人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

【連載】ILC子ども科学相談室・21 ILCで働くには?

投稿者 : 
tanko 2018-3-30 10:00
 国際リニアコライダー(ILC)で将来仕事をしてみたいと思うのですが、どのような勉強をすればいいのですか? 特別な学校に行く必要はあるのでしょうか?

まずは普段の勉強をしっかり
 ILCに関連する仕事は研究ばかりではありません。仕事内容によって求められる知識や技術は違います。世界中からたくさんの人たちが集まり、それぞれの能力を最大限に発揮しながら、一丸となってILCを運営していきます。
 ILCの本体施設はすべて地下に造られるので、建設時には長大なトンネルを掘るなどの土木工事が必要になります。重機を動かして作業をしたり、資材を運搬したり、建物や道路を設計したりする人たちが大活躍します。さらに、ILCで使う実験装置の部品を製造したり、組み立てたりする仕事も必要になります。
 ILC本体が完成したら、研究者の皆さんの仕事も本格化しますし、研究を支える人たちの仕事も増えてきます。装置の保守点検や実験結果のデータ解析に関する専門的な技術者も必要となります。
 ILCの「I」はインターナショナル(国際的な)という意味です。ILCでは多くの外国人も働くようになります。彼らと会話をしたり、英語で書かれた資料や論文などを読む場面があったりするので、英語はある程度必要です。
 とはいえ、専門知識や語学能力を子どものうちに完璧にマスターしなければ、ILCで働くのは不可能というわけではありません。小中学校・高校生の皆さんは、今やっている基礎勉強(学校の勉強)をしっかりすることが何より大切です。
 英語のテストが満点であれば、外国人と問題なく仕事できるというわけではありません。英語であろうと日本語であろうと、相手の考えを聞いて理解する力、自分の考えや意見を伝える力を養わなくてはいけません。学校の国語の授業は、そのようなことをしっかり学ぶ時間でもあります。
 物理や工学に関する専門知識は、仕事に就いてから学習してもそんなに遅くはありません。その仕事をするようになると、専門の本を読み、論文を読んで勉強せざるを得なくなります。要はその仕事に「興味がある」「ずっとこの仕事をやっていく自信がある」という覚悟さえあれば十分です。
 ILCでは研究者や技術者以外に、外国の人々やその家族を対象にした医療や教育関係の仕事、関係施設の食堂やホテルへの食材提供も重要な仕事です。農産物や畜産物などの食材供給・流通、また観光・レジャー施設関係もILCを支える重要な仕事です。
 自分が自信を持てる「モノ」さえあれば、十分ILCに貢献できます。それくらいILCに関連する職種や職業は、広いのです。やる気満々の人たちの職場なのです。
 少し厳しい言い方になりますが、やる気のない人は、ILC関係に限らず、すべての職業に向いていません。これははっきりしています。
(奥州宇宙遊学館館長・中東重雄)


番記者のつぶやき
 先日「東北ILC推進協議会」という団体が、ILCの受け入れに関する基本的な計画をまとめた「東北マスタープラン」というものを発表しました。この中にも、ILCに関係する仕事として、製造や建設、医療、観光、通訳、教育などがあると記されていました。
 研究者やILC誘致団体の関係者の間では、日本でILCを実現するには今年中に日本政府が「ゴーサイン」を出さないといけないと考えています。有力候補地の北上山地を有する東北の関係者は、マスタープランをつくるなどの取り組みを進め「受け入れ準備は万全だよ」という姿勢を示しています。
 国際プロジェクトですから、政府の方針が重要な鍵を握っています。しかし、ここ最近の政界や国民の関心事は、「森友学園」への国有地売却に関連した財務省の決裁文書改ざん問題など、ILCとは全く違う話題のほうに向いています。
 こうした状況は今に始まったことではありませんが、ILCの話題は以前から国内外の大きなニュースの陰にうもれがちです。長い時間をかけてマスタープランを作り上げた東北の関係者の思いが、しっかりと政界や中央省庁、経済界に伝わることを願いたいですね。
(児玉直人)
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