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市民団体「ILC誘致考える会」 一関市長に公開質問状

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tanko 2018-8-25 9:40
 一関市を拠点に活動している市民団体「ILC誘致を考える会」は24日、ILC(国際リニアコライダー)誘致に関する問題点と公開質問状を勝部修・一関市長に提出した。実験終了後に高レベル放射性廃棄物の処理施設になるのではという懸念や、ILC誘致活動に子どもたちを巻き込んでいることへの責任、地元への経済効果額などについて、今月中に文書で回答するよう求めた。同団体は今後、県に対しても同様の行動を起こす方針で、「ILCは一関だけが関係するプロジェクトではない。県への行動となれば、奥州市や平泉町など近隣自治体の住民意見も反映させなければいけない」としている。

 質問状提出後、同考える会共同代表の千坂げんぽう(※)氏(73)と、原田徹郎(てつお)氏(74)が一関市役所で会見した。原田氏が会長を務める市民環境団体「一関水と緑を守る会」の関係者や、建設想定エリア内にある同市大東町の住民らもオブザーバーとして出席した。
 質問項目は▽放射化する地下水・空気・施設への対応▽核廃棄物処分場への転用懸念▽地元負担と経済効果▽自然災害や工事残土、電力への対応▽地元の雇用不安▽誘致運動への子どもの参加と大人の責任――に関すること。考える会会員約50人から寄せられた意見をまとめ、会の総意として提出した。
 ILC稼働時に生じる放射線の影響に関する質問では、「(リスク情報を)速やかに住民に伝え、対策を提言すべきだ」とし、見解を求めた。民間研究所が文部科学省の委託を受け実施したリスク調査では、放射化した地下水が広域に移動することのないよう、適切な対応策が必要だと指摘。調査結果は同省ILC有識者会議の技術設計報告書検証作業部会にも報告されている。考える会は、このような公的な場で明らかになったリスクを、候補地の地元住民に速やかに伝えるべきと主張している。
 放射性廃棄物処分場への懸念については「県や市は転用を認めないと明言しているが、知事や市長が交代しても保証されるのか。国が地元の意向を無視して強行しても異議を唱えることができるか」と、問いただしている。
 原田氏は「ILCそのものに反対している人たちばかりではないが、核廃棄物や放射線に関係する事柄については賛成できない、不安に思うという人が多い」と語る。オブザーバー参加の地元住民の一人は「就職先が増え、人口減少にもいい効果があると思い、当初は賛成していたが、(安全対策がしっかりされていなければ)福島の二の舞になってしまう」と指摘。別の住民は「合意形成や理解構築の不十分さが発端となり、市民や県民が分裂状態になることだけは避けてほしい」と訴えた。
 一方、質問状を受け取った勝部市長は報道陣の取材に応じ「一通り読ませていただいたが、専門家や研究者が検討している事柄なども含まれている。地元市長として回答できるのは、これまで市が進めてきた周知、PRの部分ぐらい」と答えた。考える会側の要請通り、文書で回答するという。

学術会議への意見書に県が反応 提出者、不満あらわ

 一関市在住の僧侶ら有志6人が日本学術会議(山極寿一会長)に今月提出したILC関連の意見書に対し、県関係者が記者会見を開いて意見書への見解や対応策などを示したことに、有志の一人である千坂げんぽう(※)氏(73)は「意見書は学術会議に出したものだ」などと不満をあらわにした。
 千坂氏によると、県側から意見書の内容に対する問い合わせや、会見を開くというような知らせはなかったという。
 千坂氏が共同代表を務める「ILC誘致を考える会」は24日、一関市長にILCに関する公開質問状を提出。千坂氏や同じく共同代表を務める原田徹郎氏は、提出後に開いた記者会見で、県にも質問状を出したい意向を示した。千坂氏は「ILCが実現すれば、多くの県税を使うことにもなる。一関、県南だけの問題ではなくなってくる」と話す。
 意見書は、ILC候補地の地元で展開している誘致運動などの問題点を指摘する内容。今月10日付で学術会議に提出し、22日には学術会議の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」(家(いえ)泰弘委員長)で委員らに配布された。
 これを受け東北ILC準備室長を務める素粒子物理学者の鈴木厚人(あつと)・県立大学学長と、県の大平尚(ひさし)企画理事が23日、県庁内で記者会見。リスクマネジメント説明会の開催やホームページでの説明充実など、地元への理解を得るための方針を説明していた。

写真=会見する千坂げんぽう氏(左)と原田徹郎氏(一関市役所)

※注釈…千坂氏の名前の漢字表記は、山へんに諺のつくりで「げん」、峰で「ぽう」
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