人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

超精密バルブ機器製造の(株)フジキン 東北工場(江刺)を増設

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tanko 2018-11-1 9:40
 江刺岩谷堂字袖山の工業団地「江刺フロンティアパーク」に立地する(株)フジキン東北工場の増設工事が完了。31日、同社の小川洋史代表取締役兼最高経営責任者(CEO)らが出席して開所式が行われた。同工場では半導体製造装置に組み込まれる超精密バルブ機器、特殊ガス制御装置を生産。長期的な半導体需要の増加に伴う製造装置メーカーの生産体制拡大の流れに対応した形で、11月上旬から本格稼働する。今回の増設で生産能力は従来の約2倍に高まるが、小川CEOは「いつでも新棟を建設できるようにしている」と、さらなる拡張にも意欲を示している。
 同社は配管材料や機械・金属製品の卸販売業の「小島商店」として1930(昭和5)年、大阪市で創業。バルブコックのメーカーとして成長し、ガスや液体などの流体を制御する「超精密ながれ制御機器」などとともに、大型工場の設備やロケットエンジン、医療機器、各種工業製品に取り入れられている。現在も大阪市に本社を置き、グループ会社も合わせた資本金は62億円、従業員は4585人。
 東北工場は2005(平成17)年7月、分譲開始間もない江刺フロンティアパークで操業開始。主に半導体の製造時に必要な特殊ガスの流量を微調整する制御装置や超精密バルブ機器などをシステム化した「集積化ガスシステム」を製造している。半導体の製造工程では、わずかな微粒子(ほこり)でも品質に影響を与えるため、同社では世界最高水準のクリーンルーム内で製造作業が進められている。
 増設した建物は、既存建物の北側スペースを活用し整備。鉄骨2階建てで面積は360平方メートル。既存建物と一体化したような外観になっている。1階部分はクリーンルームや配管製作工程を配置し、2階は設計などの技術部門のフロアとなっている。
 同社によると、半導体生産の現状は一服感があるものの、長期的には右肩上がりにあるという。同工場から至近距離の半導体製造装置メーカー、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(株)の東北事業所は新生産棟を建設中。さらに、北上市には半導体大手の東芝メモリ(株)の新工場が進出する。報道陣の取材に応じた小川CEOは「東京エレクトロンさんの拡張の動きも、私どもの工場増設に至った判断の大きな要因の一つ」と語った。
 生産体制拡充に伴う人材確保にも力を入れており、地元を中心に高卒、大卒、大学院卒と幅広い枠組みで採用。現在170人の従業員で稼働しているが、将来的にはプラス100人の雇用を見込んでいる。

写真1=フジキン東北工場の外観。写真左のタンクがある位置より手前が増設部分

写真2=フジキン東北工場で生産している「集積化ガスシステム」
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