人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

有識者指摘の問題点、県民・国民に共有を(一関の僧侶ら意見表明)

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tanko 2018-9-23 14:30
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致活動に疑問を呈している一関市の僧侶、千坂げんぽう氏(※)ら僧侶3人は21日、「県は文部科学省ILC有識者会議や日本学術会議で指摘されているILC誘致に伴う問題点を県民や国民に公開し、情報を共有すべきだ」とする趣旨の意見を表明。その上で、東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)が24日に同市内で開くILC解説セミナーについて「全く的外れの対応」と批判した。
 意見表明したのは千坂氏のほか、平泉町の菅野成寛氏と佐々木邦世氏。3人は8月10日、首都大学東京の山下祐介教授らを加えた計6人の連名で、学術会議に「ILCの日本における意見書」を提出している。「リスク検証が不足しているままでの誘致決断は将来に禍根を残す」などの考えを学術会議側に示していた。
 意見書は学術会議宛てのものであったが、報道などで千坂氏らの動きを知った、鈴木学長や大平尚・県企画理事は記者会見を開き、県のILC誘致に対する基本的考え方を明らかにした。さらに、今月14日には同準備室の主催で解説セミナーを一関市内で開くことを告知した。セミナーは、ILCの基本情報や自然、日常生活へのリスクについて、同準備室広報部門長の成田晋也・岩手大学教授らが対応する。
 千坂氏らは「学術会議がILCの問題点を総合的に検討しているとき、その結果を待たずに一関市民に『安全で不安はありません』と説明することが、公正と言えるのか」と批判。これまでの誘致活動が、メリットのPRに重きを置き過ぎている点を問題視していると主張し、「県民、国民に多大な影響を与える巨大公共事業を推進する際の進め方や責任の在り方が極めてあいまい。手法が問われている」と指摘した。
 セミナーは24日午後3時から同4時半まで、一関保健センター多目的ホールで開かれる。

※…千坂氏の名前の漢字表記は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」
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