人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC計画、日本にとって「いい投資」(ICFA議長が建設候補地を視察)

投稿者 : 
tanko 2019-11-4 9:10

写真=ILC建設候補地を視察するジェフリー・テイラー氏(中央)(一関市大東町大原)

 高エネルギー物理分野の組織「国際将来加速器委員会(International Committee for Future Accelerators=ICFA(イクファ))」議長のジェフリー・テイラー氏(オーストラリア、メルボルン大学教授)は3日、一関市大東町大原地区を訪れ、素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の候補地を視察した。テイラー氏は巨額コストが実現の課題になっていると認識しながら、「(日本政府にとって)大きな判断になるだろうが、とてもいい投資になると思う」と述べた。

 ICFAは、高エネルギー物理学界で影響力のある世界主要加速器研究所の所長や研究者の代表らで構成。ILCのような高エネルギー加速器研究施設の建設や運用、将来計画などに関する国際協力体制の在り方を協議している。
 テイラー氏は、10月28日から今月1日まで仙台市で開かれたILC計画に関連した国際会議「LCWS2019」に参加するため来日。本県には初めて訪れた。
 大原地区の視察場所は、「実験ホール」と呼ばれる巨大地下空間の整備を想定している場所の付近。運用初期段階では全長約20kmの施設規模を計画しているが、その中間地点に当たる。
 東北大学大学院の佐貫智行准教授が実験施設の位置関係などを説明。テイラー氏は「とても自然が美しい。何よりも、ここの地質はILCに適切なものだと思った」と評価。「以前から承知していたが、ILC計画が地元の方々によく知られていることをあらためて実感した。とてもいい印象を受けている」と述べた。
 この日は、今年3月に閉鎖した「NECプラットフォームズ一関事業所」跡地も視察。JR一ノ関駅東側に広がる工場跡地で、ILC関連施設の建設地として活用する構想もある。テイラー氏は「とても広大な敷地で、駅の隣にあるのでアクセスが良いと感じた。県や一関市の方からは、地元の中小企業による加速器関連産業参入の取り組みについても聞いた。中小企業と大手企業とのパートナーシップは重要になってくるだろう」と話していた。
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