人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

歴史的成果 舞台裏語る 天文台水沢・本間所長ら報告

投稿者 : 
tanko 2019-6-3 15:50

写真=ブラックホール撮影の舞台裏を紹介する本間希樹所長(左)ら研究スタッフ

 国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長ら、同観測所の研究者ら5人は2日、人類で初めてブラックホールを撮影した国際研究プロジェクト成果を一般市民に報告した。県内外から450人が集まり、世界中の話題となったプロジェクトの意義やその舞台裏を興味深く聴いた。

 本間所長らが参加したのは、国際研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」。100年に及ぶブラックホール研究の歴史に、大きな成果を残した。
 本間所長は「観測所の地元のみなさんにまずは報告したい」と、5月25日に天文台のある水沢南地区の住民向けに最初の講演会を開催。今回は市内の児童生徒や一般市民らを対象に市が企画したものだが、情報を聞きつけた市外、県外の在住者も足を運んだ。
 講演会前半は本間所長が研究概要や成果、発表後の社会の反応などをユーモアを交えながら説明。後半は「研究スタッフ勢ぞろい!」と題し、本間所長のほかプロジェクトに参加した秦和弘助教、小山友明特任専門員、田崎文得特任研究員、中国から同観測所に留学している崔玉竹(ツェイ・ユズ)さんがパネルディスカッションを繰り広げた。
 観測に使用した電波望遠鏡がある施設の一つ、チリの天文台は標高5000mに位置。本間所長は高山病になりかけ、「5000mまで行って何の役にも立たなかった。仕事が全くできなかった」と振り返る。一方、小山特任専門員は体調不良には見舞われなかったが、空気が薄い環境が影響しパソコンの記憶装置が思うように作動しなかったと明かした。
 研究チームがデータ解析などを進めていたのは、12月から2月にかけてのクリスマスや正月など楽しいイベントがめじろ押しのシーズン。田崎特任研究員が「本間さんからは『あと2週間頑張ろう』という言葉を2カ月、3カ月聞かされ続けた」と明かすと、会場は笑いに包まれた。
 将来、東アジア諸国の電波望遠鏡観測網による研究で中心的な役割を果たすと期待される崔さんは、「中国の実家の家族が今回の件で取材を受けた。母は知っている人全員に私のことをPRしてくれた」とうれしそうに話した。
 宮城県から訪れた男性は「このような研究成果を水沢の観測所がなぜ発表できたのか」と質問。本間所長は「水沢の観測所はVLBI(超長基線電波干渉計)という技術のエキスパート。長年のノウハウがなければ、このプロジェクトに入ることはできなかっただろう。緯度観測所時代から続く、いろいろな方々の貢献があっての成果だと思う」と強調した。
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