人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致「リスク示すのが先」 一関市のセミナーで住民注文

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tanko 2018-9-26 12:50
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連した住民の懸念に、研究者や行政の担当者が説明する「ILC解説セミナー」が24日、一関市の一関保健センターで開かれた。約140人が参加。住民との質疑応答は、予定時間をオーバーして行われたものの、放射能関連の質問が相次ぎ、まちづくりや誘致運動と教育の関係などの質問ができなかった人もいた。「メリットより、リスクの方を早く知らせるべきだ」「一関以外でもリスク説明の開催を」などの声もあった。

 東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)が主催。佐々木淳・岩手県理事兼科学ILC推進室長(同準備室地域部門長)と、岩手大学の成田晋也教授(同準備室広報部門長)が講師を務めた。
 今回のセミナーは、8月にILCに関連するさまざまなリスク、誘致活動の在り方を疑問視する声が一関市民を中心に表面化したことを受け企画。これまで一関市や奥州市などで開催されてきた誘致機運醸成を主とする講演会やセミナー、出前授業などとは開催経過や背景が異なる。
 参加者や会場に居合わせた誘致関係者らによると、冒頭の講演や解説は従来のILC講演会とほぼ同様の雰囲気だったが、質疑応答になると放射性物質の管理などリスク面に関する質問が相次いだ。中には「ILC誘致によるメリットより、リスクの説明をするのが先。順番が逆ではないか」と、誘致を推進する研究者や行政の姿勢に不信感をのぞかせる人も。さまざまな疑問や安全性を求める質問に、同調者から拍手が起きる場面もあったという。
 聴講した「ILC誘致を考える会」の原田徹郎(てつお)共同代表は、「多くの参加が在り関心の高さを実感した」と振り返る。「高レベル放射性廃棄物への転用懸念については、構造上あり得ないという説明だったが、県は積極的に造らせない姿勢を見せるべきだ」と指摘。セミナー全体の様子については「質疑時間が少なく、放射能関連の質問が中心になってしまった。まちづくりや誘致運動と教育のあり方に関する質問を用意していた人たちは、残念がっていた。ILCは一関だけが候補地ではないので、今回だけで終わらせず、胆江地域や北上などでも開催してほしい」と希望している。
 佐々木理事は「住民の皆さんと一緒にやっていく上で、どういう方法でどんな説明が必要か、しっかり検証したい。リスク面も含めた事実関係の共有にも努めたい」と話している。

写真=一関市で開かれた東北ILC準備室主催の解説セミナー(同市役所提供)
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