人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC計画 日本の負担額 建設時は年間400億円

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tanko 2018-8-8 16:30
 【東京=児玉直人】 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画で、日本の負担額は建設関係が年間約400億円、運用関係が約230億円になるとの具体的な費用見通しが明らかになった。7日、日本外国特派員協会=東京都千代田区=で開かれたノーベル物理学賞受賞による会見の冒頭、ILC計画に携わっている東京大学の山下了特任教授が説明。既存の学術関連予算とは別の予算枠を設けることで、予算削減を警戒する他学術分野の関係者の理解を得たい考えだ。

 ILC建設や運用に関係するコストのうち、日本の負担についてはこれまで、想定される割合のような形でしか示されていなかった。具体的な金額として公表されたのは初めて。
 山下教授によると、10年の建設期間にかかる費用は総額7355億〜8033億円とし、このうち日本の負担は3750億〜4096億円になる見通し。年額にして、375億〜410億円という。金額に幅があるのは、技術の進歩などを加味するか否かによるもので、最新の技術が順調に取り入れられた場合は、公表された金額の低い側になると見込まれる。
 山下教授は「通常の学術・科学技術・大学予算の枠外にILCの予算を措置できるよう政界関係者と共に模索中だ。日本の科学研究予算は逼迫しており、ILCによって自分たちの研究予算が削られるとの不安はどうしてもある。枠外予算という仕組みができなかったら、ILCは実現できない」と断言。地域創生や産業振興など他の政策効果とILCが関わり合うような位置付けを取ることで、一つの予算で複数の効果が得られるような姿を描いているとした。
 ILCを巡っては、日本学術会議(山極寿一会長)の「ILC計画の見直し案に関する検討委員会」の初会合が今月10日に予定されており、科学的意義や技術面の妥当性などの検証が始まる。
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