人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

アテルイ?ここにあり(天文専用スパコン、現地に解説パネル)

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tanko 2019-12-15 15:00

写真=解説パネルを除幕する関係者ら

 奥州市は、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢キャンパス内に天文学専用スーパーコンピューター(スパコン)「アテルイ?」の解説パネルを設置した。14日、除幕式が開かれ、小沢昌記市長や本間希樹・水沢VLBI観測所長ら6人が白い幕を引いてお披露目。関係者らと共に天文学の一層の発展を願った。
 パネルは縦90センチ、横180センチ。観測所本館南側にあるスパコン建屋の前に設置した。建屋内のスパコン本体は、イベント開催時などを除き通常非公開。同観測所のホームページの敷地地図には「スーパーコンピューター室」と案内されているものの、現地にはこれといった案内板のような物はなかった。
 設置したパネルには、近未来的なデザインが施された筐体が全面に映し出され、説明文は日本語と英語で表記。中に入ることができない分、解説パネルでスパコンの概要を知ることができる。
 除幕式で本間所長は「年間2万人の来場者に、世界的な研究成果を挙げているスパコンの存在を知っていただき、地元の英雄阿弖流為にも思いを寄せてもらえれば」。市長は「解説パネルが天文学を志す子どもたちの一助になることを願う」とあいさつした。
 「アテルイ?」は、2013(平成25)年に設置されたスパコン「アテルイ」の後継機で、2018年から運用を開始している。天文学専用のスパコンとして最速の処理能力を誇り、1秒間に約3000兆回もの計算が可能。実際に確認できない天文現象をコンピューター上に再現する「シミュレーション天文学」と呼ばれる研究分野を担当し、電波望遠鏡などで宇宙を直接調べる「観測天文学」と並んで重要な役割を担っている。今年4月に公表されたブラックホール撮影の成功にも貢献した。
 「アテルイ」の名付け親でもある国立天文台の小久保栄一郎・天文シミュレーションプロジェクト長(51)は「水沢に設置するならこれしかない、という思いで名付けたので地元に親しんでもらえうれしい。これからも天文学の謎に挑み続ける」と力を込めた。
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