)」と、韓国の電波望遠鏡群「KVN」も活用。両国の観測網による大質量原始星関係の研究成果発表は初めて。
(児玉直人)

 太陽の8倍以上の質量を持つ恒星は「大質量星」といい、大質量原始星は誕生間もない大質量星のこと。大質量星の誕生を解明することは、重金属など身近な元素がどのように生成されたかを考える上でも、重要な研究対象という。
 今回の研究では「G25.82-W1」と呼ばれる大質量原始星を観測。いて座とわし座の間の方角にあり、太陽系から約1万6000光年離れた「天の川」の中にある。
 同天文台と同研究院はVERA4局と、KVN3局の計7局の電波望遠鏡を連動させるプロジェクト「KaVA(カバ)」によって観測したほか、同天文台などがチリに設置する「アルマ望遠鏡」による観測データも活用した。研究や観測には水沢VLBI観測所のキム・ジョンハ氏、広田朋也氏ら日本、韓国、中国の研究者5人が主に携わった。
 研究の結果「G25.82-W1」は、誕生間もない“赤ちゃん星”でありながら、その質量は太陽の25倍以上あることがアルマ望遠鏡による観測で分かった。また、アウトフローと呼ばれる高速ガスが噴き出す複雑な構造が解明された。さらにKaVAによる観測で「G25.82-W1」の近くに電波源(水メーザー)を複数確認。アウトフローの詳細を解き明かす上で重要な手掛かりになるという。
 同観測所の広田氏は「KaVAが大質量星の形成に関する詳細な研究に威力を発揮することを示した重要なステップだ。中国やタイなど、東アジアの電波望遠鏡を連動させた、より高感度の観測にも発展させたい」とコメントしている。
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