人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC実現へ別枠予算確保目指し検討着手(塩谷議連幹事長が明言)

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tanko 2018-6-30 10:40
「100人委員会」発足(増田前知事が発起人)

 【東京=児玉直人】北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の誘致に関連し、超党派国会議員で組織するILC議連幹事長の塩谷立氏(自民党、衆院静岡8区)は29日、ILC建設にかかる予算を従来の科学研究予算とは別枠で確保できるよう検討に入ることを明らかにした。同日、東京都港区の国際文化会館で開かれた「ILC100人委員会」発足記念式典のあいさつで述べた。その上で塩谷氏は、7月に安倍晋三首相が訪仏予定であることから「マクロン大統領との会談でILCを話題にするよう働き掛けたい」との考えを示した。

 宇宙誕生の謎を探るなど、素粒子物理学の世界唯一の研究施設として計画されているILC。実現すれば、日本初の本格的な国際研究機関となり、科学的意義のみならず経済波及効果や人材育成などの観点から、北上山地やその周辺の自治体では誘致実現を求める声がある。研究者側は、ヨーロッパの次期素粒子物理学計画にILCを反映させる必要があるとして、今年中の日本政府の意思表示が不可欠としている。
 一方で、建設や運営には巨額な費用が必要となり、国や自治体の財政に与える影響や他学術分野への研究活動に支障が出るのではとの懸念から慎重論も根強い。
 100人委員会は、前岩手県知事の増田寛也氏が発起人となり発足。財界や文化系の有識者、著名人も名を連ねており、ILC議連などとも連携しながら国民への理解普及を進め、政府判断を後押しする。
 式典で増田氏は「日本にとって一度も経験したことがない壮大なプロジェクト。立ちはだかる壁は高く厚いが、国民的議論を高め支持してもらえるような環境をつくっていきたい」と意気込みを示した。
 来賓としてあいさつした塩谷氏は、「実現への一番のネックは予算。他分野の研究者からは自分たちの予算が削られるとの懸念があることから、国家プロジェクトとして別枠予算が確保できないか、来週にも協議の場を立ち上げたい。今年中には何らかの形で日本政府の前向きなメッセージを示せるようにしたい」と述べた。
 同日は東北ILC準備室長で岩手県立大の鈴木厚人学長が、ILC計画の概要や現状について講演した。
 100人委員会の賛同者は、今月26日時点で129人。委員会事務局は「個人の立場で参加している」として、各委員の肩書や所属などは明らかにしていない。委員は次の通り。

 相沢益男、朝田照男、芦田昭充、東根千万億、東信彦、新谷明弘、有馬朗人、安斎隆、石井幹子、一力雅彦、出井伸之、伊藤滋、岩崎賢二、岩渕明、氏家照彦、牛尾治朗、内館牧子、内永ゆか子、槍田松螢、江刺正喜、大内全、大滝精一、大友啓史、大野英男、大橋光夫、大橋洋治、大平孝、大山健太郎、岡崎昌之、小笠原直樹、岡素之、岡嶐一、奥田碩、奥正之、奥山清行、小田敏三、小野寺正、梶屋陽介、柏木孝夫、加瀬豊、香取薫、鎌田宏、茅陽一、北村清士、隈研吾、黒田玲子、五阿弥宏安、近衛はな、小林栄三、小間篤、小山清人、近藤徹、柴門ふみ、酒井宏明、寒河江浩二、坂田東一、佐々木幹夫、佐藤勝彦、佐藤敬、佐藤安紀、里見進、沢田康次、塩越隆雄、志賀秀一、志伯健太郎、柴田克洋、島地勝彦、白石智哉、杉田亮毅、鈴木賢、鈴木茂晴、鈴木隆、鈴木道雄、清野智、高橋姿、高橋真裕、高橋雅行、高柳雄一、田口幸雄、竹内純子、中鉢良治、寺島実郎、天坊昭彦、常盤百樹、徳山日出男、中井勝己、中上英俊、永原功、中村英夫、夏野剛、並木富士雄、成田晋、西垣克、根岸吉太郎、野長瀬裕二、長谷川吉茂、長谷川閑史、東哲郎、弘兼憲史、藤沢久美、藤本隆宏、藤原作弥、堀義人、前田佳宏、増田寛也、松尾義之、松本宣郎、三浦展、三浦宏、三木繁光、三田敏雄、御手洗冨士夫、宮原耕治、宗岡正二、村上尚登、室伏きみ子、森詳介、柳井雅也、柳正憲、山崎洋次、山下隆、山田清志、山本文雄、吉井譲、吉崎達彦、芳見弘一、吉村作治、ロバート・キャンベル、渡辺修

写真=ILCの別枠予算確保に向けた検討に着手することを明らかにした塩谷立ILC議連幹事長(東京都港区、国際文化会館)
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