人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

「人・ひと」 県南広域振興局駐在のILC推進監 植野歩未(うえの・あゆみ)さん(51)

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tanko 2019-8-25 7:40
誘致へ候補地に寄り添い

 素粒子実験施設、国際リニアコライダー(ILC)誘致に力を入れる本県。今月「ILC推進局」が立ち上げられたのに伴い、事業推進課特命参事兼ILC推進監に就任した。局拠点がある県庁ではなく、ILC候補地に近い県南広域振興局の駐在勤務を命ぜられた。
 「地元の皆さんへの理解促進活動と決定を見据えた受け入れ準備、候補地である北上山地に見合った設計に着手するための下準備などが役割だと思う」
 高校生の前でILC計画を説明することもある。「どのように地域が変わっていくのか、考えてもらうきっかけになれば。理系だけでなく、文系の分野でも役立つ仕事はたくさんある」とアピールする。
 計画の実現に対しては賛否両論があるのも事実。一つの巨大なプロジェクトに対して、人々が抱く思いは決して同じではない。それは学術界の見解にとどまらず、候補地の地元住民の中でも。「丁寧に説明し、疑問に応えていくことに尽きます」
 考え方や住民意識の多様性を意識し、物事を考えることを大事にしているという。そう心掛けるようになったのは、県職員になって間もない農政担当時代の業務がきっかけだった。
 「農業経済課という部署が当時あり、県内の農協をくまなく回りながら、指導や農協職員からヒアリングしていく仕事をしていました。1週間ぐらいその地域に滞在すると、地域特性のようなものが分かるんです。経済とか効率性だけでは語れない、結びつきを大切にしている地域もある。地域が歩んできた歴史、そこに生きる人たちの気質を知らずに、いきなり『こうだから』と話し始めても、と思うんです」
 ILC誘致活動においても、相手の気持ちをくみとった姿勢が大切だと強調する。「決して研究者側だけに立っているわけではない。自然を守ること、暮らしの安心安全を守る点については、住民サイドに立った対応が求められる」
 まだゴーサインが出ないILC誘致。「これほど時間がかかるとは思わなかったが、段階を踏んで着々と準備は進んでいると思う」と前を見つめる。候補地近傍に駐在する任務の意味をかみ締めながら、日々業務に励む。
(児玉直人)

 東北大学農学部を卒業後、1990(平成2)年県職員に。趣味は鉄道。「山奥の利用客が少ない『秘境駅』を巡るのが好き。先日は廃止が迫っている北海道のJR札沼線に乗りました」。登山も好きで、お気に入りは焼石連峰。盛岡市三ツ割在住。
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