人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

水沢が観測拠点の国立天文台「VERA」 SKA機構、貢献装置に公認

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tanko 2018-8-24 13:50
  天文学観測の国際プロジェクト「スクエア・キロメートル・アレイ」(SKA=Square Kilometer Array)を運用するSKA機構(本部イギリス、フィリップ・ダイヤモンド機構長)は、SKAの科学技術に貢献する観測装置として、水沢星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹(まれき)所長)が運用する天文広域精測望遠鏡(VERA(ベラ))を公式認定した。遠く離れた離島にある電波望遠鏡を連動させるVERAの高度な観測技術や運用実績が、SKAプロジェクトに役立つと期待が寄せられている。緯度観測所開設から来年で120年を迎える国立天文台最古の研究施設は、新たな国際プロジェクトの中で存在感を示すことになる。

SKAは小型のパラボラアンテナを数千台、地面に直接設置する低周波アンテナを数百万台設置。それらを連動させることによって、実際には製造不可能な1平方kmの集光面積を持つ世界最大級の電波望遠鏡による研究を推進するプロジェクトだ。
 どのように星や銀河がつくられたのか、地球外生命体はいるのかなど、さまざまな謎の解明に挑む。本間所長は「地球外生命体、つまり『宇宙人はいるのか』という疑問は誰もが一度は抱く。たとえ見つからなくても、それはそれで私たち人類に大きな確証を与えることになる」と説明する。
 SKAにはオーストラリア、カナダ、中国、インド、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン、オランダ、フランス、スペイン、イギリスの12カ国が参加している。アンテナの設置場所は南アフリカとオーストラリア。携帯電話や放送用に用いる人工電波の影響を受けにくく、一定の広さを確保できる環境を重視し、コスト検証も重ねて選ばれた。既に建設が始まっており、2020年から初期観測をスタートさせる。
 日本は正式メンバーではないが、SKA機構理事会に国立天文台の代表者がオブザーバーとして参加。日本学術会議が2014年に策定した「大型研究計画に関するマスタープラン2014」の中で、SKAは天文学・宇宙物理学分野における重点大型研究計画の一つとして位置付けられている。
 参加国への仲間入りを見据えた活動が進む中、今年7月、VERAが「パスファインダー」と呼ばれる、科学・技術貢献に期待される装置としてSKA機構の公式認定を受けた。VERAは小笠原諸島の父島などにも観測アンテナがあり、水沢の制御室で遠隔操作やデータの送受信、処理を行っている。こうした環境での運用実績は、南半球の2カ国に観測施設を置き、北半球のイギリスに本部があるSKAにも大きく貢献できるという。
 本間所長は「緯度観測所の時代もそうだが、天文学は世界が一緒になって観測や研究をするのが基本。既に水沢のVERAはアジアの観測網と連動した観測をしているが、今後はSKAも含めた国際的な観測ネットワークの仲間に入り、研究していくことになるだろう」と期待。SKA機構のダイヤモンド機構長は「VERAを通じた日本の皆さんのさらなる国際協力を楽しみにしている。日本のSKA参加検討を前進させる契機になれば」とコメントしている。

写真1=SKAの完成イメージ(SKA機構ホームページより)
写真2=国立天文台水沢キャンパス内にあるVERA用20mアンテナ
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