人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

中核装置「クライオモジュール」実機を常設展示(盛岡の施設)

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tanko 2018-4-19 10:20
 岩手県が盛岡市北飯岡2丁目の県先端科学技術研究センター内に設置した「岩手ILC連携室」に18日、国際リニアコライダー(ILC)の中核装置「クライオモジュール」の実機が常設展示された。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で開発研究のため使用されていたもの。県は展示スペースを「オープンラボ」と位置付け、加速器関連産業集積促進につなげるほか、県民や子どもたちの学習の場として活用する。
 「クライオ」は低温や冷凍、「モジュール」は構成部品などの意味がある。ILCでは、地下の直線トンネル内に数キロにわたってクライオモジュールを連結・設置。電子や陽電子の通り道となる加速空洞を超電導(超伝導)状態にするため、液体ヘリウムを利用して内部をマイナス271度まで冷やす。外部の温度の影響を受けないよう、魔法瓶のような構造になっている。
 今回展示したのは、KEKによる開発研究などのため約10年前に造られたもの。お披露目を兼ねたオープンラボの開設式には、吉岡正和・KEK名誉教授や千葉茂樹副知事らが出席。クライオモジュールの除幕が行われ、吉岡教授が構造などを解説した。
 同連携室は一昨年6月に開設。県は「ここ1カ所でILCの全てが分かる施設」として機能を強化。県民や子どもたち向けに、クライオモジュールのほかILCや加速器に関した各種情報も合わせて展示した。
 県科学ILC推進室の佐々木淳室長は「ILCは一般的には分かりにくい施設で、効果も理解しにくい。本物の装置に見て触れてイメージを作ってもらうことで、理解や活用に発展させる第一歩になる」と、多くの見学を呼び掛けている。
 一般の見学は説明員を手配する関係で、希望日の1週間前までに申し込むこと。加速器関連産業の研究開発などは随時対応する。
 申し込みは団体・担当者名、連絡先、人数、希望する説明内容を記載して電子メールまたはファクスで。詳しくは、いわて産業振興センターものづくり振興部(電話019・631・3825、ファクス019・631・3830、電子メール
kenkyu@joho-iwate.or.jp
)へ。

写真=オープンラボ内に展示されたクライオモジュールの実機
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