人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致・国際WG 費用分担含む報告書9月にも文科省へ

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tanko 2019-7-25 6:50

写真=ILC誘致を巡る直近の動向を説明する鈴木厚人学長(左)と山下了教授(仙台市内)

 【仙台市=児玉直人】 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の日本誘致に向け、高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市、山内正則機構長)が設立した国際ワーキンググループ(WG)は、費用分担や組織運営などに関する報告書を9月中にも文部科学省に提出する。東北ILC推進協議会の内部組織、東北ILC準備室長を務める鈴木厚人・岩手県立大学長が24日、仙台市内で開かれた記者説明会で「政府間協議が始まった際のたたき台になるもの。報告書の完成は、新しいステップの始まりでもある」と強調した。日米間ですでに実施している政府高官レベルでの議論の体制を日欧間にも立ち上げる予定で、ILC実現に向けた環境を整える。

 ILC誘致を巡っては、3月7日に東京大学で開かれた素粒子物理学関係の国際会議の席上、文科省が「ILC計画に関心を持って意見交換を継続する」と、政府見解を表明した。
 これを受けILC関連の技術研究を進めているKEKは、国内外の素粒子研究者らによる国際WGを立ち上げた。技術改良や経費、施設運営、国際分担の原案を作成し、9月をめどに報告書を文科省へ提出する。
 ただし、報告すべき案件は、すでに研究者間などで検討されてきた経過がある。鈴木学長によると、ゼロからの協議ではなく最終案的な形で取りまとめるといい、「政府間協議が始まった際には、報告書を基に費用割合などを議論する。いわばたたき台だ」と説明した。
 日本学術会議では「学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン」の策定が進む。同プランへのILC計画掲載も誘致実現の条件になるが、他分野の研究者らの納得を得られるかがポイントとなる。
 記者説明に同席した東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は「(学術会議での議論が)どういう状況まで来ているか直接聞く立場になく、伝えることはできないが、課題とされてきた点について、幅広い学術分野の方々に説明し、理解を得られるよう全力を挙げている」と述べた。
 このほか東北推進協の対応として、仙台市で今秋に開催されるILC関連の国際会議「LCWS2019」での情報発信、地域ビジョンの検討などにも力を注ぐという。

「直接対話が一番」(山下教授、不安解消へ私見)
 国際リニアコライダー(ILC)の誘致活動が進む中、施設の安全性や放射線の影響を懸念する声もある点について、誘致を推進する東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は24日、個人的見解と前置きした上で「直接話すことが一番重要だ」と強調。ILCに懸念を示す地域住民や団体の関係者との直接対話を望んだ。
 有力候補地である北上山地周辺では、自治体や経済団体などが中心となり誘致運動を展開。早期実現を望む声がある一方で、安全性や誘致活動の在り方に疑問を示す住民もいる。
 東北ILC推進協議会は、同日の記者説明会の中で、ILCの社会周知活動を進めるとともに、放射線などに対する「正しい情報提供」「丁寧な説明」を行い、住民不安を払拭する考えを示した。
 山下教授によると、今年3月に奥州、一関両市で開催されたリスク説明会を今後も定期的に開催するほか、各種講演会で質疑応答の時間を十分に確保するなどの方法が予定されているとした。
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