人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ブラックホールの謎に挑む 秦助教(天文台水沢)大臣表彰輝く

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tanko 2018-5-11 11:00
 ブラックホールに関係する謎を解明する研究に取り組んでいる、国立天文台水沢VLBI観測所の秦(はだ)和弘助教(34)がこのほど、本年度の科学技術分野文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞した。ブラックホールから電気を帯びた「プラズマ粒子」が噴出するという奇妙な現象を解き明かす先駆的な取り組みが評価された。
 秦助教は、おとめ座の方向にある「M87銀河」の中心部にあるブラックホールを対象に、「ジェット噴出」と呼ばれる現象を研究している。質量が太陽の約30億倍あり、強大な重力が発生しているはずだが、その力に逆らうようにプラズマ粒子が噴出している。
 一般に「何でも吸い込む天体」として知られているブラックホールで起きている矛盾した現象については、いくつかの理論が提唱されている。しかし、検証するための観測成果がなかったという。
 秦助教は、アメリカ国立電波望遠鏡が運用する「超長基線アレイ(VLBA)」を活用して、高精度の観測を実施。ジェット噴出の発生位置やブラックホール本体の正確な位置も把握できた。この成果が認められ昨年3月、2016(平成28)年度日本天文学会研究奨励賞を受賞。今回、大臣表彰につながった。
 科学技術分野の文科大臣表彰は国立研究機関や大学のほか、民間企業も含め、優れた科学研究や技術開発に貢献した個人やプロジェクトチームなどに贈られる。いくつかの部門があり、秦助教が受賞した若手科学者賞は、萌芽的、独創的視点に立った研究で顕著な業績を上げた40歳未満の若手研究者に贈られる。全国から300人の推薦があり、秦助教を含む99人が選ばれた。
 秦助教は「今後も詳細な研究を進めたい」と話している。

写真=文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞した秦和弘助教
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