人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

「早く報告講演したい」 国立天文台水沢の本間希樹所長

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tanko 2019-4-18 14:40
 ブラックホール撮影に成功した国際研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」に参加し、日本の研究者チームの代表を務めた国立天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長は17日、水沢星ガ丘町の同天文台水沢キャンパスで、表敬訪問した小沢昌記・奥州市長から研究成功の祝福を受けた。本間所長は「なるべく早く、5月ごろには市民の皆さんに講演などの形で研究成果を報告できる場が設けられたら」と希望していた。
 この日は本間所長のほかEHTに参加している小山友明・特任専門員と、田崎文得・特任研究員が同キャンパス本館で小沢市長を迎えた。玄関ホールで小沢市長と握手を交わした本間所長は、2階応接室で今回の研究成果などを説明した。
 EHTには本間所長をはじめ、同観測所など国内の研究機関、大学に在籍する研究者や留学生ら14人が参加。さらに海外の研究機関所属の日本人研究者8人も加わっている。本間所長はEHTの理事会にも名を連ねており、今月10日夜のブラックホール撮影成功の会見では、日本チームの代表として発表した。
 今回の観測に水沢の電波望遠鏡は使用されていないが、120年前に開設された同観測所の前身、旧緯度観測所時代から脈々と受け継がれてきた国際協調の考え方や、複数の電波望遠鏡を連動させて観測する「VLBI(Very Long Baseline Interferometry=超長基線電波干渉法)」と呼ばれる手法の実績が、成功の根底にあるという。
 本間所長は「120年前に緯度観測所ができたときも、世界に点在する観測所で同じ星を観測した。今回と手法は異なるが、この場所は世界とつながっており、常に最先端の研究をしている。市民の皆さんにはぜひそのことを知ってもらいたい」とアピール。「自然は謎に満ちている。今回のことがきっかけとなり、子どもたちが『何かやってみよう』という気持ちになってくれたら。市民向けの報告講演会のようなものをできるだけ早いうちにやりたい」と話した。
 小沢市長は「テレビでブラックホールの撮影に成功したというニュースを見ていたら、よくお会いしている本間所長が出てきて、腰が抜けるほどびっくりした。(初代所長の)木村栄所長のZ項発見に次ぐ快挙ではないか」と興奮気味に話しながら、「世界中に注目されるような研究をするトップランナーが、私たちの身近にいてくれることは非常に光栄なこと」と敬意を表した。
 市としての顕彰や表彰のような対応について、取材陣に問い掛けられると「少し検討してみたいが、いろいろなプロセスがあると思うし、今回の成功が研究の終わりではないと思う。まずは、今回の成果を広く市民の皆さんと共有することに力を置きたい」と述べた。

写真=小沢昌記市長(左)から祝福を受ける本間希樹所長
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