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男女共同参画、若者の人材育成――  緯度観測所は先進地

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tanko 2018-3-4 11:00
 水沢緯度観測所(現・国立天文台水沢VLBI観測所)の初代所長を務めた木村栄(ひさし)博士(1870〜1943)が、男女共同参画や若者の雇用、人材育成に積極的だったことが、一橋大学社会科学古典資料センターの馬場幸栄(ゆきえ)助教の調査で分かった。馬場助教は、観測所に残っていたガラス乾板写真の復元と、そこに写っていた人物の家族らへの聞き取りを実施。水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で復元した写真の展示会を開いており、「教育関係者や企業経営者など、人を育てたり雇ったりしている立場の方々にも写真を見て、何かを感じてもらえたら」と話している。

 馬場助教は、2016(平成28)年度からガラス乾板写真の復元から、緯度観測所の歴史や関係した人物に関する研究調査を展開している。3回目となる今回の写真展は、女性職員の存在に注目。なぜ、これほど多くの女性が天体観測施設に勤務していたのかを調べた。
 1899(明治32)年の開所から、1988(昭和63)に国立天文台へ組織移行するまでの間、勤務した全職員の38.5%が女性だった。最初の女性職員採用は1923(大正12)年のこと。当時、帝国大学への女性の入学例は東北帝大(現・東北大学)などわずか。女性が自然科学分野の専門職に従事するのは難しい時代だった。
 馬場助教によると、木村博士は地元の女学校などにしばしば足を運び講演活動をしたほか、学校長とも親交を深めていたという。
 Z項の発見など、天文学研究の功績に注目が集まりがちな木村博士だが「地域の皆さんとのコミュニケーションの取り方が非常に上手だったようだ」と馬場助教。研究を支える人材を確保するという経営者的な感覚を持つと同時に、向学心のある地方の若者、特に女性にもチャンスを与えたいという教育者的な側面もあったようだ。
 女性の登用に理解を示したのは木村博士だけではない。第3代所長となる池田徹郎博士は、「寿退社」という世の中の風習に従って退職しようとした女性に「これからはそういう時代じゃないから」と告げたという。
 馬場助教は「今の時代、即戦力を求める風潮もあるが、地元に暮らす若者にチャンスを与え、たとえ専門知識がなくても職場で育てるというのが木村博士のやり方だった。男女共同参画や人材育成などの問題を考える上でも、見習うべき点が多い」と強調する。
 女性職員の多くは、観測データを計算する業務に従事。当時使用していた「手回し計算機」と同タイプの機械も展示している。4日は午前11時から正午まで、馬場助教による講演も予定している。
 展示は午後5時までだが、入館は同4時半まで。入場無料(常設展示見学は入館料が必要)。問い合わせは同遊学館(電話0197・24・2020)へ。

写真=ガラス乾板から復元された女性職員が多数写っている写真
写真=多くの女性職員が使用していた手回し計算機。手前はそろばん
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