人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

メンバーは全員外国人 誘致見据えサポート委員会を発足(奥州市国際交流協会)

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tanko 2013-3-30 11:20
 国際リニアコライダー(ILC)が実現した際に予測される地域の国際化に対応するため、市国際交流協会(佐藤剛会長)は29日、外国人市民だけで構成する「インターナショナル“ILC”サポート委員会」を立ち上げた。初会合では現状で考えられる課題を協議したほか、委員長に米ジョージア州出身で水沢区の英語講師ビル・ルイスさん(44)を選出した。外国人のニーズが高い生活サービスや地域住民の一員としての受け入れ対策など、必要とされる取り組みは多岐に及ぶため、行政提言なども視野に活動を進める方針だ。

 水沢地域交流館(アスピア)で開かれた初会合には、市内や住田町などに住む外国人市民6人が出席。前段、自身が移住し始めた直後に困ったことを発表し合った。
 日常会話にとどまらず「賃貸住宅を貸してくれない」「鉄道の案内アナウンスは日本語だけ」「クレジットカードが使えない店が多い」といった、さまざまな障壁があったことを明かした。
 このほか「自分が箸を使って食事をしていることに対し、いちいち驚いた反応をしてくる」「体育館や運動場はたくさんあるが、学校の部活動などに使われている。一般の人が余暇に自由に使っていいのか分からない」など、日本人住民には気付きにくい事柄も取り上げられた。
 後半はILC実現後に必要な対策について協議。外国人も使いやすい交通網の整備や町内会行事参加への呼び掛け、英語以外の言語にも対応した案内設備や医療環境など挙げられた。中には、大柄な体系の人が多いことから「サイズの大きな服や靴を購入できる店がほしい」という意見もあった。
 まとまった意見や提言は小沢昌記市長らに示し、誘致実現後のまちづくりに活用してもらう考えだ。
 ILC誘致が実現した場合、周辺地域にはピーク時で研究者と技術者だけでも3000人以上が集まると予想。その中には外国人が数多く含まれると見込まれ、一家そろって地域に中長期滞在することも考えられている。
 市国際交流協の渡部千春事務局長は「先輩外国人市民である彼らが、このような形でILC計画に携わることは意義あること。今までは、ILCの施設概要や経済効果などに関する講演会が多かったが、むしろ一般住民が深く関係し考える必要があるのは、こうした地域の国際化への対応や一人一人の心構え的なところだと思う」と話している。

写真=外国人市民だけで構成する、インターナショナル“ILC”サポート委員会で、地域に必要な機能を話し合うメンバーたち
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