人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

キャンパス想定地、官民の役割分担 ILC基本計画に明記(東北推進協)

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tanko 2018-3-28 11:20
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致実現を見据え、東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会=東経連)は、受け入れ態勢などをまとめた基本計画「ILC東北マスタープラン」の概要版を公表。メインキャンパスの想定地を奥州市または一関市としたほか、全国各地に配置するILC関連拠点のイメージや官民の役割分担、事業手法などを明記した。
 基本計画は、同協議会の東北ILC準備室(室長・鈴木厚人岩手県立大学長)のマスタープラン専門部会が中心となり策定作業を推進。ILCを受け入れる上で必要な事柄がいくつか明確化されている。
 その一つが、候補地周辺の関係者が特に気に掛けている「メインキャンパス(中央研究所)」の開設場所。2013(平成25)年に国内候補地を「北上山地」と選定した研究者組織「ILC立地評価会議」は、北上山地を最適とする評価結果の中で「仙台・東京へのアクセス利便性を有し、研究・生活環境に優れる新幹線沿線の立地を強く推奨する」との考えを示していた。このため誘致関係者の間では、ILCの建設想定地の位置関係と新幹線駅の場所などから奥州、一関のいずれかにメインキャンパスが設置される可能性が高いと考えられていた。今回初めて、具体的な自治体名が公式の基本計画に明記されたことになる。
 このほか、全国の建設や運用に関する全国地域別の役割のイメージも明確にした。国内候補地選定で北上山地とともに最終候補に残った脊振山地を有する九州は、測定器やデータ解析に関する拠点と位置付け。関西は主要部品の製造拠点、関東は製造・品質管理拠点などとし、その他の装置等に関しても広く全国で製造するイメージを掲げている。
 ILC整備や運用にかかる官民の役割分担も明記。メインキャンパスの整備運用については、研究室やコントロールセンター、講堂などは研究所側が担当するが、研究者の一時的滞在に使う宿泊施設や見学者向けの展示施設、福利厚生、生活支援施設については民間の活用を積極的に進める。周辺地域の関連施設についても、外国人研究者向け医療保険や住民登録、配偶者等の就労支援は行政が担当するが、買い物や飲食、金融関係などについては民間の力を活用する。
 ILC準備室では2018年度、より具体的行動につなげるため基本計画を基にした行動計画の検討を進めるという。
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