人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

科学する心 育む拠点 開館10周年節目を祝う(奥州宇宙遊学館)

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tanko 2018-4-22 10:40
 奥州市水沢星ガ丘町の奥州宇宙遊学館(中東重雄館長)の開館10周年記念式典・祝賀会が21日、同市水沢佐倉河のプラザイン水沢で行われ、同館の指定管理者であるNPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)や国立天文台などの関係者ら100人余りが集まり、節目を祝った。取り壊される計画だった旧緯度観測所2代目本館(1921年建設)を保存活用する市民運動が実を結び、大人から子供まで気軽に自然科学を学べる拠点として誕生した同館。出席者は、同館の機能の充実とますますの発展を願った。

 式典で小沢昌記市長は、関係者のこれまでの労苦に対し敬意を表しながら「遊学館のますますの発展を祈念したい」とあいさつ。天文台OBでもある大江理事長は「天文台をはじめ、多くの方々の応援があって10周年を迎えることができた。全国の博物館、科学館の会合に行くと『なぜ宇宙遊学館は来館者が増え続けているのか』と聞かれるが、私たちは入館者を増やす努力をしているのではなく、展示やイベントなどの中身を工夫しているのだと答えている。20年に向けた歩みがまた始まるが、皆さまの変わらぬご支援をお願いできれば」と述べた。
 同館は旧緯度観測所時代から天文学研究の拠点となっている国立天文台水沢キャンパスの敷地内に立地。2005(平成17)年秋、2代目本館の取り壊し計画が明らかになり、保存活用を求める熱烈な市民運動が湧き起こった。その後、国から市への無償譲渡が決まり、耐震補強や改装工事を経て、2008年4月20日に天文学を中心とした学習交流施設としてオープン。昨年は同じ敷地内にある初代本館(現・木村栄記念館)など共に国の登録有形文化財に指定された。
 同日は同遊学館の運営に貢献した、国立天文台や初代館長を務めた大江理事長、2代目館長の河野宣之氏、初代事務局長の吉田實氏に感謝状が贈られた。
 式典に先立ち記念講演会も行われ、同天文台水沢VLBI観測所の本間希樹所長が、同観測所の研究概要などを紹介。同天文シミュレーションプロジェクト長の小久保英一郎教授が、水沢キャンパス内に設置していた天文学専門スーパーコンピューター「アテルイ」の研究成果と、6月から運用開始予定の後継機の概要を説明した。

写真=開館10周年記念式典であいさつする大江昌嗣理事長
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