人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

新型コロナ 日中韓連携観測に支障なく(国立天文台 水沢VLBI観測所)

投稿者 : 
tanko 2020-3-10 14:30

写真=新型コロナウイルス感染防止のため臨時休館している木村栄記念館(水沢星ガ丘町)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした中国、韓国からの入国制限が9日から始まった。両国とは政治、経済、文化のほか、学術分野でも連携や交流がある。水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)は、日中韓の電波望遠鏡を連動させ天体観測を行うプロジェクトに参加。望遠鏡は遠隔操作しているため、新型コロナによる観測業務への影響は今のところないという。一方、敷地内の一般見学可能な施設のうち、木村栄記念館は17日まで臨時休館している。
(児玉直人)

 同観測所は複数の電波望遠鏡を連動操作し一つの天体を観測する「VLBI(超長基線電波干渉計)」という手法を用い、研究事業を展開している。2018(平成30)年からは、同観測所を含む国内4カ所に同一仕様の口径20m電波望遠鏡のほか、中韓両国の観測施設も連動させる「東アジアVLBIネットワーク(EAVN)」が本格始動している。
 通信回線を利用し遠隔操作しており、メンテナンスなどは現地スタッフが対応しているため、基本的に人の移動が伴わない。同観測所広報担当の小沢友彦・特任専門員は「今の時点で通常の観測に支障はない」としている。
 一方で、3月は研究会や学会が集中するシーズン。同観測所勤務の研究者が参加する予定だった学会等は軒並み中止や延期となり、出張取りやめの件数はかなりある。
 敷地内の一部見学施設も感染予防のため閉鎖。天文台が管理する木村栄(きむら・ひさし)記念館は、今月3日から17日まで臨時休館。感染拡大の状況によっては、期間を延長する可能性もある。
 屋外にある電波望遠鏡のほか、奥州市所有でNPO法人奥州宇宙遊学館が管理する奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)は見学できる。ただし、4次元宇宙シアターの上映は今月16日まで休止しているほか、14日の星空観望会は中止。22日に予定していた小学生向け講座「サンデースクール」は延期とした。
 小中学校が休校中で、一部公共施設が閉鎖している中、数少ない開館施設である遊学館には県内外からわざわざ足を運ぶ人も。同館スタッフは「手指消毒をしてもらうなど、感染防止に努めてもらいながら展示室などを見学していただいている」と話している。
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