人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

天文台水沢の安定的な研究環境を文科相へ要望(奥州市と市議会)

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tanko 2020-7-17 13:00
 奥州市と市議会は、国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の活動継続を求める要望書を萩生田光一・文部科学大臣らに提出する。今月中の提出を望んでいるが、新型コロナウイルス感染者が都内などで再び増加している傾向もあり、どのような方法で提出するかは文科省と調整中という。
 要望書は、小沢昌記市長と小野寺隆夫市議会議長との連名。萩生田文科相のほか本県選出国会議員にも提出する考えだ。
 同天文台(常田佐久台長)は、同観測所の本年度当初予算を大幅にカット。国内4観測局で構成するVERA(天文広域精測望遠鏡)観測網による研究が継続困難となった。
 同天文台は6月末、年度内のVERA運用経費は追加補正した。しかし、減少した研究員らを年度途中で補充するのは難しく、長年続けてきた「銀河系の地図づくり」も初期目標に達しないまま区切りをつけることになった。
 本間所長らは新たな研究テーマを打ち出し、VERA観測網4局の維持を目指している。だが、現時点で来年度以降の事業や予算に関する担保はなく、追加補正で懸念が払拭されたわけではない。
 市は、旧緯度観測所時代から120年にわたり続く“縁”を重視。今年3月下旬に一連の問題が明らかになって以降、同天文台の監督省庁である文科省への要望を検討していた。小沢昌記市長は当初、電波望遠鏡がある鹿児島県薩摩川内市、東京都小笠原村、沖縄県石垣市の3市村も交えた要望活動の意向も示していたが、まずは奥州市単独で実施することにした。
 16日、市議会全員協議会の席上、要望書提出の概要が市側から説明された。小沢市長は「何年も続く研究を1ミリたりとも傷つけてほしくない。安定的に研究を続けてもらえるよう、お願いしたい。コロナ禍の中でできるベストな要望方法を考え提出したい」と述べた。
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