人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国際研究都市形成 地元理解が大きな鍵 (増田氏=前知事=が指摘)

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tanko 2013-4-27 5:40
 【仙台市=児玉直人】前岩手県知事で日本創成会議座長の増田寛也氏は26日、仙台市内のホテルで開かれた国際リニアコライダー(ILC)関連のシンポジウムで、ILC誘致によって形成される国際研究都市について「長期滞在する外国人を『地域住民の一員だ』という気持ちで迎え入れなければいけない」と強調。「そのためには産学官関係者だけでなく、候補地周辺の地域住民一人一人がILCが誘致されることの意義を理解していなければいけない」と指摘し、よりきめ細かな周知対策が必要になるとの考えを示した。

 シンポジウムは東北ILC推進協議会総会に合わせ、同協議会と先端加速器科学技術推進協議会(西岡喬会長)が共催。約350人が聴講した。
 「宇宙の謎に挑む 最新科学と最先端技術の挑戦」をテーマに増田氏のほか、鈴木厚人氏(高エネルギー加速器研究機構・機構長)、辻井博彦氏(放射線医学総合研究所フェロー)、山下了氏(東京大学素粒子物理国際研究センター准教授)が、ILCの必要性や波及効果、医療分野への応用などについて講演。この中で増田氏は一般住民の日常生活にも深く関わる、国際的な研究都市の創造について触れた。
 「ILCが実現した場合、研究者やその家族を含め1万人以上の外国人が長期的に滞在する。彼らをどう受け入れるかが問われている」と切り出した増田氏。ILC周辺の都市を創造する上でのモデルケースとして、自身が訪問した欧州合同原子核研究機構(CERN)=スイス・ジュネーブ近郊=の様子を紹介した。
 多国籍の研究者らを受け入れる態勢が整っているCERNだが、「研究者らの配偶者の就業機会を十分に提供できていないことが課題になっている。地域住民の一員として生活する上でも、彼ら、彼女らの気持ちに沿うような仕事ができる場を提供する努力が必要になるだろう」と述べた。
 さらに増田氏は「研究者の意向に沿う都市づくりは、何も外国人ばかりが喜ぶことをするということではない。地元の人たちも『こんな行政サービスや都市機能があればいいな』と感じるような視点を持ち合わせることが大事になる」と指摘。
 「産学官の誘致関係者のみが“熱い思い”を持つだけではいけない。地域に住むお年寄りから子どもまで、ILCが立地することの意義を理解しないといけない」と述べ、一般住民へのよりきめ細かな周知を求めた。
 このほか東京大准教授の山下氏は、最近のILC計画をめぐる国内外の動向を紹介。現在、北上山地と脊振山地(九州北部)で誘致活動が熱を帯びているが「国内候補地が一本化されたら『オールジャパン態勢』を取らなければいけない。誘致ができた、できなかったの結果はどうであれ、日本全体で知恵を出し、ILCを支えていくという姿勢がなければ成し得ない事業だ」と強調した。

写真=「国際研究都市形成には地元住民の理解が不可欠」と語る増田寛也氏
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