人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市西部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

【読者投稿】奥州のお宝――後世に残すため「条例」の制定を!

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tanko 2019-3-16 11:30
 広大な奥州市の西にそびえる「奥羽山脈の山並み」と、東に望む「北上山地の稜線」は、おらがふるさとのお宝であると捉えています。奥羽の山並みに残る豊かなブナ林を「胆沢ダムと栗駒焼石ほっとライン」に活用し、北上山地の自然を「種山ケ原と宮沢賢治」にスポットを当てて活用したことはさすがだと思います。
 さて昨今、これらのお宝に関わることで気になることが2件あります。1件目は栗駒焼石ほっとライン上で「ライトトラップ採集」が見受けられることで、2件目は北上山地が「核の最終処分場に適地」と言われていることです。
 ライトトラップ採集とは夏場の夜間に、森林などに大々的にライトの光を当ててオオクワガタ、ヒメオオクワガタなどの昆虫を寄せて捕まえることです。これらの昆虫は、一般社会人の月給(手取り)ほどの高値で売買されているらしいのです。
 栗駒焼石ほっとライン周辺の森林は東北森林管理局が設定した「奥羽山脈緑の回廊」の中核になっているもので、「栗駒山・栃ケ森山周辺森林生態系保護地域」に指定されています。生態系バランスを崩すような昆虫など動植物の採集、乱獲はしてはいけない場所です。以前、ライトトラップ採集を確認した森林ボランティア活動員が、そのことを関係機関などに話したところ、「何ら取り締まりの法規がないので何ともならない」という対応だったそうです。
 この話を聞いて問題だと感じました。真に森林生態系指定地域を保全するためには、「生態研究のための調査」以外の採集などはすべきではありません。こうした金銭目的や興味本位の採集への指導、取り締まりが可能となるような対策が必要だと思います。
 2件目の「核のゴミ最終処分場」については、2012(平成24)年に大阪府堺市で開かれた日本地質学会で、専門家が同処分場の適地は▽根釧(北海道)▽阿武隈高原北部(福島県)▽北上山地(岩手県)――の三つを挙げ、特に阿武隈高原北部と北上山地としたことが発端です。同年、北海道は「受け入れ拒否の宣言」をし、道内の該当市町村も条例を制定しました。この後、政府は原発事故発生を踏まえ、阿武隈高原北部を適地対象から除く方針を示しました。岩手県は受け入れ拒否の宣言をしていません。そして昨年7月、政府は同処分場に適した地域を大まかに示しました。もちろん北上山地は入っています。
 この処理場適地問題は、国際リニアコライダー(ILC)誘致を推進する岩手県や奥州市にとって微妙な問題だと思います。「ILCは核廃棄物処理場の下地づくりではないのか」という過激な噂話も耳にしています。ILC推進派の研究者は「核廃棄物処理施設になるというのは誤解です。トンネルを掘るから連想されたのでしょうが、地下100mといっても、標高百数十mのところの地下ですから、核廃棄物処理をするのは原理的に無理です」と述べています。しかし、ILCの周辺やILCのさらに地中深くに設ける可能性については言及されていません。また、長い時間が経過し、その時に生きる人が同処理場の足掛かりにする可能性も「なきにしもあらず」です。そうしたことも想定した対策も考えてもらいたいと思います。誘致賛成、反対のいずれにせよあらゆる可能性と対策についてしっかりと議論をしてもらえることを希望します。
 多くの人が「奥州市に一番住みたい」と思うような地域にするためにも、われわれは今ある自然環境を維持・保全し、後から来る人、後から生まれる人たちのためにその「お宝」を残しておく責務があります。奥州市は広域振興局や岩手南部森林管理署など関係機関と連携を図り、主体的に対策に着手し、条例の制定などへの動きを起こすべきだと思います。

阿部恵彦(胆沢若柳)=奥州自然研究会代表世話人
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