人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致 住民不安考慮し審議を(一関拠点市民団体、学術会議に意見書)

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tanko 2018-9-21 17:30
 一関市を拠点とする市民団体「ILC誘致を考える会」(共同代表=千坂げんぽう氏(※)、原田徹郎(てつお)氏)はこのほど、日本学術会議(山極寿一会長)に国際リニアコライダー(ILC)誘致にかかる問題点などをまとめた意見書を提出。同会議に開設中の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」(家(いえ)泰弘委員長)において、ILC候補地住民が抱く不安などに考慮した審議を進めるよう求めた。意見書は18日に開かれた同検討委の第5回会合で、参考資料として委員に配布された。
 考える会は8月、ILCの疑問点や問題点を取り上げた公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。1回目の回答内容に不満があるとして再質問する一方、学術会議の山極会長とILC検討委の家会長宛てに問題点などを集約した意見書を今月8日付で送付していた。
 意見書では、科学的意義と経済効果などメリット部分が強調され、文部科学省の依頼で民間研究所がまとめたリスクに対する事柄については、住民にしっかり伝えられていないと主張。「リスク面を知らないまま誘致に同意したことになりかねず、他地域のみならず将来世代に対しても迷惑をかけることになる」などと指摘した。
 学術会議には同市在住の僧侶である千坂氏が、考える会共同代表の立場とは別に、知人の僧侶や社会学系の大学教授ら有志5人と共に8月10日付でILC誘致の問題点を指摘した意見書を提出している。同検討委にはこのほか、ILCを推進する立場としてフェルミ研究所(米国)、ILC国会議連、東北ILC準備室からも意見書が届いている。いずれも参考資料として、検討委の委員に配られている。

※…千坂氏の名前の漢字は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」


 ◇再質問状への回答届く(一関・考える会)
 市民団体「ILC誘致を考える会」が今月5日付で提出していた、ILC誘致に関する勝部修市長宛ての再質問状の回答がこのほど届いた。考える会の原田徹郎共同代表によると、1回目の回答内容と基本的に大きな違いはなかったという。
 ILC誘致に対する懸念の表面化を受け、誘致実現を推進している岩手、宮城両県の産学官関係者で組織する東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)は、24日午後3時から同4時半まで一関市山目字前田の一関保健センターで解説セミナーを開催。候補地の地元住民が抱く疑問などに答える場を設ける。
 原田代表は「出席する考えではいるが、どれだけ多くの市民が参加するのかが気掛かり。開催した実績だけをつくるような場になってほしくはない」と話している。
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