人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC関係者受け入れ対応も(岩手県次期総計 県南圏域振興プラン中間案示す)

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tanko 2018-11-23 15:00
 岩手県が策定作業を進めている次期総合計画の構成要素の一つ、地域振興プランの中間案が公表された。県央、県南、沿岸、県北の県内四つの広域振興圏ごとに、地域の特色や事情に即した具体施策や推進方策を明らかにした同プラン。胆江を含む8市町を範囲とする県南広域振興圏(県南圏域)は、産業バランスが取れているメリットを生かしつつ、課題として指摘されている地域医療や人材不足などの改善を推進していく考え。県は12月21日まで、中間案への県民意見を募っている。

 県政運営の指針となる県総合計画は、10年ごとに策定している。現計画(いわて県民計画)は本年度までとなっており、2019〜2028年度の次期計画策定に向けた作業が進められている。
 次期計画は10年間の基本方針を示す「長期ビジョン」と、より具体的な推進方策などを盛り込む「アクションプラン(行動計画)」で構成。アクションプランは第1期(2019〜2022年度)、第2期(2023〜2026年度)、第3期(2027〜2028年度)に区切られており、社会や地域の状況変化に対応した計画をその都度策定できるようにしている。
 アクションプランはさらに▽復興推進プラン▽政策推進プラン▽地域振興プラン▽行政経営プラン(いずれも仮称)――から成る。復興推進プランは第1期のみの予定で、2期以降も策定するか否かは、今後の復興状況を見ながらの判断となる。今回公表されたのは第1期アクションプランの中間案だ。
 このうち、地域推進プランにある県南圏域の項目では、目指す将来像を「人とのつながり、県南圏域の産業集積や農林業、多様な地域資源を生かしながら、暮らしと産業が調和し、世界に向け岩手の未来を切り拓く地域」と設定。▽暮らし▽産業▽観光・文化▽農林業――の4本柱で具体的な取り組みを掲げている。
 暮らしに関連する事項でもある地域医療については、胆江地区のように小児科や産科の医療体制が深刻な現状を受け止めつつ、北上や一関の医療機関との連携強化を図る。県南広域振興局の飛鳥川和彦副局長は「医師確保をしたいところだが、すぐに実現するのは難しい。当面われわれができることとして、近隣地域との連携強化を掲げた」と説明する。
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を見据えた取り組みとして、ILC関係者の居住・生活の受け入れ態勢整備も推進する。ILCに限らず国会で審議中の外国人労働者の受け入れ拡大の流れも意識しながら、多文化共生社会の構築に向けた住民理解の醸成も進める。
 観光と地元農業とが連携する取り組みとして、地域食材を生かした魅力的な地域づくりの支援を推進。交流人口の拡大も図る。文化芸術の振興については、伝統芸能だけではなく新しい芸術や文化なども楽しめる場の創出を支援する。
 中間案は県南圏域8市町の首長にも順次、同振興局の細川倫史局長が出向いて説明。県民向けには、県公式ホームページ
http://www.pref.iwate.jp/public_comment/63327/index.html
や奥州地区合同庁舎1階「県民ホール」で案文を閲覧できる。
 飛鳥川副局長は「県南はものづくり産業も集積し、農林業も盛ん。何か一つだけ特化するのではなく、全体的なバランスを取ることで魅力ある強い地域につながる。従来通りの取り組みに似ているが、むしろこれまでの10年で積み上げてきたものを、次の10年でさらに磨きをかけるといったスタンスだ」としている。
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