人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致で地域振興を(岩手県独自のビジョン策定)

投稿者 : 
tanko 2019-7-31 18:30
 岩手県は30日、素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を見据えた地域づくりの基本方向をまとめた「ILCによる地域振興ビジョン」を策定した。ILCに関連した各種ビジョンやマスタープラン(基本計画)は、奥州市や東北の誘致団体レベルでも策定しているが、県独自のビジョン策定は初。国際研究都市の形成支援など五つの柱を掲げ、ILC誘致を契機に未来に向かって発展する本県の進むべき道を明らかにしている。
(児玉直人)

 ILCは加速器と呼ばれる精密機器を利用し、肉眼では確認できない電子と陽電子をほぼ光速に近い状態で衝突させた際の現象を測定する施設で、物質の成り立ちや宇宙誕生の謎に迫る研究が進むと期待される。世界中の素粒子物理学者が中心となって計画。現時点での建設有力候補地が、本県南部の北上山地になっており、奥州市を含む周辺自治体や地元経済団体などは、研究者や国政関係者らと連携した誘致運動を展開している。
 今年3月7日に、文部科学省はILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続すると表明。さらにILCプロジェクトの推進を盛り込んだ「いわて県民計画」が本年度にスタートしたことに合わせ、県レベルのILCビジョンを初めて策定した。
 同ビジョンには、東北ILC推進協議会が東北全体の取り組み方針をまとめた「ILC東北マスタープラン」や、「いわて県民計画」の考えに基づき、具体的な取り組み方針、目指すべき姿が列挙されている。
 ILCプロジェクトを進めるために必要な政策を「五つの柱」として分類。?国際研究都市の形成支援?イノベーションの創出?ILCによるエコ社会の実現?海外研究者の受け入れ環境整備?交流人口拡大と地域の科学技術教育水準の向上――を掲げている。
 このうち「エコ社会の実現」については、実験過程で生じる熱を地域産業や住民生活に有効活用する方針が示された。
 「海外研究者の受け入れ」に関しては、すでに奥州市国際交流協会が実践する「医療通訳」のような外国人の生活をサポートする体制を拡充。外国人研究者の家族と地域住民が融合した新しいまちづくりの姿を追求する。
 ILCが本格運用するまでには、建設前の準備期に4年、建設期に9年の歳月を要するとされ、運用期を含めて滞在する人の数や職種も変動する。ビジョンでは準備期、建設期、運用期ごとに取り組むべき事柄を細分化しており、適切な対応でILCによる地域振興実現を目指す。
 ビジョンの内容は、県公式ホームページ内

https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/suishin/ilc/1022387.html

で閲覧できる。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/866

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動